「建築探訪106」- ISE /伊勢神宮

豊受大神宮(外宮)

先週、「皇大神宮(内宮)」と「豊受大神宮(外宮)」へ行って来ました (初めて特別参拝をさせて頂きました) 。豊受大神宮は天照大神の食事を司る神である豊受大御神皇大神宮は天皇家の祖先となる天照大神を祀っています。内宮外宮と別宮や摂社末社を合わせた125社の総称が”伊勢神宮(正式には単に神宮)” ・・最も格式の高い国家神とでもいうべき唯一無二の存在・・太古より人々を惹き付けて止まない日の聖地・・伊勢神宮が現在の地に定められたのは2000年以上も前・・
(上写真) 外宮を南側より見る。右が造られてから20年経過した古い建物左が昨年秋に完成したばかりの新しい建物全く同じ形の建物が新旧並んでいます。今月末には右側の古い建物は全てなくなり・・ また20年後、左側の新しい建物が真っ黒になる頃・・そこにまた全く同じ形の建物を新しく作る・・古くなった方は壊す・・この20年毎の建替えが、いわゆる「式年遷宮」。

皇大神宮(内宮)
新旧並んだ外宮の間を北側より見る。最初に式年遷宮が行なわれたのは、持統天皇の4年(690)と言われています。それから1300年以上に渡って(戦乱などで途絶えてしまった時期もあった様ですが)、式年遷宮は脈々と続けられ・・昨年秋には62回目の式年遷宮が行われました。
皇大神宮(内宮)御稲御倉
内宮の御稲御倉を近くで見る。伊勢神宮の建物の多くは、茅葺き切妻高床形式。柱は全て円柱、両妻には”棟持ち柱“と呼ばれる象徴的な柱が建てられ、材料は全て匂い立つような白木の桧。弥生時代の穀倉に由来があると思われる・・「神明造」と言われる様式です。
皇大神宮(内宮)
 20年経過した内宮の四丈殿を板垣越しに見る。式年遷宮が行われているのは内宮外宮だけでなく、荒祭宮や多賀宮などをはじめ・・境内にある多くの別宮も同じように20年毎に全く新しく作り直されています。建物だけでなく、神宝や装束・調度品も一流の職人や工芸家により20年毎に造り改められています。積み重ねられた途方も無い時間と今が両立した “永遠の再生” 。

「何ごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」
平安時代の歌人 西行が伊勢神宮を訪れた際に詠んだ有名な歌・・は伊勢神宮の魅力をうまく伝えている様に思えます。その場所に来て、橋を渡り、大きな樹々の間を歩き、川で清め、見事すぎる桧の社殿を仰ぎ、その背後の広大な森を感じる・・ 神宮は信仰や理解を超えたような存在で、誰もが心打たれるような有難さがあり・・その深遠な存在感は自然と心身に伝わってくる・・という事なのでしょうか。

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