「建築探訪 146」-Gifu2

大スロープ、水平に重ねられた高欄手摺と大きな開口部、屋上に載せられた凸凹屋根、聳える火の見櫓・・坂倉準三建築研究所の設計による「羽島市庁舎(1958)」を、今年の5月に・・探訪。羽島市は坂倉準三の故郷、実家は近くにある有名な造り酒屋(千代菊)・・北側から見る。坂倉の庁舎建築といえば、呉市庁舎や旧枚岡市庁舎。

建物の東側には・・高く聳える”火の見櫓のような”望楼と、4Fまで繋がる折り返しの大スロープ。この角度から見ると、各建築的要素の構成による、建物のダイナミックさがよく伝わる。

この建築の大きな特徴・・2Fのメインエントランスへと繋がる、建物を南北に貫く、大きな斜路。坂倉さんの建築と言えば・・建物をプロムナード的に巡っていく階段やスロープといった物の・・存在感や独立感 が際立っています。有名な1937年のデビュー作である「パリ万博日本館」もそう!!。

南側の立面を見る。建物の廻りには小さな池が張り巡らされ・・坂倉準三の傑作である「カマキン」にも通じる、水辺と建物の関係性。屋上に突出物を載せるデザインは師匠ゆずりで・・いかにも「コルビュジェ」!!。

坂倉の設計による東急文化会館呉市庁舎が撤去され・・そしてまたこの建物も”サヨナラの危機”(今月初めに新庁舎建設工事の公募型プロポーザル」の公告が羽島市より発表)・・個人的に思い出のある大阪の枚岡市庁舎も危なそうだし・・近年次々と撤去されていく坂倉建築・・。今は使われていない、折り返しながら4階まで上がる大スロープを見る。

大スロープ横にある、望楼への入り口部に目がとまる・・壁面と開口のバランスが何ともgood・・それを際立たせているのが、この型枠の割付け・・

昔の”コンクリート打放し”は・・コンクリートを流し込む為の木製型枠が、大きな1枚のパネルではなく・・フローリングのような板材を貼りあわせた物・・しかし、この割付けはとても手が込んでいて、goodです。

「建築探訪 137」-Finland 22 / ALVAR AALTO 17

アルヴァ・アアルト設計の「セイナッツアロの村役場(’52)」を探訪。元々は・・小さな建物ながら会議場、図書館、オフィス部、居住部、店舗部などなどの複数機能が1つの建物の中に構成されていた、人口3000人の湖に浮かぶ小さな島の為に建てられた建築・・現在は役場/図書館の機能のみ。戦前の「白いモダニズム建築」の旗手としての “白いアアルト” から脱した・・戦後の “赤いアアルト” としての出発点となった・・アアルトの代表作。「レンガマッスなヴォリューム」と「大小様々な木製窓」による外観の構成を南西より見る。

ひときわ高いのが会議場部。平面的には「ロの字型の中庭形式」。2層のレンガヴォリュームで2階にある中庭を囲んだカタチ・・ロの字の角、2角を欠込んで外部階段が設置されています。左手の建物出隅に竪ルーバーを設けている部分が図書館棟。微妙というか・・絶妙に調整された全体の不規則な形。ヴォリュームと開口部の”細かな”形態操作で・・アシンメトリーな絶妙バランスに至る感覚がexcellent !!

外部階段を上がり中庭へ至る。右手にエントランス・・木製パーゴラ、木製建具、板金屋根により構成された、ヒューマンスケール&ヒューマンマテリアルな建築・・
高さをグッと抑えた回廊が中庭を囲む。「レンガマッス」な外側ヴォリュームとは対比的・・開放的な中庭の様子
天井高さを抑えたエントランスホール。床素材の切替えが楽しい
エントランスから続く、中庭に開けた明るい回廊

開放的な開口部、レンガ/木板のリズミカルな繰り返し壁面、レンガの腰窓・・黒い柱の存在も効いていて・・何とも居心地が良く、落ち着く空間。腰窓のレンガベンチのスリットは暖房用・・溝下部に設置された暖房器具の熱を窓辺へと導く。

議場へと続く、ハイサイド窓から入る光が印象的な・・階段室を昇っていく。「重量感のあるレンガ壁」と「光を受けた軽やかな木製天井」の対比が・・goodです
「レンガ壁」と「木製天井」と「大きなルーバー窓」が印象的な議場を見る

放射状に伸びた腕木により・・屋根を支える「2つの扇形トラス」の形態が特徴的なのですが、議場内が暗く・・うまく写真は取れませんでした。(照明が点いていないので・・でも自然光での空間の雰囲気がよく分かるのでgoodです)

ザクッとした言い様ですが、その物言いがピタリとはまる・・”何ともアアルトらしいマテリアルとプロポーション” な・・図書館棟を見る。1階部の大きな横長ガラス窓が・・もともと店舗として計画されたという経緯を物語っています。レンガ壁の目地が少し深めに取っていたり、レンガの仕上がりや色が均一でなかったり・・そんな事も建物の味として効いています。

以前に訪れた「アアルトのアトリエ」を思わせる、光の取り入れ方・天井の形・・もちろんこちらの建築の方が年代としては古いので・・あちらがこちらに似ているのですが。天井高さいっぱいの窓から、たくさん光が入り・・とても明るい図書館棟の2階を見る