「建築探訪 142」-Finland 27 / ALVAR AALTO 21

フィンランド文化の家

フィンランドでの”アアルト建築巡り”も、いよいよ最終・・天気は良好、休日の午前中につき (残念ながら内部は見られませんでしたが)・・歩いている人も車も、ほとんど無く・・外部をじっくりと建築鑑賞。アルヴァ・アアルトの設計により、ヘルシンキ市内に1958年に建てられた「文化の家」・・道路に面した「長い庇」の奥に、仕上げ/形態/機能の異なる「2棟の建物」が並置・・

フィンランド文化の家

多目的ホールとして使われている、左手の建物の出隅を見上げる。他のアアルト建築でもあまり見かけない「大きくアールを取った正方形レンガ」がとても印象的な建物・・写真では平面形はイメージし難いと思いますが・・アアルトの十八番である「アシンメトリーな扇形の有機形態」をしています。断面的にも面白く、起伏のある山のような屋根・・で覆われた建物であります。

フィンランド文化の家
アアルトの名前と工事年が書かれた「プレート」が張られています・・木製窓、レンガ壁、板金パーツ・・のバランスが、なんともいい感じです
フィンランド文化の家
建物の出隅部詳細を見る。今回の”アアルト建築巡り”でも何度も実感させられた事・・建物に触れる事が出来るくらいの至近距離で見る方が・・アアルト建築はとても楽しめるという事・・この素材感を感じられる距離でマテリアルを味わい・・再び全体形を思い返して、再び納得・・という感じが楽しい。
フィンランド文化の家
2棟の間にある、中庭からレンガ棟を見る。今回の”アアルト建築巡り”で幾つも幾つも見てきた・・ “アアルト窓“、”アアルト窓“、”アアルト窓“・・ この建物は、もともとは「フィンランド共産党本部」として建てられたそうです
フィンランド文化の家
中庭から、右手にある「オフィス棟」を見る。金属板と水平連続木製窓の繰り返し・・中庭に面した、2棟のつなぎ部分が管理部門のエントランス
フィンランド文化の家
有機的で不正形な「レンガ棟」とは、著しく対比的な・・キューブで水平連続窓な「オフィス棟」。本当に、別々の施設かと思える程に、ひとつの建物で、意匠も形態も素材も異なった2棟が中庭を挟んで建つ構成が・・ユニークな建築
フィンランド文化の家
オフィス棟を見上げる。銅板がいい感じで経年変化しています。やはり・・金属は金属らしく、そういう素材とディテールの扱い方が・・goodです
フィンランド文化の家
オフィス棟の木製窓を見る。北欧では、この様な規模のオフィス系建築でも木製窓・・断熱係数の優位性を考えれば、もちろん金属よりも木材ですが・・木材も板金材も「正面からビス納まり」だが、以外と気にならない・・
フィンランド文化の家

20件を越えた、今回のフィンランドでのアアルト建築探訪の最後・・”アアルト窓” にタッチしてお別れ。でも、まだまだ行きたかったけれど、行けなかった・・アアルト建築はいっぱい。またいつか “アアルト建築巡り” ・・にフィンランドを訪れたいものです。

「建築探訪 141」-Finland 26 / ALVAR AALTO 20

アアルト設計銀行ビル

光沢を抑えた金属製ファサードの渋さが、とても印象的な中層ビル・・ヘルシンキ市内にある、1964年アルヴァ・アアルト設計により建てられた “銀行ビル”・・アアルト作品集による建物名は「ポホヨスマイデン・ユフディスパンキビル」。同じくアアルト設計による、同デザイン系列の中層ビル・・「ラウタタロ」や「アカデミア書店」も、実はこのすぐ近くに建っています。

アアルト設計銀行ビル

通りに対して並んで建つ、左右の既存ビル・・そのそれぞれの高さに揃えて建てたのが・・デザインのポイント。左右の軒ラインを調整する役割を担い・・大屋根のある上層部はセットバックして、存在感を弱め・・街並みに配慮。

