レオス・カラックス 1/3

Leos CaraxのVHSビデオ

レンタルショップで「BOY MEETS GIRL」('83) 監督:レオス・カラックスを100円で購入しました・・ ビデオからすっかりDVD に変わり・・レコードからCDにあっさり変わってしまったように・・ 1万円以上していたビデオがいまやワゴンセールで100円だ・・

夢想家で自意識過剰な青年の1日(夜~夜)を描いた青春映画。孤独で切ない現代の若物の心を等身大で描いた、やや自伝的な・・ 今あらためて見るとやや気恥ずかしくもなるが、大学生になったばかりの頃 初めてこの映画でレオス・カラックスに出会った時は・・ もの凄く共感を持って見ていたような気がします・・1960生まれのカラックスは16才で学校を辞めて、この映画の脚を書き始め・・練り直しながら22才で書き上げ・・ 100万フランの制作資金援助を国から貰い、わずか8週間・・ “夜のパリ” という状況でそのほとんどが撮り上げられました。

映画は友人の裏切り/恋人達の別れから始まり・・ 登場人物は皆孤独、みんなの気持ちがすれ違い・・特に主人公アレックスのコミュニケーションは誰に対しても不自然で一方的・・ その極みが映画全体の半分近くを占めるパーティーシーン・・ 楽しいはずのパーティでも客は皆つまらなさそうに黙っている・・ そしてアレックスが “初めて” ヒロイン/ミレーユに会い、キッチンで告白(?)するのだが・・ 恋人との不仲状態でショックを受けたばかりで、話しをする気もないミレーユに・・アレックスは一方的に喋る喋る喋る・・ 恋/映画/自分について・・最後には「運命だ!!愛し合おう!!」と。登場人物は、皆悲しく淋しそうなのだが・・ 映画全体にはシュールな寓話のような雰囲気が漂う映画・・ 

サイレント映画とゴダールを溺愛するカラックスが夢見るように作った・・ 独特の映像美による、儚い寓話的世界。劇中では監督自身の分身である主人公アレックスに「2度人生をやれるほど案がある!」と強く語らせたのとは対照的に・・ カラックスが極めて寡作なのは、「 映画を撮る = 自らの世界の確立 」 と言えるまでに、映画を愛し 肉体化した・・ “早熟すぎた天才” ゆえの苦しみからだろうか。

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