「建築探訪 151」-Aichi 5

豊田市生涯学習センター

妹島和世さん設計の・・「豊田市生涯学習センター」(2010)を探訪。愛知県の豊田市と言えば、こちらの建築が有名だが・・この建築もオモシロかった。少し郊外で時間が掛かったが・・愛知県の建築探訪のラストに来て・・goodでした。「フラットに積層する3層」が「上下で微妙にズレている」のがポイント・・外壁はほとんどガラス。

豊田市生涯学習センター

外壁は”うねるガラス”・・厚さ20~24mmの倍強度ガラス!!!。主体構造は鉄骨造。平面形はいわゆる”アメーバのようなグニャグニャとした形”・・”各層で異なる”グニャグニャとした外形ラインに囲われ・・”ほぼ正円形”の各室が各層で漂っている感じ。1階に多目的ホール・図書室・事務所、2階に会議室✕3、3階に講習室✕3、という建物。

豊田市生涯学習センター

外壁だけでなく・・各室を区切る”間仕切壁も曲面ガラス”。さらに階をまたいで連続する部屋もあるので・・この空間の連続感は”写真では実感がない”と思いますが・・断面的な上下の繋がりはこちらの建築に近いが・・開口部や間仕切壁部に「方立て」などが無い分、その効果がとても大きく・・”抜け”と”透け”が、この建物の方が際立っています。

豊田市生涯学習センター

内外にわたり、ガラスの曲面で構成された建物の中で・・白く浮かんだヴォリュームは「トイレやエレベーターが収まっている」スペース。その壁は”9mmの鋼板”で出来ていて・・耐震壁になっているそうだ。「20mmのガラス/外壁」と「9mmの鋼板/間仕切壁」・・1/50の図面で描くと「0.4mm」と「0.18mm」の線・・各階500㎡(150坪)程度の建物だが・・柱は直径100mm程度でスパンは普通の6m前後・・なかなか色々と普通では出来ない構成

豊田市生涯学習センター

3階のテラスより見る。コンクリートパネル敷きの半屋外スペースの中に・・「白い曲面で囲われた丸い部屋」と「ガラス曲面で囲われた丸い部屋」が並ぶ。「不整形グニャグニャ平面」と「フラット床積層」の対比が効果的で・・シンプル単純でありながら、とても現代的で、キレがある・・さすがの”妹島さん”という建物でした。

「建築探訪 97」-Tokyo/芝浦

SHIBAURA HOUSE

2010年には建築界のノーベル賞・・とも言われるプリツカー賞も受賞され、金沢にある21世紀美術館の設計でもよく知られた・・SANAAの妹島和世さんが設計された「SHIBAURA HOUSE」(2011) を訪ねる。残念ながらこの日は雨で・・写真がイマイチですが・・(上写真) 東南側から道路越しに外観を見る。5階建てのオフィスビルなのですが、隣の10階建てマンションと高さが同じです(1層あたりの階高が平均6mと普通よりかなり高いと言う事) 。

SHIBAURA HOUSE
リビングと呼ばれる1階のスペース・・5m以上あるガラス張りの広い空間が、通りと繋がる様に開かれていました。この日は多摩美大による企画展の展示が行われていました
SHIBAURA HOUSE
ラウンジと呼ばれる2階のスペース。右手の吹抜けは1階から階段を介して2階と繋がり、左手の屋外テラス吹抜けも階段を介して3階へと繋がっていく・・ 
SHIBAURA HOUSE
同じくラウンジと呼ばれる3階のスペース。右手の屋外テラス吹抜けは・・2階から階段を介して3階と繋がり、左手の屋外テラス吹抜けも階段を介して4階へと繋がっていく・・ 充分な天井高さがある各階が、さらに充分な高さのある吹抜けを介して、他階と繋がっていく構成の連続は・・ 建物内における伸びやかな空間の上下関係をつくり出していました
SHIBAURA HOUSE

建物全体が全てガラス張りなので・・建物内における伸びやかな関係は、更に外部に対してもドンドン開かれて行く訳で・・ 部屋と部屋、建物と外部・・という空間を隔てる物が全て取り払われてガンガンに開かれていく・・ SANAAらしい空間。(上写真) 10mほどの高さがある・・3階の屋外テラス。上部4階の傘が見えるフロアが・・この建物を運営されているオーナーのオフイスとなっています。(室内だけど日差しがキツイので日除けの傘・・寛容なオーナーに拍手)

「建築探訪 62」-Naoshima

海の駅なおしま

SANAA (妹島和世+西沢立衛) の設計による「海の駅 なおしま」(2006)。フェリーが直島に着くと、眼に飛び込んでくる・・ ひとつめの作品。大屋根の下に、イベントホール/券売所/休憩室/待合室/事務室などの機能を配置したフェリーターミナル ・・しかし見るからに、ただならぬ感じの様子・・・  柱が細い !!!!!!! ・・・高さが4m以上もあるのに直径85mm !!!!! 

海の駅なおしま

70m×52mのこんなに大きな屋根なのに・・こんなに細い柱なのに・・ グリッドスパンが 6.75m !!! ・・ 屋根厚は 155mm !!!  

海の駅なおしま
(左) 壁は鏡面に仕上げて、存在感を薄めています
(右) 梁同士の接合部はもちろん、柱と梁の接合部も・・ 余計なものが一切ないスッキリした見事なディテール。地面に突きさしたままの様な柱と床面の取り合いも・・何気ないですが・・ なかなか出来ない
海の駅なおしま
床には緩やかな勾配が付いています・・ 遮るものの存在が消されて、大きく薄い屋根に覆われただけの場所があるだけ・・嘘の様に見事な見事な抽象空間
SANAAによる「空」
島の中にあるアート作品。SANAAによる「空」
直島フェリーターミナル横の広場
フェリーターミナル横の広場にある、オレッキエッテのような椅子・・これもSANAAによる作品
右奥には草間彌生さんの「赤かぼちゃ」
ベネッセハウス
(左)この日の宿泊は「ベネッセハウス」・・ 安藤忠雄さんの設計により1992年に出来たホテルを備えた現代美美術館 。もう20年以上も経ちました、ここから様々なプロジェクトが始まっていったわけですね・・
(右) テラスで気持ち良く朝食。前日に岡山で買っておいた 岡山木村屋のパン と 煎れたてのコーヒー
直島nendo

直島をフェリーで離れる時に見送ってくれたのは・・ nendoによる、光るコーンのインスタレーション作品・・ キレイでした。

「建築探訪 30」 -Tokyo/表参道

ディオール表参道

「ディオール表参道(2004)」、設計はいまや日本を代表し、海外での活躍もめざましい・・「金沢21世紀美術館」の設計などで知られる SANAA/妹島和世+西沢立衛

四角/ガラス張り/ミニマリズム/レスイズム・・・いわゆるガラスBOX建築・・近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)の系譜・・今もスタイリッシュな作風の多くの建築家が憧れる・・・ミースの 「完全なガラスの箱のような、なにもない建築をつくりたい」 という夢は・・
「フリードリッヒ街のオフィスビル」というこの1919年に描かれたドローイング(下写真)から始まっています・・90年近く前にミースが描いた夢に今なお多くの建築家が魅了されているのです・・魅了されているというよりも”呪縛”だね