「森の墓地」にある礼拝堂・・ 柿葺きの大きな屋根が印象的な「森の礼拝堂 (1920) 」は墓地内にある5箇所の礼拝堂の内、最初に出来た・・最小の礼拝堂。
この建築の見どころでもある・・一度見たら忘れられない内部空間・・高さを抑えたドリス式の8本柱で支えられた・・白く塗り込められた半球型の天井・・ そこに居る人々やそこで過ごす時間を覆い尽くす、空間を支配するその大きな半球の頂部には・・トップライトからの抑制の効いた光が・・清らかな静かな追悼の空間は・・アスプルンド初期の代表作。
「森の墓地」にある礼拝堂・・ 柿葺きの大きな屋根が印象的な「森の礼拝堂 (1920) 」は墓地内にある5箇所の礼拝堂の内、最初に出来た・・最小の礼拝堂。
この建築の見どころでもある・・一度見たら忘れられない内部空間・・高さを抑えたドリス式の8本柱で支えられた・・白く塗り込められた半球型の天井・・ そこに居る人々やそこで過ごす時間を覆い尽くす、空間を支配するその大きな半球の頂部には・・トップライトからの抑制の効いた光が・・清らかな静かな追悼の空間は・・アスプルンド初期の代表作。
何度見てもgood です。こんな写真もありました。
2012年の探訪記より・・「ロンシャンの教会」(1955)
槇文彦さん設計の「東京キリストの教会」(1996) 。山手通りに面したガラスのファサードが印象的な建築・・この持ち上げられ、上部に向かってやや広がったガラスの箱は・・断熱や騒音への配慮から、ペアガラスのダブルスキン構造になっています。つまり外部に面したガラス面の内側に、室内に面したもうひとつのガラス面が設けられています・・その間は1m程。外部側ガラスの表面には日射軽減の目的で、セラミック焼付けのドットパターンが施されています。
建物が面する山手通りは道路拡幅で40mもある非常に大きな道路となり・・ 遮るもののない西日と道路騒音に対するためのアイデア・・ ガラスの2重壁・・昼は室内を光で満たし、日が暮れてからは光の壁として街を灯す・・この建築のアイデンティティ・・槇さんらしい現代的なシンプルで明るい建築・・でありながらも、杉板型枠によるコンクリート打放し仕上げや、木製建具、床や壁に用いられたシラカバ材など・・質感が強い素材を多く用い・・教会という場所に適した・・温かみのある建築にまとめられていました。
ル・コルビュジェが73歳、円熟期の金字塔・・「ラ・トゥーレットの修道院」(1960) 。建物の東側に接する道路から北東側の外観を見る。敷地はアプローチとなるこの道路から下がっていく西向きの斜面地。この道路側レベルは建物で言うと3階となります。手前右の鐘楼を高くかかげている建物が礼拝堂。
左手に聖具安置所、右手に地下礼拝堂。正面にはパイプオルガン。設計を依頼したドミニコ会のクトゥリエ神父からの要望は「建物の姿は極めて簡素・・無駄な贅沢は一切不要・・」との旨。正面壁上部と両サイドの “スリット窓” が効いています。
説教壇の右手、赤い斜め壁の部分は聖具安置所・・上部には7つの “くさび型トップライト”。 コルビュジェは計画の初期段階にクトゥリエ神父から・・装飾を排した簡素で力強い量塊的な構成の美しさで知られる12世紀のロマネスク建築・・「ル・トロネ修道院」を見るように勧められたそうだ・・クトゥリエ神父は芸術への造詣が深くマチスやピカソなどとも親交があり、かつてはオーギュスト・ペレの事務所に籍を置いていた事もあったという人。
大きな3つの “丸トップライト” がある部分は地下礼拝堂。写真では明るく見えてますが・・ 実際にはこの礼拝堂内部は全体的にかなり暗い空間で・・暗闇の中、厳選された光・・スリット窓/縦長窓/くさび型トップライト/丸トップライト・・だけが刻み込まれたような空間。
黄色い間仕切壁の向こう、その下部に礼拝堂があります・・天井がないのでトップライトからの光が、そのまま真下にある地下礼拝堂に注がれます。トップライトの円筒内は青/赤/白に塗り分けられている。
礼拝堂だけでも充分に見所がありました・・さしずめ「直方体のロンシャン」といったところでしょうか。グランドピアノの様な出っ張り部分は地下礼拝堂の上部・・ 3つのトップライトが角度を変えて、自由に突き出ています。コンクリート打放し仕上の精度は、本当に”雑”と言い切ってもよい位の・・ 日本ではありえない程の荒々しさ。
ラ・トゥーレットを特徴づけている “竪ルーバー窓” や “市松状窓” のデザイン担当として、コルビュジェがスタッフの中から起用したのは・・ 構造家でもあり前衛音楽家でもあるイアニス・クセナキス・・ 数学と音楽に秀でた構造エンジニアであったクセナキスは、モデュロールを用いて見事にデザイン。この後1958年にできたコルビュジェの作品系譜の中ではかなり異質な作品である「フィリップス館」もクセナキスが担当。