アアルト設計銀行ビル
垂直水平に伸びる、細いダブルラインの幾何学で構成された・・ファサードデザイン。銅系金属材ファサードの重々しさを上手く中和する・・上品で軽快な印象のダブルライン・・縦勝ちです。
アアルト設計銀行ビル

縦のライン2本はすっきり・・横のライン2本には少しモールディング的な変化をつけ・・上下でそれぞれ少し形を違えているのも、デザインのアクセントとして、とても細かい処理ですが・・現場に立ってヒューマンスケールで建物を見ていると、この細かな処理が全体のファサードに・・とてもよく効いている様に思えます。窓は、アアルト建築ではお馴染みの・・いつもいつもの「大きなFIX + 縦長開口」の・・ ”アアルト窓”。

アアルト設計銀行ビル
通りから控えた1階部分を支える・・石と金属により構成された、この柱がとても素敵でした・・建物全体は金属的な素材でファサード全体を仕上げている中、浮いているかの様に、柱4面に貼り付けられた石材12枚の存在感がとてもgoodでした
アアルト設計銀行ビル
この大きく面を取られた部分の金属材・・角度も大きさもgood。石材のエッジを見せた納まり・・両側のモールディングのような見切材の存在もgood・・
アアルト設計銀行ビル

柱の足元を見ると分かり易いのですが・・四角ではなく、ほんの少しテーパーを取った・・台形平面の柱なんですよね・・素材の経年ぶりもgoodです。なんて事ない、街中の中層オフィスビルなんだろうと思い、ぶらりと見に来たけれど・・「さすが、北欧の大巨匠だ!!」・・と、誰もいない早朝のヘルシンキで、感嘆感心。

「建築探訪 140」-Finland 25

テンペリアウキオ教会

建築関係者だけでなく・・フィンランドを旅行された多くの方が訪れる観光地としても知られる「テンペリアウキオ教会」。ティモ&トゥオモ・スオマライネン(Timo ja Tuomo Suomalainen)の設計で1969年に完成。アプローチ側から外観を見ると、この建築の一番の特徴である・・「岩盤と建物が一体化」している状態が良く分かる・・

テンペリアウキオ教会
内部の壁も自然のままの岩盤が露出・・氷河期から残るという、岩盤を削った半地下部に教会のメインフロアが計画されています
テンペリアウキオ教会内観
コンクリートシェルの天井を支える梁間から落ちる光が、とても効果的です。シンプルな構成による建築。天井のとても細かな銅板張りがキラキラしているのが、この写真で分かりますか・・
テンペリアウキオ教会2階席
2階席を見る。団体で訪れる観光客が入れ替わり立ち代わり・・分かりやすい建築なんでしょうね、誰にでも人気のある近代建築
テンペリアウキオ教会屋上
この建物を訪れた際のお勧めは・・実は、(観光客はほとんどが上がらない)建物の上に上がってみる事。建物を囲っている「極厚の外壁」と言ってもいい・・巨大な岩盤の上を散歩。正面にドーム天井が見えます。建物上は周辺市民のための・・小公園といった雰囲気
テンペリアウキオ教会屋上

岩盤の上から、ヘルシンキ市内を眺める。周辺が閑静な住宅街である事が分かる・・季節も良く、市民の方が静かに日光浴されています(階下の観光客の喧騒が嘘の様です)・・そのまま岩盤を乗り越えるカタチで、教会を後にしました。

「建築探訪 139」-Finland 24 / ALVAR AALTO 19

エンソ・グートツァイトビル

アルヴァ・アアルト設計・・1962年に建てられたフィンランド企業の本社社屋「エンソ・グートツァイトビル」。港を望むヘルシンキ市の中心部にあり、大聖堂(上写真の左端)のある歴史的街区からも近く、港側には旅行客にも人気の市場も・・(上写真)東南側から見る。地下1階、地上6階、社員食堂のある最上階は少し外壁を後退させ・・屋外テラスのスペース設けている。

エンソ・グートツァイトビル

建物の整然とした印象の、決め手となっている・・奥行きのある、大理石張りの格子フレーム。縦桟の方が僅かに横桟より突出している事や、斜め部分の石張がフラット部分の石張よりも突出している事など・・細かなディテールへの配慮が、外観をキリリと引き締めている・・

