「建築+クラフト」

プラスワンギャラリー」にて・・昨日から建築とクラフトの共同による展覧会が始まりました。建築側は倉敷美観地区の近辺で活動している方ばかり・・普段から交流はあるものの、なかなか一緒に何かをする機会は少なく・・各者の展示としてはA1パネル×2枚、模型が1つ2つ・・ 小規模の展示ですが、まずは第一歩として初めての試みです。
参加者(建築)・・佐渡基宏建築アトリエ、仁科建築設計事務所、高吉輝樹建築設計、t/rim design。 参加者(クラフト)・・木多隆志(家具)、岡本純一(陶器)、多鹿大輔(鋏)、新藤佳子(染色)。  (照明協力)・・磯谷晴弘(ガラス)。

伊福の家に設置した磯谷晴弘さんの照明
 t/rim design設計の住宅に設置された、ガラス作家/磯谷晴弘さんの照明器具

展覧会のタイトルである「小さな生活、大きな生活。」に込められた意味とは・・小さな器から大きな街まで・・人の手により、ひとつひとつ丁寧に作られた “クラフト” には・・ それらを見て触れる人の心と生活を・・豊かで楽しみのあるものとする事に、微力ながらも協力が出来るのではないかと・・それはスプーンや器の様な小さな物でも、照明器具や家具の様なヒューマンスケールの様な物でも、住宅や街の様なとても大きな物でも、同じ・・ 

ショーウィンドウにホワイトペンで描かれているのは・・ ギャラリー内で展示されている、各自の建築作品のアウトラインを1本の線で繋いでみたドローイング。
(ウィンドー内、木と鉄による家具は木多隆志さん。)

オオハラコンテンポラリー

防護服を着た少年

GWが始まりました・・昨日は大原美術館へ行って来ました。
(上写真) 大原美術館の中庭に 防護服を着た少年 が登場 !!  とても大きい!!
少年は「オオハラコンテンポラリー」(下写真) のためのスペシャル展示・・ 

大原美術館といえば、実業家で倉敷紡績の社長でもあった大原孫三郎が洋画家児島虎次郎と共に1930年に開館した、日本最初の西洋美術コレクションを中心とした私立美術館・・エル・グレコ、ゴーギャン、モネ、マティスなどなどの西洋美術の名品が数多くある事で有名ですが・・ それ以外にも中国・エジプト美術、日本の近現代美術、民芸運動の作品等・・色々なジャンル/時代の名品も同時に見る事が出来る美術館・・ 

オオハラコンテンポラリー

しかし、今回の「オオハラコンテンポラリー」では近現代の名品を展示するだけではない、同時代のいまこれから新たな世界をクリエイトしようとしている作家とも、積極的に協働している大原美術館の姿勢が一望できる展覧会でした。古い評価の定まった名品をじっくり見るのも良いのですが・・ 評価もまだ定まらない、今この時代の空気を形にしようとする若い作家の・・訳の分からないぐらいなエネルギーに溢れた・・ 見た瞬間に「ナンナンダコレハ???」と思わず考え込んでしまうくらいの・・ インパクトのある様な作品も面白い。

ヤノベケンジ

“防護服を着た少年” の作者であるヤノベケンジさんの作品を最初の頃に見た時も・・「YELLOW SUIT」(上左)や、「TANKING MACHINE」(上右)や、「GODZILLA」や、「ATOM CAR」などなど・・「ナンナンダコレハ???」という様な作品ばかりでした・・20年以上前から一貫して・・ずっと防護服なんですね・・無骨で騒々しく役に立たない、妄想に取り憑かれた男が造った、前時代の兵器の様な姿をした機械彫刻( これらの装置はヤノベさんにとって必需品らしい ? ) ・・・  モネといえば睡蓮、ヤノベケンジといえば防護服。

大原美術館の別館である有隣荘での・・特別展示「青木野枝  ふりそそぐもの – 有隣荘」もgoodでした・・ 有隣荘の和室や洋室などの各部屋に合わせて設置されたインスタレーション・・鉄を小さく切断し、溶接で繋いで、円や丸をモチーフに作られた、部屋いっぱいの・・例えは変ですが、”大きなクラゲ” のような作品が素敵でした。鉄という素材で空間に描いた線画のような青木さんの作品・・ クラゲの足にぶつからない様に歩くのに、やや緊張しました。

倉敷川に花嫁・・

倉敷川の花嫁

事務所の前の倉敷川の桜が満開で綺麗。手前の柳も新芽が綺麗。事務所から表に出ると・・花嫁さんと花婿さんが、舟に乗ってゆっくりと流れて・・結婚の記念となる写真を、美観地区で撮影される方は普段から結構多く。特に今週はよく見かけました。

