PLAY 展

大阪の国立国際美術館で行われている「THE PLAY since1967」を訪れる。1967年より関西を拠点に、活動を継続してきた芸術家集団・・「プレイ」の展覧会。(上写真)手前にあるのはプロジェクトで使われた「発泡スチロール製のイカダ」・・

「矢印型のイカダで川を下る」というプロジェクト。「限られたスペースに展示するためのアート」ではない・・「体験する行為としてのアート」・・というPLAYの作品活動の基本が顕著に現れている作品・・

「家型のイカダで川を下る」というプロジェクト。発泡スチロールとベニヤ板で出来た・・六畳一間のイカダで、生活しながら川を下るという作品・・

理屈ではなく、身体を使って”トニカクヤッテミル”というのが・・PLAYの活動の基本のようだ・・

50年間の活動記録を「仮設足場にベニヤ板を張っただけの展示パネル」で、シンプルに淡々と展示していく構成が・・goodでした。

こういった展示什器もベニヤ板と角材でシンプルに構成・・goodでした。

会場入口横にある、丸太で組まれた三角塔は、1977年から1986年までの毎夏行われてた「雷」というプロジェクトのために作られた塔の再現・・一辺20mもある塔を毎夏ごとに大峰山や鷲峰山の山頂に組み立てては解体・・その先端に設置した導雷針に”雷が落ちる”のを10年間待ち続けたが、結局”雷は落ちなかった”という作品・・性急に何かを求めない、緩やかだけど粘り強い・・PLAYの手法、色々と勉強になりました!!!

じつは、私(トリムデザインのT)の・・建築の師匠は、このPLAYのメンバーとして40年以上にわたり活動されてきた方なのです・・展覧会は2017年1月15日までなので!!!  是非是非、大阪/中之島の国立国際美術館に!!!

K2 GALLERY

まだ年末ではないけれど・・片付けをしていると思いがけない物に、ふと眼が止まります。「GA INTERNATIONAL」が大阪でも行われていた頃があり・・
場所は懐かしい「K2ビルディング」。言わずと知れた、京橋駅前にあった、篠原一男‥設計によりバブル期に建てられたポストモダンな商業ビル建築。その3Fにあったのが “K2 GALLERY”。
1990年代、大阪であっても、いろいろと建築系展覧会を見に行けた・・数少ない場所でもありました。
( K2のロゴマークも、チュミのドローイングも・・goodで、今でも大好き )

「建築探訪 130」-Osaka/茨木

光の教会

安藤忠雄さん設計の「光の教会」(1989)・・竣工からもう四半世紀!!!  学生の頃、大阪在住だったからなのか・・建築専門のメディアだけでなく一般向けの雑誌TVでも・・度々眼にする事が多かったANDOさん・・「建築家といえば=安藤忠雄」。関西ローカルの放送だったのか?・・この教会の建築工事に追ったTV番組もありましたよね。

(下写真)18×6×8mの箱に、壁1枚だけ挿入という・・シンプルな構成

90年代に入ると公共建築などの大規模な作品にANDO建築はシフトしていくが・・建築史上、不朽の名建築と言っても過言ではない東邸(’76)同様・・とても小さく/とても質素だけれども・・厳選/熟考/純化された・・素材、ディテール、空間構成、光、記憶・・見えないものをカタチへと変える、建築家/安藤忠雄の力が遺憾なく発揮されたであろう・・珠玉の小建築。  
(上写真 左上) 開口部そのものが十字架という・・アイデアがこの建築の要。

(下写真)十字架の開口部詳細。もちろんガラスが嵌まっていますが・・ANDOさん的には、ガラスは入れたくなかったそうです・・

光の教会

「あそこガラス入れたら、なんか・・ん~難しいな。ないほうがええな」
「別になくってもええの違うかなぁ。ちょっと寒いだけやろ。」
「そらちょっと寒いわなぁ。だけどきれいや、なんか」
「ガラスないほうが。パーっとするで」

上記の言葉は、平松剛著「光の教会-安藤忠雄の現場」より・・さすがに「世界のANDO」な発言!! 大胆な提案!!・・光の教会(’89)、こどもの館(’89)、ライカ(’89)、タイムズ(’91)、水御堂(’91)、姫路文学館(’91)、大手前(’92)、六甲2(’93)・・80年代後半~90年代前半、竣工したばかりの(力作揃いの)ANDO作品を数々探訪していた学生時代が・・懐かしい限りです。

