「建築探訪 11」 -Okayama 3

林原美術館

市内には日の巨匠-(1905-86)の現存するが3件・・ (上写真) は「岡山美術館(現 林原美術館)」('63)。中を囲んだ回遊性のあるロの字型プランの小規模な美術館・・後期 前川建築を象徴する手法「打込みタイル」に至る前・・「レンガ積み外壁」が印象的な建築。

近代建築を代表する外装手法を自らの失敗の中から見直し・・前川が辿り着いたのが「打込みタイル」でした。耐久性という・・合理的側面からの試行錯誤から辿り着いた素材が、ガラス/金属/コンクリートという近代建築を象徴する工業的素材ではなく、大昔からある”焼き物”という材料だったのです。

林原美術館
前川は最初この美術館の外壁を”備前焼”で考えていたそうだが・・このボロボロの煉瓦は、四国の観音寺というところの窯にあった・・多少ねじれた様なクズを集めさせた物との事・・

「打込みタイル」という手法の発見だけでなく、前川らしい空間/建築が生まれたのも、後期70年以降の「埼玉県立博物館」('71)や「熊本県立美術館」('77)や「福岡市美術館」('79)といった60才を過ぎてからの作品群ではないでしょうか。前川の師匠であるコルビュジェが「ロンシャンの教会」を完成させたのが68才、「ラ・トゥーレット修道院」が73才。建築家は60才を過ぎて頃から やっと自分らしさを建築で表現できるくらいになるのだろうか・・

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