黒川紀章(1934-2007) による設計の「国立新美術館」(2007) を探訪・・
フラクタル曲面の大きなガラスの外壁に、エントランス部となる円錐型の風除室が突き刺さった・・ ダイナミックで明快なデザイン手法は黒川さんらしい。国立新美術館は収集品を持たない企画展・公募展のための美術館。
建物の主だったファサードとなる南面はほとんどが水平のガラスルーバーで覆われています。写真では分かりませんがガラスルーバーにはドットパターンが施されているので、垂直の縦材とともに日除けとして日射軽減の役割を果たしています。大きく膨らんでいる外壁部は、内部にある “逆コーン” と呼ばれるスペースの形が曲面に現れています。
建物の主要な用途となり面積の大半を占めている展示スペースは、この大アトリウムの後ろに巨大な箱として存在はしているのですが・・ フラクタルな三次元幾何学を用いたアトリウム空間に円錐や逆コーンが浮遊した空間には・・モダニズムの直線幾何学でデザインされた空間とは全く違った空気感が在りました・・ 黒川さんが長年唱えられてきた”生命の時代”の建築が表現されているのでしょうか・・黒川紀章さん最晩年の秀作。