「建築探訪 45」-Osaka/中之島4

ロイヤルホテル

先週末は「ロイヤルホテル」(1973) へ行って来ました。
設計は吉田五十八+竹中工務店 設計部。 *現在は「リーガロイヤルホテル」。
基本計画が竹中工務店 設計部により進められていたが・・ ホテル建築としてのデザイン面での質を、さらに高める為に・・ 途中から吉田五十八が参加。

(上写真右) 客室内より対面棟の外壁を見る。整然と並ぶアルミサッシ窓とタイル張りの壁面・・何気ないが、なかなか綺麗!! 。結局、建築は比率やバランスがやはり肝要ですよね。(上写真左) 遠くから外観を見ていると分かりにくいのですが、外壁は着物などの絣(かすり)模様を表現 (写真で分かるかな?) 。・・ 茶褐色の濃淡をつけたタイルで表現されています。外観ヴォリュームは竹中っぽい。

ロイヤルホテル

(上写真) ラウンジを見る。ロイヤルのラウンジも圧巻!! 。まず眼に入るのが、正面大開口から入ってくるたくさんの”光”・・開口の先には”緑”・・中央には流れ落ちる”滝”・・ その滝からの流れが、そのまま室内へ流れこんできたかの様に・・ラウンジ中央には曲水の宴のごとき優美なラインの流れが・・室内を「庭に見立て」たような構成がGOOD。蒔絵のごとく赤い柱にほどこされた金色の「棚引く雲」と、その上を覆う光輝く「雲のようなシャンデリア」による構成もGOOD。「庭と雲」によりデザインされたラウンジはまるで天上のような優雅さ。さすが吉田五十八と感心感心。

*この日のラウンジでは結婚式が行われました(大学の友人であるI君の結婚式) 。大開口からは暖かな日射しが差し込んでいました。

「建築探訪 44」-Osaka/上本町

シェラトン 都ホテル大阪

村野藤吾の遺作のひとつである「都ホテル大阪」(1985)に行ってきました。
*現在は「シェラトン 都ホテル大阪」です。

シェラトン 都ホテル大阪

(上写真左) 北西から外観を見る。千日前通りに面したファサードは、そびえる巨大な壁面といった感じだが・・他の普通のビルとはやはり違う・・どこか優しい品のある様な”姿”が美しいのだが・・写真ではうまく雰囲気が伝わらない。遠眼には分からない様な、少し少しの細かなデザイン処理が・・雰囲気の違いを生み出しているんだと、思います (写真は曇りだったので イマイチ)。

(上写真右) 近くで見ると壁面はゆるやかに波打っています。このわずかな波状のうねりが非常に効果的・・村野さんらしい凝った壁面デザイン。外壁はアルミ鋳物パネルで・・中央部の突出したパネルと、その両サイドの細かなRのついた溝でデザインされた細長いパネルと、大小のパネルによる構成。細長いパネルだけは頂部で中央パネルより長く伸びて、屋上の手摺支柱となっています。(写真では分かりづらい)

シェラトン 都ホテル大阪
(左) 窓部を室内から見ると・・外壁が突出しているところは、ちょうど窓下の空調機がある部分となっています
(右) 窓下の換気窓は打ち倒しで少しだけ開きます。その外側には・・ きちんと外壁材が張られています
シェラトン 都ホテル大阪
建物基部を支える地面から生えてきたような力強い、大きく太い柱の列柱・・の様に見えますが、実はこれは地下用給排気シャフ
シェラトン 都ホテル大阪
駅ターミナルからホテル側を見る。建物のつなぎとなっている部分に架かるキャノピーが綺麗です・・ 昨日触れた「千代田生命本社ビル」に似てます。  (上写真右) ホテル側から見る
近鉄新本社ビル上本町ターミナルビル

上本町にはホテル以外にもいくつかの村野作品があります。(村野さんと近鉄は戦前からつづく長い関係)
(上写真右) ホテルの手前は「上本町ターミナルビル」(1973)。これは外装リフォームが近年された様子・・ もともとは薄いステンレスサッシュのポチ窓が規則正しく綺麗に並んだ壁面デザインでしたが・・。
(上写真左) 「近鉄新本社ビル」(1969) 。奥にホテルが見えてます。サッシュと壁面を同一面で納めた・・おなじみの村野デザイン。

