「建築探訪 53」 -Kumamoto

熊本県立美術館

城郭の端に建つ、県立美術館」(1977) を探訪。 (上写真) アプローチ側の南側外観を見る。一目では玄関まで見通せない、視線/動線が突き当たっては折れ曲がりながら・・玄関へと至る前川さんらしい”一筆書き”な構成。高さを押さえた建物がさらに樹々に埋もれ、その存在は全く目立たず・・ 1971年の「県立博物館」から始まった “後期 前川” の到達点・・ 前川建築の完成型ともいえる珠玉の建築・・やっと見に来る事が出来ました!!!

熊本県立美術館
エントランスホールで受付けた後、180度振り返ったロビーの眺め。天井いっぱいまでの縦長窓とワッフルスラブ天井の存在感が効いてます。
( 前川さんはコルビュジェの弟子ですが・・なんとなくルイス・カーン的 ?  )
熊本県立美術館
90度右を向いて、ロビーから続く奥行きのある一室空間を見通す。ロビーの向こうには吹抜ホール、そのさらに奥が喫茶室。(左手に展示室)。細長い平面を強調する様に建物奥まで・・ワッフルスラブ天井と大開口が続いていきます。 床レベルは外部からロビーに至るアプローチを通して、あるいは建物内部の移動においても変化が付けられているのですが・・天井と大開口は常に安定した存在になっています。
熊本県立美術館
1階ロビーよりテラス側を見る。天井いっぱいまで開かれた大きな開口による、内外が一体となった開放的な空間。テラスの向こうには大きな樹々がたくさん植えられた緑豊かな公園が広がっています。南北に細長い平面構成、大きな開口部は東に面しています。訪れたのは午後からだったので、直接光が入ってくる時間帯ではありませんでした。
熊本県立美術館
吹抜ホールを地階より見る。落ち着きのある空間・・ 公園に面した大きな開口が、地階分そのまま更に大きくなっています。大きな開口の上下間のところには、ロビーから喫茶室へと続く渡り廊下があります。上部から吊った軽快な鉄骨造による意匠 ( 竣工時の資料にはなかったので、後の ? )。
熊本県立美術館
(右) 後期の前川建築の代名詞である「打込タイル」。耳付きのタイルになっており(写真で分かるかな?) 、目地は詰めていません・・ タイルを後から貼り付けるのではなく、型枠内側にあらかじめタイルを取付けておいて、コンクリートを流し込む工法・・ より耐久性のある強固な外壁となる、前川さんのお気に入りの手法。

前川國男72歳、熟練の域に達した素晴らしい傑作でした。
こちらは前川國男49歳、”前期 前川建築”の傑作。 こちらにある前川建築。

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