「建築探訪 93」-Sweden 1 / Stockholm

森の墓地

世界遺産にもなっている「森の墓地 (Skogskyrkogårdenスクーグスチルコゴーデン) 」を探訪・・ストックホルム市中心から10kmほど南へ (電車で10数分) ・・ 設計者は1915年に行われたコンペティションにより選ばれた・・グンナー・アスプルンドとシーグルド・レーヴェレンツの共同設計。広い墓地内には火葬場が1ヶ所、礼拝堂が5ヶ所、約10万の墓石 。

(上写真) 墓地入口より南を望む (時間は正午過ぎ) 。聳え立つ “聖なる十字架” を遠くに見ながら・・緩やかな起伏の敷地を少しずつ歩み・・墓地/礼拝堂/火葬場へ・・来訪者の気持ちを整えるために準備された・・ 設計者の見事なアプローチ計画。
十字架を超えた左側には、三礼拝堂と火葬場がある「森の火葬場」が位置しています。

森の墓地

広い芝生広場の中、真っ直ぐに伸びる割石敷の参道・・緩やかに上ってゆく参道のはるか先には “聖なる十字架” 。参道より右側は右前方の丘に向かって起伏がつけられ・・その先には “瞑想の丘” 。建築と自然が一体となった見事なランドスケープアーキテクチャ・・20世紀以降の建築としては世界遺産の第一号。

森の墓地
参道際にそびえ立つ大きな花崗岩の十字架・・この墓地計画の要となるシンボリックな存在
森の墓地
参道を見返す。十字架のすぐ横にある・・右側へと続く階段は、参道際にある墓地と「森の火葬場」を分けるところに位置しています
森の墓地
“瞑想の丘” より「森の火葬場」がある東側を望む。「森の墓地」の広大な敷地のほとんどは 森・・ 墓地入口から火葬場と丘を含むこの辺りだけが開放的な広場となっています
森の墓地
広大な敷地のほとんどは森・・その森の中に眠る墓の数は約10万・・樹々の間から陽が差しこんできます・・
森の墓地
自然と共に静かに眠る故人の墓へ・・ 森を散策しながら参る・・
森の墓地
墓石は極めて簡素・・小さく低く・・控えめな感じ・・
墓石の横に寄り添って座り、まるでピクニックをするかのようにお参りをされていました
森の墓地
三礼拝堂がある火葬場・・「森の火葬場」 への入口となる・・ロッジア前にある “睡蓮の池” 
森の墓地
列柱に囲まれた開放的なロッジアより “睡蓮の池” を見る・・その向こうには “瞑想の丘” ・・  

1915年、まだ無名だった若き建築家アスプルンドが30才の時に始まった「森の墓地」の計画は・・1920年に最初の礼拝堂が完成。1925年に2つめの礼拝堂が完成。1940年に主要施設である三礼拝堂がある火葬場・・「森の火葬場」が完成。

森の墓地
「森の火葬場」の完成を見届け・・その3ヶ月後にアスプルンドは55才の若さで亡くなります・・計画開始から25年が経っていました・・アスプルンドの死後は、1935年頃から共同設計を解消していたレーヴェレンツが再び計画に戻り・・計画を完成させます。(上写真) 「森の火葬場」のすぐ北側、参道際にあるアスプルンド(1885-40)の墓

建築家としての力をこれから発揮できるという50代で惜しくも亡くなったアスプルンド・・そんなには多くの作品を遺す事は出来なかったが・・建築家アスプルンドの事実上のメジャーデビュー作であり、最後の作品であり・・ 建築家としての生涯を賭した「森の墓地」・・・  1915から1940年という建築デザインの流れが大激動した時代の中で・・ 古典的なもの、近代的なもの、ヴァナキュラーなもの・・様々なデザインスタイルの激しい変遷を受け入れながらも・・ 訪れる者の心に強く訴えかける時代性を超えた場所/建築として・・見事にまとめ上げた北欧近代建築の巨匠・・アスプルンドの最高傑作。

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スウェーデン・フィンランド 建築探訪

先週は、アスプルンド/レヴェレンツ/アアルトなどの作品を見るためスウェーデン・フィンランド へ建築見学へ出掛けていました。天気にも恵まれ、たくさんのいい建築に触れる事ができ、たくさんの出会いもあり・・旅行で出会った皆さんのおかげでより良い旅となりました・・感謝感謝。訪れた素晴らしい建築の数々はボチボチとブログにUP・・