「建築探訪 174」- Gunma 3

昨年、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞も受賞され、米寿も迎えられた・・日本を代表する建築家・・磯崎新さん設計の「ハラミュージアムアーク」を探訪・・・東京品川にある「原美術館」の夏季分館として、自然に囲われた群馬県山麓に1988年オープンした木造美術館。ギャラリー上部のトップライトが特徴的・・すべての壁面に窓はなく、ギャラリーの採光は全てトップライトから取られている。

左右翼状に伸びる、ヴォールト屋根の板張りボリュームが特徴的・・・竣工から30年以上が経っていますが、(きちんとメンテナンスが行なわれていて ) 綺麗です
周辺には観光用牧場やゴルフコースなどがある・・なんとものどかなロケーション。古くからの湯治場として知られる「伊香保温泉」や、古刹「水澤寺」も・・すぐ近く
黒く塗られた・・下見板張りのボリュームに挟まれた中央部・・ステージとエントランス。広い敷地の中には様々な屋外展示の彫刻作品が点在しています
納屋を思わせる様な・・杉板、下見板張りの外壁を近くで見る。黒色に染色塗装・・壁上部のアールが効いています
エントランスロビーから中央のステージ部を見返す。床は玄昌石300角、天井は野地板構造用合板あらわしを黒く塗装
中央部のギャラリー・・正方形平面、ピラミッド型トップライト。この時の展示は、原始美術を思わせるミステリアスな木彫がインパクト大な・・「 加藤泉 – LIKE A ROLLING SNOWBALL 」
2008年に開館20周年として増築された部分を見る。学芸員事務室、収蔵庫、特別展示室を既存美術館の隣に増築・・ヴォールト屋根やピラミッド型トップライト、下見板張やスレート屋根など・・増築部分も同建築家により、既存部分と共通する建築ボキャブラリーで、構成
増築部のエントランスから、特別展示室に向かう通路を見る。右手手前が学芸員事務室、右手奥が収蔵庫。天井は既存部分と同じく・・野地板構造用合板あらわしを黒く塗装
学芸員事務室と収蔵庫の間にあるスペースの床に描かれた作品・・フェデリコ・エレーロによる「LANDSCAPE」
「觀海庵」と呼ばれる特別展示室を見る。内部には三井寺光浄院客殿に倣った書院の設えが・・宮大工の高度な伝統技で、入れ子構造のカタチで再現

東京品川にある「原美術館」は2020年12月を持って閉館の予定・・こちらにある「ハラミュージアムアーク」を・・「原美術館ARC」と改称し、こちらに活動拠点を集約されるとの事。

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「建築探訪 173」-Tochigi 6

内藤廣さん設計の「フォレスト益子(2002)」を探訪&宿泊・・・南側アプローチより見る。右手が宿泊棟、左手が展示休憩棟・・弓形平面の建物が大小2棟、アプローチ通路を挟みこんだ形・・地形なりの緩やかな勾配がついた・・タイル敷の通路へと自然に足が向かう。

床のタイルは・・”益子焼”の陶板タイル!!!!!!!!!。きちんと揃っていない目地が・・いい感じです。
左側の板壁の部分が宿泊室。板壁上に走る・・黒っぽい金属材でカバーされた部分は、電気/ガス/水などの配管が通るダクトスペース。回廊の上を覆うガラス屋根下に走る・・ルーバー材が効いています。
上から回廊のデッキ床材、排水溝カバーのゴロタ石、益子焼の陶板タイル。設計の時期が近いからなのか、ビルディングタイプは全く違うけれども・・同じく内藤廣さん設計の「牧野富太郎記念館」を、思い出さずにはいられない雰囲気・・
宿泊室内部を見る。左下に入口扉、その右側に浴室洗面。上部ロフトの窓は回廊に面した南向きのハイサイド窓。巾4m✕奥行6m(上部は7m)・・宿泊室は10室程度。
天井と壁の仕上げは合板のまま・・天井は4/10くらいの勾配で、一番低いところが2.3m、一番高いところは4.8m。

野山に生息する植物や動物が、自分の居場所を見い出していくように、その場所と共存する建築のありのままのあり方を探したい・・時には面白さや新奇さを排除する勇気を持ちたい・・」・・とは内藤廣さんが作品発表の際によせた言葉。

「建築探訪 172」-Gunma 2

高崎駐車場

隈研吾さん設計の「高崎駐車場(2001)」を探訪・・西面より見る。縦ルーバーのデザイン・・ルーバーの素材を2種類(コンクリートとガラス)として、角度をパラパラ・・建物の向こうにはJR高崎線の線路が近接。

