「arukura-sha」-断熱工事

車寄せとなるスペースからエントランス部を見る

居間だった室内部分を外部スペースへと改修・・・既存の壁/天井/基礎を撤去した後、新しい壁を施工。「雨に濡れずに玄関からすぐ車」が、クライアントさんからの最優先事項だったので・・大掛かりな工事になりましたが、なんとか乗り降りがしやすい・・”車寄せスペース”になったのではないかと思います。

築25年の建物は、天井裏の断熱材が薄かったので・・

新しい断熱材で補強。2階天井の改修は、クロス張替えのみなのですが・・天井の一部を撤去して、屋根裏全体に新しい断熱材を設置。

新たに敷設した断熱材を、屋根裏に上がって見渡す・・

屋根裏は結構高さがあります。雨漏りなどがないか、野地板や垂木に傷み等が出ていないか、check、check、check・・

既存建物の外壁は・・木舞(こまい)

“竹”を組んだ下地に“土”を塗って仕上げる、昔からある工法による壁ですが・・断熱材は入っていないので・・

外部に面する壁面には・・断熱補強!!

壁下地材であるプラスターボードを張る前に・・“フェノール樹脂系の高性能断熱材”を・・隙間なく充填!!!

アルネ・ヤコブセン 「セブンチェア」

名作アントチェア」のデザインを発展させたかたちの・・ Seven chair (1955) 。アントチェアと比べて、大きく異なるのが・・そのゆったりとした背と座面・・独特な3次曲面のフォルムは・・眺める角度によって、様々な表情を見せます。

発売当初は・・チーク、ローズ、オークなどの突板張りと、白、黒の色彩など、数種のラインナップだけでしたが・・その後、何十種類ものバリエーションやカラーが発売されました・・トリムデザインに在るセブンチェアは、うっすらと木目が見える黒色塗装。

背と座が1枚板で出来ていて、スタッキング可能で、軽くて、持ち運びやすくて・・基本的な考え方はアントチェアと同じ。

セブンチェアのスチール脚は、クロームメッキ仕上げが大半ですが・・このシリーズは脚部も黒色塗装になっている・・めずらしいシリーズ。

成型合板+鋼管脚のみ」という、それまでの椅子とは比べようもない・・傑出した単純さ!!! ・・・このアントチェアのコンセプトを基に・・安定性という、さらなる機能を・・付け加えられ、大ベストストセラーとなった・・アルネ・ヤコブセンの名作。

「寿元堂薬局」 -写真撮影

8月にOPENしてから半年!!・・・撮り損ねていた“竣工写真”を先日撮影!!!・・とりあえずのスナップ写真ですが・・UP!!

ガラスへの映り込みを避けるために早朝7時から撮影開始・・お施主様が用意して下さっていた「花器」と「お花」がgoodです。(花器は酒津焼兜山窯の岡本達弥さん、お花はすみれ花店さん)

「待合コーナー」から「調剤室」のある方向を見る・・壁面いっぱいの「薬瓶棚」や右手の「カウンター棚」はFREE STYLEさんに、制作をして頂きました。

既存サッシの間に・・ピッタリと嵌め込んだ造り付けの「飾り棚」はファクトリーコヤマさんに制作をお願いしました。薬瓶を置いている幅1100mmある棚板・・厚さは2mm!!

「2mmの棚板」を支える・・・竪繁げの「厚さ3mmの柱」は・・子供が触らないように、という目的もあります。(薬瓶を取出す用に・・何本かの柱は、取外しが可能 )

店舗内より道路側を見る。JR倉敷駅へと続く”倉敷中央道り”にある路面店・・駅前再開発「あちてらす倉敷」の1階、広島銀行の隣にあります・・

エントランス付近から見る。ウォールナット無垢材のカウンター棚・・その上にアルヴァ・アアルトのペンダント灯が3灯・・その奥が調剤室。

ウォールナット材で作った「カウンター棚」の詳細を見る。フレーム”勝ち”な、造り付け家具の納まりが好きです・・

エントランス付近のテーブル上には・・岡山のガラス作家オカベマキコさんの「しゃぼんランプ」。奥の書棚には貴重な漢方の書籍・・

200個以上ある薬瓶と、数多くの書籍を、どうしまうかが・・設計デザインの大きな課題でした。限られたスペースの中で・・使いやすいく、取りやすく・・そして、見た感じも良い「薬瓶と書籍」の配置。

こちらには、”別のお花”も用意して下さいました(お施主様に感謝感謝) 。アンティークな薬棚がgoodです。後方右上のアルマジロくんもgoodです・・

全容が分かる、本当の竣工写真は、WEBサイト”Works”こちらで・・ご覧ください。

漢方専門 寿元堂薬局のサイトはこちら

「arukura-sha」-着工

一昨年の夏から計画を進めていた「arukura-sha」が着工しました。敷地は新倉敷駅からほど近い、アパートや保育園などが立ちならぶ・・小山の麓。化粧石鹸および犬用ケア関連の企画販売を手がける arukura-shaさんの・・“アトリエ事務所への改築” 工事。