倉敷の壁 #3

美観地区内、川沿いの大通りから一本入った通りの塀。竹でつくられた塀なのですが・・ 長い/太い & 細い/短い・・ の繰り返しによるデザインがGOOD・・ これは倉敷の町屋で多く見られる “倉敷格子” のデザイン・・ 
「倉敷格子」とは、主として町屋の1階正面部分の柱間に嵌め込まれる格子で・・ 親竪子の間に、上端を切りつめた細くて短い子を2本あるいは3本入れるかたちで・・形式的には親付切子格子と称されます。京都では糸屋格子とも称されます。

柱間に嵌め込まれた「倉敷格子」の場合・・ 格子内側には上吊り式の開閉式板戸・・  “符錠戸”を入れます。
(上写真)は出窓形式の、小さめの「倉敷格子」

台風12号

台風12号の倉敷川

この前の台風12号・・ 事務所前の倉敷川も上写真のような様子
対岸側はあと20cmくらいで道路に溢れそうなくらいまで水面が迫っていましたが・・ なんとか溢れずに・・台風は去ってくれました

大原美術館ワークショップ 2011〈終了〉

大原美術館のワークショップが終了。美観地区エリアにある・・・丹下健三の「倉敷市立美術館(旧市役所)」と浦辺鎮太郎の「大原美術館 分館」を案内させて頂きました。 同年代の2人の建築家による、同時代の2つの作品・・・1960年代に建てられた2つの日本近代建築の名作が道路を挟んで対峙しています。 参加して頂いた皆様に、それぞれの建築/建築家の特徴や魅力をうまく伝える事が出来ただろうか。
(上写真) まずは建築家とその作品について簡単に40分ほど説明。
(下写真) それぞれの建物を各40分ほど探訪。

普段は見る事/入る事ができない場所なども見学させて頂き、感謝感謝。
寒い中、2時間のワークッショップ・・・皆様、ありがとうございました。

大原美術館ワークショップ 2011

昨年に引き続き大原美術館のワークショップ講師を務めさせて頂きます。美観地区エリアにある1960年代に建てられた2つの日本近代建築の秀作を案内させて頂きます。
ひとつは倉敷市出身の建築家・浦辺鎮太郎(1909-91)の設計により1961年に建てられた「大原美術館 分館」。もうひとつは日本を代表する建築家・丹下健三(1913-05)の設計により1960年に建てられた「倉敷市美術館」。
見所/魅力が分かりにくい近代建築・・・普段は絵画作品を見るための器として目立つ事の少ない”建築そのもの”・・・にスポットライトを当て、その魅力 についてお話をさせて頂こうと思います。  

詳細は大原美術館のWEBサイトにて。お問い合わせは大原美術館「建物探訪」係まで

倉敷の壁 #2

日本郷土玩具館の海鼠目地
数年前に塗り直されたばかりの・・キレイな海鼠目地

筋違の海鼠目瓦張は倉敷をイメージしやすい分かり易い・・アイコン。
柱梁が外部に露出している民家とは違い、倉というのは外壁の土塗り壁で木部を厚く覆うことで、火災にあっても壁の外面には被害が及んでも柱梁までには及ばない耐火性を考えた「土蔵造」という構造になっています。
漆喰で塗り込められた太い格子が入った窓は、土蔵造の倉の窓としてよく使われている「奉行窓」といわれる窓形式。

倉敷の壁 #1

平目地瓦張と海鼠目地瓦張

 建物の腰に瓦が張りつけてある部分・・・ 「腰巻」の張り方が異なる建物が隣接し、コラージュ的になっています・・goodです。
瓦目地、基壇石の仕上肌など・・同じ素材工法でありながら少し異なる表情・・goodです。

左側は「平目地瓦張」。目地は瓦面と同一か or 少し引っ込んでいるか (垂直水平に通る一文字目地と斜め45度に通る筋違目地がある) 。
右側は「海鼠目地瓦張」。目地を埋める漆喰を半円形に盛り上げているのが海鼠形に似ている (これも一文字目地と筋違目地がある) 。
海鼠目地の方が瓦張りの形式としては本来のもので、平目地は省略した形式。海鼠目地は技術的に高度な上にコストも掛かる・・・海鼠目地を上手に仕上げる左官職人はどんどん少なくなってきている・・

大原美術館ワークショップ 2010

大原美術館のワークショップに参加することになりました。倉敷市出身の建築家・浦辺鎮太郎(1909-91)の設計により1961年に建てられ、近年ではDOCOMOMO(近代建築保存の為の国際組織)の運動趣旨に沿うかたちでDOCOMOMOJapan100選にも選出された・・・「大原美術館 分館」

一般的には見所/魅力が分かりにくいと思われる近代建築・・なおかつ近代建築が世界中に広まり各地域で多様化を遂げた60年代につくられた「大原美術館 分館」は捉えどころの難しい建築。普段は絵画作品を見るための器として目立つ事の少ない”建築そのもの”に作品としてスポットライトを当て・・・その魅力についてお話をさせて頂こうと思います。

2010年1月30日(土)
13:30~15:30