エンソ・グートツァイトビル

(上写真)格子フレームの下部がスパッと”切られて”終わっている・・デザイン処理が面白い、北側外観を見る。新古典主義で建てられた周辺に建つ・・市庁舎、大統領官邸、最高裁判所などの公共建築群や、隣接する大寺院との・・景観的な関係性に細心の注意を払い、計画は練られたそうですが・・建設当初は”風景を台無しにした”と酷評されたそうです・・(いつの時代、どこの場所でも、新しい建物に・・世間様は厳しい)

北欧では・・ある程度の規模がある、この様なビル物でも”木製建具”を使用・・建物は50年以上経ってるが、窓を交換した様子もないので・・この”味のある”感じは、おそらく50年以上前のオリジナルかと・・イイ感じです。

エントランスのある、1階の西側ピロティ部を見る。建物正面などの目立つ場所ではなく・・目立たない場所に、ググッと高さを抑えた、エントランス部・・そしてピロティ下で、黄金色に輝く”味のある”金属製建具・・イイ感じです。

「建築探訪 138」-Finland 23 / ALVAR AALTO 18

ラウタタロ

アアルト設計の「ラウタタロ(1955)」を探訪・・ヘルシンキ市内の中心地に建つ8階建ての商業ビル。まだ陽が昇り始めたばかりで、人もまばらな・・早朝に市内を散歩しながらの探訪・・ラウタタロとは”鉄の家”の意味・・建物のクライアントはフィンランド鉄鋼業者連盟。

ラウタタロ

格子グリッドのカーテンウォール、規則正しく並んだ窓・・ガラスに映っている建物の様に、周辺には赤煉瓦のビルが多く・・右隣には、ヘルシンキ中央駅の設計者でも知られる・・エリエル・サーリネンの設計による赤煉瓦のビルも在り。

ラウタタロ
格子グリッド内の1モジュールの構成は、垂壁+換気窓+FIX窓。FIX窓と換気窓を分けるデザインは・・こちらでも、あちらでも、見られる・・いつものアアルトデザイン。
ラウタタロ
道路に面した玄関扉を見る。銅製外壁の質感とオリジナル照明器具の感じが・・goodです
ラウタタロ

訪れたのは、日本に帰国する当日の早朝・・(まだ建物はオープンしていなかったので)表玄関からガラス越しに、中を見る。このメイン階段を上がった2階には・・正円型トップライトが整然と並んだ、有名な”吹抜けホール”が在り・・雰囲気としては、以前にも探訪blogでも紹介した・・アカデミア書店のスペースと似た感じだそうだが(出来たのはこちらがずっと先)・・中に入ってみたかったが・・残念。

「建築探訪 137」-Finland 22 / ALVAR AALTO 17

セイナッツァロの村役場

アルヴァ・アアルト設計の「セイナッツァロの村役場(’52)」を探訪。元々は・・小さな建物ながら会議場、図書館、オフィス部、居住部、店舗部などなどの複数機能が1つの建物の中に構成されていた、人口3000人の湖に浮かぶ小さな島の為に建てられた建築・・現在は役場/図書館の機能のみ。戦前の「白いモダニズム建築」の旗手としての “白いアアルト” から脱した・・戦後の “赤いアアルト” としての出発点となった・・アアルトの代表作。「レンガマッスなヴォリューム」と「大小様々な木製窓」による外観の構成を南西より見る。

セイナッツアロの村役場

ひときわ高いのが会議場部。平面的には「ロの字型の中庭形式」。2層のレンガヴォリュームで2階にある中庭を囲んだカタチ・・ロの字の角、2角を欠込んで外部階段が設置されています。左手の建物出隅に竪ルーバーを設けている部分が図書館棟。微妙というか・・絶妙に調整された全体の不規則な形。ヴォリュームと開口部の”細かな”形態操作で・・アシンメトリーな絶妙バランスに至る感覚がexcellent !!