高崎駐車場西面
西面を見上げる・・1枚のパネルは結構大きい!!!。4m程はあります。
高崎駐車場
時間帯にもよるのでしょうが・・この時は、ガラスルーバーもコンクリートルーバーも見た感じの印象があまり変わらない。日没後にはガラスルーバーは透けた感じになって・・素材の違いが映えるリズミカルなファサードになるのでしょう・・
高崎駐車場コンクリートルーバー
コンクリートルーバーを近くで見る。奥行きは450mm・・巾は先端で40mm、底辺で150mm程度でしょうか・・近くで測ってみると・・以外に大きくて、驚く!!!。200角程度のT字鋼、上下2箇所で支持。
高崎駐車場ガラスルーバー
こちらはガラスルーバー・・”乳白色”のガスケットのような枠材を4方に廻してガラスを固定・・こちらは通しの縦材2本にて支持。

「道路という土木構築物に付属する・・建築と土木の二重性の間にあるような・・駐車場というビルディングタイプを・・過度に建築化するという怠慢な解を極力回避・・」とは隈さんが作品発表の際によせた言葉。

「建築探訪 171」- Gunma

太田市美術館・図書館

群馬県の東武線太田駅を降りると、眼の前・・1971年生まれの建築家/平田晃久さん設計の「太田市美術館・図書館 (2016) 」を探訪・・外観からして普通ではない感じ・・

太田市美術館・図書館
建物の外周を・・いくつものスロープや階段が積層回遊している・・しかも内部は透け透け。内部に置かれている物が外部からもハッキリと見えています・・
太田市美術館・図書館
外周部分は鉄骨造で、コアのような内部の箱はコンクリート造・・・外周を巡るスロープや階段は・・屋上庭園まで繋がっていく・・「5つのコアとなるボックス」の廻りを「複数のグルングルン動線」で覆ってしまった様な・・見慣れない不思議な感じ・・
太田市美術館・図書館
エントランス付近を見る。左手の柵で囲われた部分は1Fカフェのテラス席。気持ちのいい晴天で、建築が映えます・・
太田市美術館・図書館
左手に図書館のBOX、右手には美術館のBOX・・BOX、螺旋階段、スロープなどが交差して・・様々な要素が行き交っている・・1Fの建物中央部の吹き抜けを見る。

駅前の風景ははやや閑散・・内部に入ると、例えが上手くないけど「活気のある都市のミニチュア」のような感じ・・・駅前から建物内へと自然に続いていった先が「立体的に凝縮された街の延長」という・・感じがgood。

平田さんの建築的キーワードで語るならば・・“生きている建築”・・アルゴリズム的な形式的一貫性を持った建築ではなく、それぞれの固有性を活かしたまま、“からまりしろ”のある、“ニッチを最大化”できるような・・“生きている建築”・・「”個”が織り成す生態系のような建築」

太田市美術館・図書館
グルングルン動線は・・ただ外周部を廻っているのではなく・・その広い動線スペースは、様々な人に向けた多様な居場所を形成していました。外部と一体化したようなギャラリー的スペースであったり・・
太田市美術館・図書館
本棚がぎっしりと並べられているスペースであったり・・床が傾斜したスペースの連続って・・訪れる前は、それってどうだろうと、思っていたけれど・・・
太田市美術館・図書館
いろんな種類の椅子が置いてあったり・・どこにいても結構楽しい。どこにいても別のスペースの様子がチラリチラリと見えて・・・建物内の全てのスペースが、立体的に共存しているようで・・そんな感じが、不思議に居心地が良かったです。(道路にあるようなカーブミラーは、案内サインになっています)

普遍的な美学や価値観から離れたところ・・了解可能性がまだ見えてないような「多様で複雑でゴチャゴチャして意外な」あたりで・・新しい建築のタイポロジーを発見しようという、変わることのない意志の強さ・・これからの世代を代表する建築家のマイルストーン的作品・・に感服した、建築探訪でした。

太田市美術館・図書館
管理上の理由とか何とか言って・・公共施設では”出られない屋上”が多いのだけれど・・ここは、誰でも自由に上がって来られる・・屋上庭園ランダムに散りばめられた・・白いボックスは照明器具の様です。

小規模な駅前の公共施設だけれども・・駅前の賑わいを取り戻す可能性を十分に感じさせる・・楽しく、居心地の良い建築・・他の町にはない風景(経済的原理や標準化が作り出す慣用句的な風景とは違う)・・ここにしかないという建築・・がgoodでした。

「建築探訪 170」-Tochigi 5

那須歴史探訪館

隈研吾さん設計の・・「那須歴史探訪館 (2000) 」を探訪。一見したところ、単なる切妻屋根型の建物なのに・・屋根勾配、軒の出、素材感で・・素敵なコンテンポラリー感を醸し出しているのは・・さすがという感じ・・

