「住宅建築 08年2月号」

「住宅建築」(建築資料研究社)の今月号・・大阪で9年間、建築を教わった”二井清治”さんの作品が特集されています・・二井さんが坂倉事務所時代に師である西澤文隆さんと住宅を設計されていた時の大徳寺に実測に行く話しや、「18mmだと古民家みたいだし、12mmだと村野さんみたい・・」という壁チリ(壁の柱梁からの控え寸法)に関する西澤さんのコメントの話し等・・興味深かったです・・・ 学生時代には全く興味のなかった古建築をたくさん見に行くようになったのも、二井さん(西澤さん)からの影響です・・西澤文隆さんの著書「日本名建築の美」は古建築探訪のバイブルです・・

掲載されている作品の中でも思い出深いのは「津山の家」(上写真)・・・延べ9坪にも満たない(!!!) 小さな家でしたが、素材もディティールも空間も”超”濃密な住宅でした・・床は21mmのチーク/壁は60mmの竜山石andオリジナル燻し銅板一文字60mmピッチ葺きand鉛1mm貼り/天井も鉛1mm貼り/室内天井高195cm(建築基準法では210cm以上と決められている根拠が知りたいなぁ・・)・・といろいろな意味でイレギュラーな住宅でした・・大阪から津山まで高速バスで現場に毎週通い・・・現場が遠い事もあり、この住宅のほとんどの部分を施工図(S:1/1)レベルで・・図面を事務所で描いて(ふつう施工図は施工する工務店が描きます)、模型をつくり・・・二井さんとマンツーマンで検討していたのが懐かしいです・・t

「住宅建築 08年2月号」 (建築資料研究社) ¥2,450 店頭販売中

吉岡徳仁

吉岡徳仁作品集

今お気に入りの本・・「吉岡徳仁 作品集」。ファイドン社の日本語版・・写真の質と文章はイマイチだが、装丁が素敵。吉岡の代表作である「Honey-pop」(2001) の菱形がモチーフ。一見すると真白い表紙に見えますが・・ 菱形模様を浅く型押し、菱形内部を艶ありクリアコーティングしている凝ったデザイン。
世界的にも注目のプロダクトデザイナー吉岡徳仁の10数年に及ぶプロジェクトを網羅した内容はウレシイ・・ 一般的にも良く知られている携帯電話の「Media Skin」(2005)をはじめ・・・照明器具「ToFU」(2000)、 腕時計「TO」(2005)、 透明椅子「Kiss Me Goodbye」(2004)・・等々 。倉俣史朗と三宅一生・・ 傑出した世界的デザイナー2人に学んだ吉岡徳仁 。

「形をアレンジしても新鮮に見えない・・ 」
と彼が言う様に・・形をデザインする仕事であるはずのデザイナーが「”形ではない”デザイン」をコンセプトとして掲げている。素材そのもの、現象そのもの、コンセプトそのものをデザインとして視覚化しようとする彼のデザイン手法は “日本料理のような” とも形容される。・・海外メディアでは”マテリアルボーイ”と紹介されることも・・

「最初の椅子で歴史に残るようなものを・・」 と言う彼が2001年に初めて作った、お菓子を包むパラフィン紙で出来た椅子・・「Honey-pop」 (上写真)は、見事に世界中の美術館でコレクション入りとなりました。
「コンセプトと素材が決まれば・・形は単純なもので良い」  
 by 吉岡徳仁

タウトの画帖

ブルーノタウト桂離宮

先日古本屋さんで購入した「桂離宮」(1943) 。心惹かれたのは、巻末の・・タウト筆による、”スケッチ&メモ” が付いていたから。

ブルーノ・タウトは1880年生れのドイツ人建築家。アールヌーボーの熱狂の後、”ドイツ表現派”の建築家として1910年代には活躍を始め。クリスタルをイメージした”ガラスと鉄”による「ガラス・パビリオン」(1914)や、「アルプス建築」(1919)と称した幻想的なドローイングの仕事や、ベルリンでの大規模なジードルンク(労働者の為の衛生的な住宅団地)を手掛けた1920年代の活躍で、よく知られた、ヨーロッパの一流建築家。

ブルーノタウト桂離宮

その “ヨーロッパの一流建築家” が1933年5月3日に、亡命者として敦賀に船で着いた翌日(タウト53才の誕生日)に・・桂離宮を訪れ・・非常に感激賞賛・・「言葉に出来ないほど美しく、涙がこぼれてくる、パルテノンに比すべきもの・・円熟の極地と小児のごとき純真無邪を具えている・・」とKATSURAを賞揚し・・日本美の最高表現と、認め評したのは・・有名な話。

ブルーノタウト桂離宮

この画帖は1934年5月7日に1年振りに・・4時間半じっくり再拝観した、強い感銘をそのまま一気に筆で・・(5月8日と9日の2日間で)完成させたそうです。描写力の高い写真や、精緻な文章による解説ではなく・・荒々しいとも言える筆による表現は、彼の興奮した感動をそのまま描写したいという、想いが伝わってきます。タウトのスケッチに描かれている見学順序は、今の特別拝観コースとほぼ同じ・・

ブルーノタウト桂離宮

この画帖の出来には・・本人も深く大満足・・出版を念願していたが、生前には果たされず。彼は1936年10月には3年半の日本滞在を終え、トルコに向かい。1938年トルコにて客死。そして1942年に出版されたのがこの本。
「IN KATSURA DENKT DASAUGE」 (桂離宮では眼が思惟する)

ブルーノタウト桂離宮
KATSURAへ再訪する2日前に・・タウトは小堀遠州の忌日に、大徳寺孤篷庵へ赴き・・遠州の墓に花を供え、“偉大な建築家”に敬意を表したそうだ・・
ブルーノタウト桂離宮
出版は・・”第三版 昭和18年4月10日” とあり。帰ってから・・よくよく見ていると “裝幀 龜倉雄策”とあり、亀倉さん戦前の仕事による・・本だった事を発見し、感激!

深澤直人

デザインの輪郭

「デザインの輪郭」深澤直人著 TOTO出版(2005) を読んだ。
1956年生れのプロダクトデザイナー、誰もが眼にした事がある 携帯電話「INFOBAR」や無印良品「壁掛けCDプレーヤー」などをデザインした人、「±0」のデザイナーでもあり、良品計画のアドバイザーなどもされています。
好きな建築家を聞かれても困るが、好きなデザイナーはと聞かれたらその名前を答える一人です。そして更に「作品そのものより、その考え方が好き」とつけ加えて・・ その考え方とは、簡単に言うと (本当に簡単で申し訳ありません・・ご興味のある方はぜひぜひお読み下さい!! ) ・・ 「無意識/無自覚/日常/共感/ふつう」といったキーワードを基に・・ 俳句のようなデザイン or とことんこだわったおいしい御飯のようなデザイン・・といった感じでしょうか。