セイナッツアロの村役場
外部階段を上がり中庭へ至る。右手にエントランス・・木製パーゴラ、木製建具、板金屋根により構成された、ヒューマンスケール&ヒューマンマテリアルな建築・・
セイナッツアロの村役場
高さをグッと抑えた回廊が中庭を囲む。「レンガマッス」な外側ヴォリュームとは対比的・・開放的な中庭の様子
セイナッツアロの村役場
天井高さを抑えたエントランスホール。床素材の切替えが楽しい
セイナッツアロの村役場
エントランスから続く、中庭に開けた明るい回廊

開放的な開口部、レンガ/木板のリズミカルな繰り返し壁面、レンガの腰窓・・黒い柱の存在も効いていて・・何とも居心地が良く、落ち着く空間。腰窓のレンガベンチのスリットは暖房用・・溝下部に設置された暖房器具の熱を窓辺へと導く。

セイナッツアロの村役場
議場へと続く、ハイサイド窓から入る光が印象的な・・階段室を昇っていく。「重量感のあるレンガ壁」と「光を受けた軽やかな木製天井」の対比が・・goodです
セイナッツアロの村役場
「レンガ壁」と「木製天井」と「大きなルーバー窓」が印象的な議場を見る

放射状に伸びた腕木により・・屋根を支える「2つの扇形トラス」の形態が特徴的なのですが、議場内が暗く・・うまく写真は取れませんでした。(照明が点いていない・・停電で・・でも自然光での空間の雰囲気がよく分かるのでgoodです)

セイナッツアロの村役場

ザクッとした言い様ですが、その物言いがピタリとはまる・・”何ともアアルトらしいマテリアルとプロポーション” な・・図書館棟を見る。1階部の大きな横長ガラス窓が・・もともと店舗として計画されたという経緯を物語っています。レンガ壁の目地が少し深めに取っていたり、レンガの仕上がりや色が均一でなかったり・・そんな事も建物の味として効いています。

セイナッツアロの村役場

以前に訪れた「アアルトのアトリエ」を思わせる、光の取り入れ方・天井の形・・もちろんこちらの建築の方が年代としては古いので・・あちらがこちらに似ているのですが。天井高さいっぱいの窓から、たくさん光が入り・・とても明るい図書館棟の2階を見る

「建築探訪 134」-Finland 21 / ALVAR AALTO 16

アルヴァ・アアルトの夏の別荘

アアルト作品がたくさんある町・・ユヴァスキラの中心から車で20km程離れた場所にて・・自動車道からフィンランドらしい気持ちの良い”白樺の森” に入り・・てくてく歩いて行くと、

アルヴァ・アアルトの夏の別荘
緑の中に現れる、大きな白壁・・「アルヴァ・アアルトの夏の別荘」(1953)を探訪・・建物名の通り、この建物は建築家自身の為のプライベートな建築・・
アルヴァ・アアルトの夏の別荘
南西向きの大きな壁開口部より、中庭を見る・・この見返しが、この眺め !!
白壁の大きな開口部の真正面には “パイヤンネ湖”!!  
もともとのアプローチは・・ “白樺の森” からではなく、(自身がデザインした!!) ボートで、この湖を渡ってきて・・が本来のアプローチ
アルヴァ・アアルトの夏の家
中庭に面する部分は赤煉瓦 赤煉瓦。プランとしては、ほぼ平屋のL字型コートハウス。この煉瓦の張り方がオモシロイ・・様々なパターンをパッチワークの様に張って・・実験実験。
アルヴァ・アアルトの夏の家
北西側にも・・広い間隔の格子で仕切られた、大きな開口があります。結構な高さの壁です・・綺麗な森と湖に囲われた最高の敷地なのに・・あえて高い壁で囲む。(地元フィンランドの設計事務所の方々も、しげしげと壁面入隅のユニークな煉瓦張りを見られています。)
アルヴァ・アアルトの夏の別荘
煉瓦だけでなく、タイルでも実験実験・・アアルト自身、この別荘の事を「koe・talo (実験・住宅)」と呼んでいただけは・・あります
アルヴァ・アアルトの夏の別荘
室内を見る。手前がダイニング、奥がリビング。外観と中庭の大きな作りから一転・・内部は簡素でコンパクトだが、落ち着く作り・・リビングの一部に、上部から吊られた構造の2階があり、そこはアアルトのアトリエスペース・・
アルヴァ・アアルトの夏の別荘
リビングより中庭を見る