那須歴史探訪館
シンプルな外観・・サッシュレスが効いています、柱がスチール無垢材なのも効いています・・厚さ12mmのフロートガラスが・・砂利に差し込みそうなくらいにまで伸びていて、外壁巾木なしでギリギリまで、頑張った足元のデザイン・・
那須歴史探訪館
左手にあるのは敷地内の既存蔵、右手には陣屋門・・歴史的なエレメントに挟まれた、エントランス廻りの外観、切妻屋根型の妻面を見る・・・屋根の一面だけを伸ばしているのが、デザインのポイント・・
那須歴史探訪館内部
内部も外観と相似形・・切妻屋根型の展示室を見る。
那須歴史探訪館

窓側には、天井高さいっぱいまでの可動パネル・・藁(わら)で出来たパネル!!!!・・天井も「藁パネル」・・床は芦野石・・見学中は完全に貸切り状態で・・静かさが満ちる中、隈建築を堪能・・・栃木県での建築探訪は隈建築の5連続でした。

「建築探訪 169」-Tochigi 4

馬頭町広重美術館

だんだんと朽ちてきた屋根も、もはや「侘び寂び」な感じで・・素敵な現代建築・・隈研吾さん設計の「馬頭町広重美術館(2000)」を探訪・・竣工からもう20年。防腐不燃処理がされた60✕30mmの杉材によるルーバー屋根・・もちろん屋根本体はその下なので、実際には「屋根カバー」というわけなんですが・・

馬頭町広重美術館
個人的にはこの侘び寂び感のある・・屋根がgoodだと思いますが・・そろそろリニューアルする頃合いなんでしょうか?。北西側からエントランス付近を見る・・この「屋根カバー」が、この建築最大のチャームポイント。
馬頭町広重美術館
北側より見る。北側は一面砂利敷き。表面的な部材と言ってしまっても良い・・屋根カバーが、このプロジェクトの最大要点になっているという点が・・この隈建築の素晴らしさを語っている!!!!! ・・建物の形としては、これ以上ないというシンプルな切妻型・・
馬頭町広重美術館
軒の出が深い!!!!!!! 3m近く出ている感じ・・ガラスから2mほど突き出した先細りの鉄骨(細い!!!先端は50mmくらい?)で・・支えています・・綺麗な納まり!!!!!!・・使い慣れた、生産性の高い、便利でリスクのない・・慣用句だけで建てられた建築にはない・・凄さがありました。
馬頭町広重美術館
玄関へと繋がるアプローチ通路の部分を見る。外側のルーバーと内側のルーバーの間に・・本当の屋根が挟み込まれています・・
馬頭町広重美術館エントランスホール
エントランスホール内部を見る。ガラス壁を挟んで外と内のルーバー天井が、綺麗に繋がっていきます・・床は芦野石・・
馬頭町広重美術館
天井まで立ち上がる格子壁を挟んで・・左側が玄関、右側が展示室へ続く通路・・隈研吾さんの出世作・・”世界の隈研吾”に飛躍していくマイルストーンとなった代表作・・・といっても過言ではない、衝撃のある作品でした。

隈研吾さん曰く「ルーバーがつくる粒子感は広重の浮世絵に通じると感じた・・広重の・・その方法を建築という道具を用いて追いかけていきたいと願ったのである」

「建築探訪 168」-Tochigi 3

石の美術館

隈研吾さん設計の「石の美術館 (2000) 」を探訪・・地元の芦野石(あしのいし)を使ったルーバー&ポーラスな・・外壁デザインがチャームポイント。

石の美術館
道路側より見る。水面に石蔵が浮かぶ・・米の貯蔵のために使用されていた古い石蔵(もちろん芦野石)を、アートやクラフトの展示施設に改修
石の美術館
敷地奥から道路側を見返す。長ぁ〜い・・右手の「ルーバーな塀」は敷地を真っ直ぐに貫き。左手の「ポーラスな塀」はエントランスホールからプラザ・・茶室・・ギャラリーへと、折れ曲がりながら連続していきます
石の美術館
芦野石のルーバー塀・・詳細を見る。40✕120の石材をこま返し。芦野石は栃木県の那須地方で取れる安山岩で・・加工が容易、落ち着きのある表情が特徴の石
石の美術館展示スペース
展示スペースを内部から見る。ポーラスな塀を内側から見ると・・小さな窓がたくさん・・床も壁も、石・・石・・石・・
石の美術館
小さな窓から外部を覗くと・・窓には何も嵌まっておらず、外気がそのまま・・組積造の表情を見せながらもポーラスであるという・・芦野石の連続壁面が・・気持ちいいです
石の美術館ギャラリー
敷地奥のギャラリー内部を見る