村野建築の魅力は・・モダニズムデザインが基本となっているのだけれども・・キチンと全体姿が3層構成だったり、規則正しいポチ窓だったり、細部ディテールがやや装飾的で凝ってたり・・と随所に、様式建築的/古典的/日本的/伝統的なテイストが加えられ・・一言では言い切れないような、絶妙なデザインのバランス感覚の巧みさと上品さにあるように思います。

「建築探訪 38」 -Osaka/梅田再開発 2

富国生命ビル

先日はいろいろと用事で大阪へ・・(上写真は)オープンしたばかりの建替えられた「富国生命ビル」。設計/施工は清水建設・・デザインアーキテクトには「フランス国立図書館」の設計で有名なフランス人建築家ドミニク・ペロー・・・力強く根を張った樹木の姿から着想、建物壁面は周囲を映す鏡面の「樹皮」・・・だそうだ。デザインアーキテクトという立場では、実際どれくらい細かく設計に関わっているかは計り知れませんが・・ 「ブリーゼタワー」に引き続き梅田に外国人建築家による”おしゃれな”高層ビルが完成しました。

富国生命ビル
ランダムにデザインされた凹凸のあるガラス面・・下の方は大きく上にいくほど小さくなっている・・正面には色のついたガラス、小口には鏡と、面により使い分ける事で複雑に周囲の建物がガラス面に映り込んでいる・・・そんな姿がペロー氏の言う “樹木”のイメージなんでしょうか・・・完成度は精緻とまでは行きませんが・・・こういうランダムなリズムのデザイン・・嫌いではないです・・

用事の1つ・・知人の方がモデルコンテストにてグランプリを受賞 !! 
大阪城で催された展示会場に見に行って来ました。この模型が凄い・・細部までの執念的な作り込み&美しさに感動しました。

どこから凝視しても手抜きのない精緻さ・・素晴らしい。建築もこうでなければ・・・「細部に神がやどる」とは近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの言葉。

「建築探訪 37」-Osaka/梅田再開発

JR大阪駅

先週は大阪に帰省&お墓参りへ行っておりました。
(上写真) 宿泊した駅前のホテルからJR大阪駅を見下ろす。
再開発がどんどん進み、何もなかった駅上に大きな屋根と高層ビルが・・・
左下に見える関西名モダニズム建築のひとつ吉田鉄郎設計による「大阪中央郵便局(1939)」も駅前再開発の影響で周囲を工事塀で囲われ、取壊して高層ビルに建て替える準備でしょうか・・・フェスティバルホールの入っていた中之島の「新朝日ビル」もすでに取り壊され、高層ビルへの建て替え工事が始まっていました・・

梅田

(左写真) 阪急百貨店も高層ビルに変わってしまい・・梅田の顔である阪急のビルが・・このデザインでどうなんだろうか ???
ここ数年で大阪の顔である中之島や梅田の様子が大きく変わり・・だんだんと見慣れない姿に変わっていくのはやはり少し寂しい感じ・・

(右写真) 大阪で勤めていた時には、いつもこのビルの足下を自転車で通っていた「富国生命ビル」も建替え・・・基本デザインは「フランス国立図書館」の設計で有名なフランス人建築家ドミニク・ペロー・・・さすがに一味は違うが、やはり本国で設計する建物のようなレベルにまでは遠く及ばないのは仕方ないか・・・力強く根を張った樹木の姿から着想、建物壁面は周囲を映す鏡面の「樹皮」・・・だそうだ。
2008年に竣工した・・やはり有名外国人建築家を基本デザイナーに採用した梅田の「ブリーゼタワー」も同様ですが・・・様々な物事がグローバル化している時代においても、建築の出来映えという点では・・やはりヨーロッパの建築家にとって・・・日本は遠すぎるのではないでしょうか。

大阪の皆様、いろいろと有難うございました。

「建築探訪 25」 -Osaka/枚岡

旧枚岡市庁舎

「旧枚岡市庁舎」(’64) 設計:坂倉準三建築研究所・・設計担当は西澤文隆(私達のボスのボス) & 東孝光(都市住宅の傑作「塔の家」で有名)