同じ時間に見学を申し込んでいたのは、私達を含め3組・・地元フィンランドの設計事務所の方々が10名程と、シンガポールの建築学生さんが2名・・広くはない別荘なので、混み混みな感じで・・ちょっと慌ただしい見学となってしまいました。

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「建築探訪 129」-Finland 20 / ALVAR AALTO 15

アルヴァアアルトミュージアム

アルヴァ・アアルト設計の「アルヴァ・アアルト・ミュージアム (1973)」を探訪。ユベスキュラ教育大の南・・勾配のついた敷地に建つ、窓の少ない外観の建物。正面まで辿り着くと・・竪繁げなその壁の構成が目を引く。建物正面にあたる南側外観は三面鏡を開いた様な外壁の構えだが、アシンメトリー&折れ点での微妙な段差・・シンプルそうに見えて、細かな工夫が見られる・・外観のデザイン。(上写真 南側外観を見る)  

アルヴァアアルトミュージアム
竪繁げの・・壁詳細を見る。いつもいつもの蒲鉾型タイルと、横長フラットな磁器タイルによる組合せ。外壁右上の壁から浮いている”飾り”は、ルーバーの様ですが・・   なんかKITTEのサインに似てたりします? 
アルヴァアアルトミュージアム
いつもとは違う、平タイルと組み合わせた・・蒲鉾型タイルの使い方
アルヴァアアルトミュージアム
控えなエントランス扉・・大理石の袖壁のラインも、斜めにピューッといってグッグッっ・・といい感じでアアルトらしいデザイン

全体の平面形は一言二言では説明できない様な多角形。平面構成においては、この建物より少し前に計画が始まっていた「ラハティの教会」にも通じるものがあります・・展示や祈りの為の大きな主空間 + 諸室や設備の為の小さな機能空間が適宜適所で従属・・というカタチ。全くの自由にも見える多角形の平面構成も・・実は敷地の高低差に適応させようとした設計の工夫だったり・・

アルヴァアアルトミュージアム
2階の展示室を見る。大きなハイサイドから落ちる光で満たされた空間・・光を受ける面の “傾斜した木製壁” が内部空間のチャームポイント。所々がルーバー状になっている2段構成のうねる木製壁面・・この印象的なデザインは、言わずと知れた「NY博 フィンランド館」からのデザイン!!
アルヴァアアルトミュージアム
“傾斜した木製壁” の詳細を見る
アルヴァアアルトミュージアム
このミュージアムの”展示ケース”が、何ともgood。ピロティ状になったグレーな箱が幾つも並んでいて・・その箱には図面やスケッチ、写真や模型など様々な物がコラージュ・・貼り付けてあったり、直接描かれていたり、凹んでいたり・・何とも手作り的な感じさえも有るんですが、とても楽しげな・・”展示ケース”
アルヴァアアルトミュージアム
右側の展示ケースには・・ヘルシンキより東へ300km、ロシアとの国境線近くの小さな町”イマトラ”に有る(今回の旅では見に行く事ができませんでしたが)・・「ヴォクセンニスカの教会(’58)」の断面模型が貼り付けられています
アルヴァアアルトミュージアム
展示ケースの中にアアルトデザインの有名な照明器具や・・「NY博 フィンランド館 (’39)」のインテリア模型 !!!

ピューッといってグッグッといい感じのカウンターがある・・1階のカフェを見る。残念ながら、ゆっくりとここでお茶する時間も・・このカフェの窓から見えるくらいすぐ側にある同じくアアルト設計の「中部フィンランド民俗博物館(1962)」をゆっくりと堪能する時間もなく・・次の探訪場所へと出発・・

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「建築探訪 128」-Finland 19 / ALVAR AALTO 14