各地でデザインされた隈建築の・・原寸模型 (大きさも素材も本物と同じなんだから模型ではなく、1/1のモックアップですね ) が展示!!!!!!!・・・左手には「ちょっ蔵広場」のモックアップ、右手には「レイクハウス」のモックアップ・・・かなり興味深いです。

「建築探訪 167」-Tochigi 2

宝積寺駅

宇都宮駅から2つ「宝積寺駅」で降りる・・見たこともないアグレッシブな天井のデザイン・・構造用ラワン合板と木毛セメント板という、駅舎とは思えない即物的なマテリアルの選択もgood・・・さすがの隈研吾さん設計による、2008年の建築。

宝積寺駅

町の東西も繋いでいる・・線路上に架かる自由通路を見る。左手中央部に改札口。構造用ラワン合板による天井デザインの・・連続が気持ちいい。

宝積寺駅

通路から階段へと・・止まる事なく増殖してゆく、天井のダイアゴナルデザイン。構造用ラワン合板ユニットの隙間には、設備機器を配置。

宝積寺駅

12mm構造用ラワン合板によるデザイン・・変形した蓋のない菱形の箱を・・ひたすらに貼り付け続けるという・・ルールとしてはシンプルな考え方で、マテリアルも素朴なもの・・だけど、さすがにgoodな感じ、ですよね。

宝積寺駅とちょっ蔵広場

天井のダイアゴナルなデザインは・・駅を降りたところにある、同じく隈研吾さん設計の建物とも・・呼応連続していきます。

「建築探訪 166」-Tochigi

ちょっ蔵広場

宇都宮から2駅、宝積寺駅を降りると・・このどっしりとした壁が街の顔として出迎え・・隈研吾さん設計の「ちょっ蔵広場(2006)」を探訪。この壁がこの建物のチャームポイント・・既存建物(米蔵)の外壁をこの壁に置き換えた”改修”・・”ただ石を積上げただけ”・・なんだけど、さすがの隈建築・・

ちょっ蔵広場

ホールの西面を見る。”への字型”に切り出した大谷石を・・ただ積上げただけ。奥に見えるのが、同じく隈研吾さん設計の「宝積寺駅」。石という材料で壁面を作ると、建物の表情はどうしても固いものになってしまいますが・・大谷石という柔らかさのある石材を使用する事と・・さらに穴を開けた壁とする事で・・石張りの建物にしては、異例の柔らかさ。

ちょっ蔵広場

ホールの北面を見る。壁の後ろはトイレなどのスペースに繋がる通路部分。西面の”への字”は均等なんだけど、北面の”への字”は徐々に”への字”の角度が・・変わっていくのが絶妙・・石は重たく閉ざしているモノのはずなのに・・”透けている石壁”という着想が・・goodですよね。

ちょっ蔵広場

「ポーラスな大谷石”への字”壁」のデザインの要点は・・この石を支えているスチールプレート。正面からは全く見えないが・・スチールプレートを水平に通しで設置、その上に大谷石を積む、そしてまたその上にスチールプレート・・という繰り返しで、この不思議な”ポーラスな石壁”のデザインが・・成立。

ちょっ蔵広場

こちらはホールの向かいにある「多目的展示場」。壁はホールと同じ手法で・・天井は壁のデザインモチーフが連続していく感じ・・天井部分はもちろん石ではなく、平板的な材料をグラフィカルに切り欠き加工したものでした。

「建築探訪 164」- Kagawa 7

豊島美術館

このムニュっとしたコンクリートの殻・・2010年にできた「豊島美術館」・・とにかく凄い空間&建築・・アーティスト内藤礼との協働によるワンルームの半屋内外空間・・・素晴らしかった!!!!!!!!!!!!。
(10年程経っているのでコンクリート屋根の”フッ素樹脂塗装”がそろそろ再塗装の必要有りでしょうか・・)

豊島美術館

建築設計はSANAAの西沢立衛さん・・・シームレス!!!!な、どこにも継ぎ目のない40×60mの一塊のコンクリートシェル!!!!!!。(どうやって???こんな建築を作るんだ???という印象とは裏腹に、施工過程は意外と原始的で、人力勝負だったりもするので、ビックリ!!。) 
残念ながら内部撮影禁止なので・・こちらを

豊島美術館カフェショップ

美術館に隣接したこちらのカフェショップは、美術館のミニチュアのような類似型の空間でおもしろい・・・訪れた日は、多くの外国人・・・瀬戸内海の小さな島という、不便な場所に在る美術館ながら・・海外の旅先として、足を伸ばしてでも訪れたい魅力がここには在るのでしょう・・建築とアートと自然が調和連続した・・ダイナミックな唯一ここにしかないという・・アートな場所。