この建築は東大阪市東部、生駒山の麓に南北に長く伸びる商店街北端のあたりに位置しています・・近鉄瓢箪山駅から北へ商店街のアーケードを抜けて、真っ直ぐ進むと見えてきます・・・商店街の模型屋さん、本屋さん、この建物の前にあったレンタルレコード屋さん、この建物のすぐ横が夏休み水泳教室か何かの申し込み会場だったり・・・中学生くらいまではこの当たりは日常生活圏でしたのでいつも眼にしていた建築・・・反りのある “大きな庇” が子供心に印象的でした・・・

建築を勉強してよく知った今改めて見ると・・コンクリート打ち放しによる大胆な造形&ブリーズソレイユ/モデュロールによるリズミカルなスチールサッシ割り/屋上庭園/屋上に載っている三角屋根等・・コルビュジェのデザイン言語の多用・・設計担当であった東孝光さんの話しによると、東大寺大仏殿の屋根にひそかになぞらえたデザインだそうだ・・・コンクリート打放し庁舎建築に寺院建築の軒ラインかぁ・・・渋いなぁ・・

もともとは枚岡市の単独市庁舎でしたが、三市合併後は東大阪市東支所として利用されています・・「旧枚岡市庁舎」は Docomomo (近代建築の保存と調査のための国際組織)の運動に賛同した日本建築学会 近畿支部が独自の試みとして選んだ「関西近代建築20選」のなかに入っています・・

「建築探訪 22」 -Osaka/大阪城南西 2

Halftecture大阪城レストハウス

大坂城公園の南西角にあるトイレ&休憩飲食施設 「Halftecture大阪城レストハウス」(’06)は遠藤秀平さん(1960-)の設計。

特筆すべき箇所は”屋根”・・白い箱の上に、細柱により支持された19mmのドーナツ型鉄板の屋根が乗っている・・径70mmの鉄パイプ3本(h=約3.0m)を上下プレートで固定したセットが1つの柱として計25組で直径約20mの鉄板屋根を支えている・・・室内部に面する屋根面には白く塗装、屋外部の屋根面は仕上げなし鉄板のまま(耐候性鋼板といって表面が赤錆で覆われた状態)

天井裏が全くない厚19mmの薄い面が、室内と空を隔てているだけだ・・しかもこの面は柱間で微妙に”たわんでいる”・・(上写真)で分かるだろうか・・
構造計算ミスでも施工ミスでもなく、設計した建築家の意図だそうだ・・

Halftecture大阪城レストハウス

遠藤秀平さんと言えば90年代中頃から続いてきたコルゲート鋼板(土木工事などに用いられる工業製品)による作品がよく知られていますが・・最近はこれまでとは少し違う方向へ向かわれている様です・・しかし遠藤さんの作品に一貫して見られるコンセプトは “鉄が鉄のまま”であるという素材があるがままにある状態を重視する姿勢 & “(屋根で)覆う”という建築の初源的行為を重視/伸展させようとする姿勢 ではないでしょうか・・

遠藤さんによる解説では、この建築のテーマは”重力”・・建築が逃れる事の出来ない拘束としての”重力(自然の摂理)”を排除することなく、受容することの可能性を試みること・・

(上写真右)の鉄扉を作られた彫刻家/吉田和央さんには、独立する前/大阪の事務所で何度かお世話になりました・・非常にデザイン&質の高い、素敵な金物(鉄扉/庇/手摺り等・・)を設計した住宅&福祉施設等にあわせて制作して頂きました・・

「建築探訪 21」 -Osaka/大阪城南西

NHK大阪放送会館+市立歴史博物館

大坂城公園南西部から「NHK大阪放送会館+市立歴史博物館」(’01)・・設計はシーザー・ペリ&日本設計&NTTファシリティーズの共同設計(シーザー・ペリは大阪では中之島の「国際美術館」(’04)も設計でお馴染み)・・・左棟タイル張りの建物が博物館、右側ガラス張りの建物がNHK・・”建築的”にはそんなに印象には残らないのですが・・

何か”子供心”をくすぐるものがある・・・アニメの1シーンに出てきそうな感じがするキッチュとも見える全体シルエット・・ロボットの胴体を思わせるようなNHK棟ガラス張り部の膨らみ(ガラス両側部が腕のように見えるし・・)、2棟の間に挟まれた”地球儀”・・・近未来特撮ものの「防衛軍本部」として出てきそうだ・・なんて馬鹿な事を思うのは私だけでしょうか?

週末、大阪でお世話になった皆様、本当に色々ありがとうございました。