ユヴァスキュラ教育大学

アルヴァ・アアルト設計の「ユヴァスキュラ教育大学(1951-76)」の・・「食堂棟(’53)」を探訪。左手にチラリと見えているのが「講堂/講義棟」・・

ユヴァスキュラ教育大学
煉瓦壁の基壇+大きな高窓・・という構成の西側外観を見る。グッグッと高さを抑えられた1階と伸びやかな2階の・・バランスがgoodな感じ
ユヴァスキュラ教育大学食堂
2階食堂の内観を見る。外観から見えた大きな高窓の部分は、梁露わしの木製トラスで支えられた片流れ屋根・・食堂の空間自体(屋根も含めて)・・L字型になっていて・・2階食堂は中庭を囲ったプラン・・上写真の右手には中庭
ユヴァスキュラ教育大学食堂
高窓と壁の比率は、ほぼ半々くらい。西側に向いて、これだけの高窓・・日本だと夏は熱すぎて耐えられないだろうけど・・冬とても寒く、日照時間も短い、北欧では・・これくらいでgoodなんでしょうね
ユヴァスキュラ教育大学食堂
こちらは大きな食堂とは分けられ・・別室となっているスペース。教職員などが使用すると説明されていたような・・置いている家具もやや立派かな ?
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「建築探訪 127」-Finland 18 / ALVAR AALTO 13

ユヴァスキュラ教育大学
1959年に出来た「講堂/講義棟」の外観を見る

アルヴァ・アアルト設計の「ユヴァスキュラ教育大学(1951-76)」を探訪・・ヘルシンキを早朝に出発、長距離列車に揺られること2時間半・・ニコライ1世により1837年に開かれた人口13万人ほどの町 “ユヴァスキュラ”に到着。
大学キャンパス全体の配置は・・「講堂/講義棟」「図書館棟」「ゼミナール棟」「プール/体育館棟」「体育学部棟」「学生宿舎/食堂棟」などなどの各建物が、中央にあるグランドを中心にぐるりとU字型に囲う形。

ユヴァスキュラ教育大学
「講堂/講義棟」建物外観の足下を見る。赤煉瓦、銅板、少し高さに変化をつけた開放的な開口部・・
ユヴァスキュラ教育大学
町の中心部からてくてくと歩いていくと、緩く登った道の先に見えてくる・・左手の赤煉瓦ヴォリュームから屋根が突き出たカタチの建物が「講堂」。右手の水平に庇が伸びた低めヴォリュームの部分が「図書館棟」。その間にあるのが「講義棟」
ユヴァスキュラ教育大学図書館
「図書館棟」を正面より見る。庇と赤煉瓦のヴォリューム・・
ユヴァスキュラ教育大学講堂
講堂エントランスの扉を見る・・引手と一体になっている細桟の斜めデザインがgood・・戦前、初期アアルト建築の記念碑的な作品としても良く知られている・・「ヴィープリの図書館(1935)」を思い出さずにはいられない・・扉デザイン!!
ユヴァスキュラ教育大学講堂
「講堂」のエントランス/ホワイエはアアルト作品集では何度も眼にしていた・・あの空間。(上写真)玄関扉を入った左手に休憩スペース・・その向こうには松林が広がる・・
ユヴァスキュラ教育大学講堂
大理石の白い床に、いつもいつもの “アアルトタイル” を巻いた独立柱・・非常に開放的で明るいホワイエ空間
ユヴァスキュラ教育大学講堂
段々となった、細かい縦繁パターンが施されたリズミカルな格子天井・・階段を上がると講堂
ユヴァスキュラ教育大学講堂
こちらも、アアルトの作品集では何度も眼にする・・よく知られたあの空間!!  講堂と講義棟の間にある・・アアルトらしい長円型のトップライトが並んだ・・大階段のある吹抜け空間。正面奥のホール出入口へと向かう・・
ユヴァスキュラ教育大学講堂
大階段のある吹抜け空間・・を見返す。白い大理石/プラスターと赤煉瓦、素材の切替と空間の構成が響いています・・壁面に付いている照明器具、上下配光型ブラケットの形がオモシロイ・・
ユヴァスキュラ教育大学講堂
右下に見える・・ホール出入口を抜けて、建物裏より建物を見返す・・裏ヴォリュームに変化をつけた赤煉瓦だけのファサードの・・ポツンと隅に設けられた、白い縁取りの開口部・・が効いています
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