四方を高い壁に囲まれた静寂の中庭・・ 波状ガラスウォールに囲われた動線路を静かに歩く修道士・・さまざまな形が詰め込まれた “不思議な幾何学の庭園” は、建物内を巡りながら思索を深めるにはgoodかも。”白の時代” とも言われる、自らもその誕生に大きく力を注いだ・・機械や幾何学の美学を昇華した・・「近代建築」のロジックや手法はどこかへ吹き飛んでしまい・・根底から変容してしまった後期コルビュジェの傑作は・・ なかなか手強い。
登り道を歩きつめた頂きの上、視界が開けたそこにあるのは近代建築の金字塔、ル・コルビュジェ設計の「ロンシャンの教会」(1955) 。コルビュジェ68歳の作品・・ 近代建築の大巨匠として、幾何学と機能合理に基づいた、シンプルな四角いモダニズム建築を作っていた戦前の・・ 「建築は住むための機械である」と声高々に宣言していた、30代40代の頃とは作風はガラリと変わり・・ このコルビュジェ後期の傑作は、言葉に例えるのが難しいような、非常に自由奔放なカタチをした建築。(上写真) 南側の外観を見る。いろんな大きさとかたちをした窓がパラパラと27個・・
あえて言うならば、この方位から見た時は・・ ”きのこ” の様な 。しかし見る角度を変えると・・ また印象はガラリと変わります。コンクリート打放しの大屋根と白い曲面壁・・ハイサイド窓で教会内に光を落とし込む、ぬるっとしたカタチの大きな塔。
(上写真) 南東側より外観を見る。
蟹の甲羅がイメージという話もあるコンクリート打放しの大屋根・・ 東側は屋外の礼拝にも使える様な設えになっています。ちょうど中央にある、白い壁から少し突き出た四角い出窓の内側にはマリア像が見えます。
屋根まで伸びる縦長開口部の、上部は光の入りを調整しているルーバー付きの窓、下部には屋外祭壇へ出入りが出来る扉があります。壁と屋根がくっついていないのが分かるだろうか、少し透かして屋根が浮いている状態になっています・・ 室内側から見ると、これがよく効いています。
室内の床は全体的に微妙に傾いています・・ もともとの地形に沿わした様な自然な傾斜がついていて・・ 反対に壁から浮いている屋根は端部へ向かって反り上がっていく・・ 床も屋根も壁も傾いた不定形をした・・ 静けさに満ちた空間の中、様々な光があちらこちらから差し込んできます。
(上写真) 祭壇方向を見る。右手の南側壁に設けられた開口部は “クサビ型” or “メガホン型” をしていて、小さな窓から取り込んだ光を増幅させています。
南側の壁は、壁の下部ほど厚みが増していて・・ クサビ型の開口も場所場所で様々な表情を見せています・・ 静寂の中、見た事のないような光に満たされた空間・・「光と静寂」「重さと軽さ」「曲線と直線」・・ 相反する様々な要素が共鳴した、何とも言えない・・ 詩的な、ここにしかない空間がロンシャンには在りました。
この空間の主役となっている南壁に設けられた、色とりどりの光が差し込んでくる窓・・ 窓は各々でデザインが異なり、色ガラスやペイントにより自由なデザインが施されています・・
「 鍵となるのは光だ。そして光はフォルムを照らし出す。」 「 われわれの眼は、光の下のフォルムを見る為に出来ている。」by Le Corbusier
村野藤吾さんの設計による「世界平和記念聖堂」(1953)を探訪。
被爆倒壊した教会を世界各国からの寄付により再建・・ 1948年に設計案を募り、建築界の強い関心を集めた設計コンペが行われ、丹下健三や菊竹清訓や前川國男などの日本を代表する建築家が優れた設計案を応募・・
打放しコンクリートの柱梁フレームに、現地の原爆の灰をかぶった土を含んだセメントレンガを積み込むという・・ 素材的にも工法的にも限定された構成・・ シンプルで実直な作り方が、再建への強い思い・・を伝えている様な気がします。
壁詳細を見る。壁のセメントレンガは・・全体に渡りリズミカルに、ところどころに突出させています・・ コンクリートとセメントの素材そのままで、四角く大きな直方体の・・建物の威圧感を和らげ、ファサードに質感と陰影を与えるアクセントとして良く効いています。
設計コンペは・・ 結果的には1等の該当者はなしに終わりましたが・・ 審査委員の1人であった村野藤吾が実施設計を委託されるという、なんとも納得のいかない結末。同じく審査委員であった堀口捨巳や吉田鉄郎はモダニズム色(コルビュジェ色)の強い丹下案や前川案に肯定的であったが、村野藤吾や今井兼次は否定的だったそうです・・
日本建築界の大巨匠・丹下健三の設計による「東京カテドラル聖マリア大聖堂」(’64)に行って来ました。1964年といえば東京オリンピックの年で・・もちろん丹下健三の最高傑作といってもよい「代々木国立屋内総合競技場」も竣工した年。
しかしこちらも負けずに素晴らしい・・ 十字型平面を覆う幾何学的な美しいHPシェル曲面による大屋根(大壁?)のみによるシンプルかつダイナミックな構成・・「代々木国立屋内総合競技場」と「東京カテドラル聖マリア大聖堂」・・同じ年に大傑作が2つも。
丹下さん51歳・・ 1952年の「広島ピースセンター」から始まった丹下健三絶頂期の終焉を飾る作品なのでは・・