築25年程の建物を改築するのですが・・解体して、解体して・・解体、という感じで、工事は始まりました。室内だった部分を室外へと改築する工事がある為・・まずは減築。

自分たちの設計した建物ではなく・・既存建物の図面や資料はほとんどない・・改築工事の場合、まずは、壁天井を落とした状態で・・柱や梁や筋交いの位置などに想定外の状態がないかどうか・・設計図どおりに施工がうまく出来るかどうか・・などなどを、よくよく確認します。想定外な状態などはなく・・まずは順調な、スタートとなりました!! 4月末頃の完成を目指しています。

柳宗理 「エレファントスツール」

トリムデザインにやって来た!!! ビンテージものの「エレファントスツール」。今年没後60年の展覧会で話題にもなっている”民藝運動の創始者で知られる柳宗悦”の御子息・・プロダクトデザイナーの柳宗理が1954年にデザインした小椅子。

座面から脚までワンパーツで構成されたFRP製の一体成型が何とも美しい曲面を描く・・ 67年前のデザインとは思えないモダニティ・・ミニマムデザインの極みながらも、どこかヒューマニズムな可愛らしさが感じられる意匠が素敵。(この椅子自体は1971年製。)

オリジナルのコトブキ社製は、ある時期から生産終了となりますが・・柳宗理のデザインに魅せられたトム・ディクソンが、2001年の頃に数年間、イギリスのHabita社からFRP製で復刻発売・・現在ではドイツのVitra社が(環境上の問題もあり)ポリプロピレン製で発売中。さらに、最近では(デザインの版権期間が過ぎた事もあり)「レプリカ ( ポリプロピレン製のリプロダクトとも呼ばれるジェネリック品 ) 」が、数多くのメーカーから発売されている惨状・・

“素材変更”により「構造的強度」も変わり・・それに伴って、素材の厚みや、脚の広がり方などなど様々なバランスも微妙に変わり・・ 現行のポリプロピレン製が「似て非なるもの」だと言うのは・・言い過ぎでしょうか?

ポリプロピレン製では出せない!! この質量を伴った存在感」は・・FRP製ならでは。3本脚の良いところは、4本脚に比べて、面積的に非常にコンパクトであること!!。3本脚は不安定という話もありますが、この椅子に関しては・・それは全く無く、座面に緩やかな凹みもあり、非常に座りやすい椅子です。

FRPとは「繊維強化プラスチック」の略・・ガラス繊維と樹脂を混ぜて成形・・軽量だけれども、強度のある、自由な曲面デザインが出来る・・のが特徴。

幅475mm ✕ 奥行435mm ✕ 高325mm、FRPの肉厚が約3mm・・現行のVitra社製は幅515mm ✕ 奥行465mm ✕ 高370mmと・・全てのサイズに関して、コトブキ社製よりも・・かなり”大き目”なのです。

黒地に黒文字のシールで、見えにくいのですが・・・裏面にはオリジナルの製造メーカーである「コトブキ社のシール」が残っていました!!

「やはりオリジナルは美しい!!」と感じるのは・・気のせい!! ですか??。この素材ありきで、考え抜かれた・・このアーチ、このフォルムの美しさ!!

アングルを変えて、下から見上げると・・もはや彫刻作品の様にも見え、建築作品の様にも見え・・・日本のプロダクトデザイン史上に残る傑作椅子。 (オリジナルのカラーラインナップには赤、青、黄、橙、白、黒、グレーなどがあるようです)

KURASiX -初めての活動

当事務所も参加している・・”倉敷の6設計事務所による建築文化活動”のための集合体「KURASiXの初活動」のお知らせ・・

倉敷に多くの素晴らしい建築を残された、倉敷出身の建築家・・浦辺鎮太郎を紹介する”プチ展覧会”を、浦辺設計の主導のもと・・地元の有志として、僅かながらですが手伝わせて頂きました。

展示のメインとなるのは・・「壁庇」と呼んでいる、浦辺鎮太郎ならではの個性的なデザインエレメントの紹介コーナー。「倉敷国際ホテル」「日本工芸館」「大原美術館分館」などの建築に見られる特徴的なデザイン手法・・壁庇 !!!!!!

手前は高知にある「浜幸ビル」の模型・・・各地の建築学生さんの協力により制作された「木製模型」は・・・”力作”です!!!

子供の頃よく行った・・”南海ホークスのナンバ球場”の西側にかつて在った「日本工芸館」の・・模型!!! 浮いてます!!! 1階の床が浮いてる!!! 屋根も全周スリットで浮いています!!!

こちらのコーナーでは「プレハブ住宅・PH-1」や「立体音楽堂」など、ややマニアックなプロジェクトを紹介・・「倉敷レイヨン研究所」の空撮映像の展示も見どころがあります・・・12月1日まで、AM9〜PM5、入場無料。(最終日のみは13時までの展示)

会場となっている「あちてらすぽっと」は・・2021年10月にOPENしたばかりの「あちてらす倉敷」2階にある倉敷市のスペース・・地域の誰もがコミュニティ活動や文化交流など様々な目的で利用ができる交流拠点施設です。

※ ちなみにですが・・・「あちてらす倉敷」1階、広島銀行の隣にある漢方薬局は当事務所の設計です。

「安江の家」-13年目

トリムデザインにて設計をさせて頂き、2009年に竣工した「安江の家」・・13年目を迎えたお家の「子供室を2室に分けたい」とのリフォームの相談で・・久しぶりにお伺いさせて頂きました。(上写真/表から隠れるような場所に、高さをググッと抑えた・・躙り口のように目立たない板戸が玄関戸)

格子窓から陽が差し込む”三角形平面”の玄関・・玄関の上部は2階廊下に面した吹き抜け、吹き抜けの形も玄関平面と相似形の三角形。

玄関床は「墨モルタルコテ押え」・・日々踏みならされた事により、かなり「味」が出てきました・・床全面に貫入が走っているのも・・良い「味」になっています。

2階主寝室よりリビングの吹抜けを見下ろす。扇型多角形平面のリビングの上部に・・こちらにも”三角形の吹抜け”があります。1階床に使用した「ナラ無垢材のパーケットフローリング」も「味」が出てきました。

強い西陽を受ける玄関前。外構等はシンプルに・・・門扉や塀などを設けなくても、安心して暮らせる設えとなる様に・・建物全体を計画。(上写真/玄関前のわずかなスペースに上手に樹々を植えてくださっていて・・嬉しい限りです)

「寿元堂薬局」 -オープン

2021年8月2日寿元堂薬局さんがオープンします!

寿元堂CGパース寿元堂完成写真

提案時に作ったCGパースと引っ越し前に撮影した竣工写真を比較してみました

寿元堂CGパース寿元堂完成写真

閉局時の照明をイメージしたCGパースなので開局時には明るく清潔なイメージとなります

寿元堂CGパース寿元堂完成写真

オリジナルでデザインさせて頂いたパーティションや飾り棚が入り、棚にガラスの薬瓶や漢方に関する書籍が並べられた状態で、また撮影させて頂きたいと思います

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「寿元堂薬局」 -ほぼ完了

2021年8月2日よりオープン!!!

今年の4月中頃より掛かっていた工事・・6月中頃にはほぼ形にはなっていましたが、サイン工事や什器関係の工事もあって、仮店舗からの引越しを行えるようになったのが、7月中頃・・

壁面を覆う大きな収納棚には、歴史ある”漢方専門薬局”を象徴する、無数の薬瓶と無数の漢方に関する書籍が・・ギッシリと並ぶ予定。

トリムデザインに初めて相談に来られたのが2018年の末・・ファーストプレゼンをさせて頂いたのが2019年の初め・・進捗がとても早い店舗設計では、異例だとも言える・・・足掛け2年半に及んだプロジェクト・・

ファーストプレゼン時に描いたイメージ図

店舗スペースの場所が(同じ建物内とはいえ)・・ファーストプレゼン時とは異なり・・”四角だった区画”から”変形L型の区画”へと変更になりましたが・・いま最初のイメージ図を見返してみても、ファーストプレゼン時のデザインコンセプトは崩す事なく、ほぼ完成をさせる事が・・出来たのではないかと思います。

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「建築探訪176」-Gunma 5

群馬県高崎市、隈研吾さん設計の「森の光教会(2016)」を探訪・・板張りの多角錐が地面から隆起してきた様な建築。多角錐の部分がチャペルで、その左手に付属の披露宴会場&レストラン・・インパクトがある建物の外観と、建物周辺に植えられた植栽が・・殺伐とした敷地周辺の雰囲気を刷新していました。

巾120mm@200、厚18mm程度の杉材ルーバーで覆われた外観・・ルーバーの下にはもちろん本当の外装材である金属材やALCがあります。植栽に埋もれてしまいそうな可愛らしいサイン・・
外観を覆う・・不燃剤を含浸させた杉板を近くから見る。屋根が地面に着きそうな高さまで葺き下ろされています。こちらの隈建築でもそう感じましたが・・街なかに挿入された多角形ボリューム建築というのは、なかなかの存在感・・
披露宴会場とチャペルの間にある、屋根と壁が複雑な角度で入り込んだ・・チャペルエントランスへと到る、屋外用スペースを見る。
チャペルの内部・・壁と壁、壁と天井の隙間から光が差し込む・・100人収容のチャペル。正面壁の奥側へのわずかな傾きと、祭壇へと至る花道の微妙な傾斜が・・空間に拡がりを与えている様に思えます。
天井も壁も杉材張り。右手の下地窓のようなスリット窓の向こうには水盤が見えます。それぞれの傾きを持った多角形各面の・・接する部分に取られた”透かし”が、この空間のポイントの様に思えました。

併設のフレンチレストラン「Restaurant CHEZ TAKA takasaki」・・折り紙を貼り付けたような天井デザインが特徴的なスペースも、隈研吾さんのデザイン・・群馬建築行脚の疲れを癒やすため・・しばしの休息として”ランチ”を頂きました。

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