「KURAの改修」-瓦葺き

江戸時代の頃に作られたと思われる古い蔵・・屋根と外壁を全面的に改修する工事。屋根の下地板はかなり傷んでいたので、全てを・・厚さ40mm程度の新しい杉板に張替え。

張替えた下地板の上に防水シートを敷き込み・・瓦を受ける「横桟」を設置。

“本瓦葺き”なので・・丸瓦を受ける「縦桟」も設置。

西面の新しく葺き替えた瓦を見る。本瓦葺きは瓦の重なりが大きく・・1枚が割れても雨は漏らないのがgoodです。

もともとの瓦は100〜150年くらい前の物で、傷んでいる物も多かったので・・西面は新しい瓦、東面は再利用の古い瓦・・という感じで葺替えます。

こちらは古い瓦を再利用して葺き替える東面・・瓦に釘穴を開けて、しっかりと固定。ひげの様にたくさん伸びている銅線は丸瓦を固定するためのもの。

「KURAの改修」-屋根撤去

瓦を剥がし、葺き土を下ろし、杉皮をめくると・・下地板が見えてきました。

1月より始まったKURAの改修・・屋根と外壁の全面的な改修。まずは瓦の撤去・・職人さんより聞いたところ「瓦そのものは100〜150年ほどくらい前の物ではないかと」・・

下ろした瓦は、とりあえずお庭に置かせて頂いて、使える瓦は・・綺麗にして再利用。半分は新しい瓦、半分は再利用の瓦・・という感じで葺替え予定。

下ろした瓦の小口を見ると「丸に六」・・岡山の瓦屋根に詳しい乗岡実さんが書かれた資料「岡山県南部に分布する江戸時代中期の瓦」によると・・丸に六は倉敷市酒津で瓦を作っていた「梶谷六郎右衛門の印」・・酒津で瓦が焼かれていた期間は寛延2年(1749)〜嘉永5年(1852)との事。

全てを取り払い、梁だけになってしまった・・蔵の屋根を見る。

結局、下地板は傷みが激しく・・すべて「新しい板」に張り替えとなりました。

「KURAの改修」-足場組み

1月の閑散期に合わせて?・・年明けよりKURAの改修が始まりました。

屋根&外壁の全面的な改修・・屋根は本瓦葺き、壁は小舞土壁の漆喰・・・はっきりとした年代はよく分かりませんが、おそらく150年以上前・・「江戸時代末くらいの建物でしょうか」という工務店さんのお話。

本瓦葺きで、かなりの年数が経っています・・詳細に見ると、結構な重傷です。

瓦がだんだんと下がって来ている。棟近くの丸瓦ジョイント部分の隙間が激しい・・これでは雨がガンガン入ってきてしまいます。

屋根のエッジ部分・・漆喰がボロボロ。

軒先下の漆喰壁・・かなり大きな亀裂で、ゴソッと落ちてしまいそうです。壁面全体に亀裂が多く、放っておくと雨などが染み込んで、致命傷になってしまいます・・改修工事がなんとか始まり、ホッとしました。

室内の展示スペースの模様替えを含め・・3月末までの工事となる予定です。

「nMYクリニック」-竣工

昨年の始めより・・計画を進めていたクリニックがオープン。築10年ほど経過した高齢者福祉施設から、内科小児科クリニックへの・・・リノベーション。

エントランスを見る・・隣接する既存クリニックからの移転。クリニックの休業は無しで・・GW中に引越しを済ませました。

風除室から待合を見る。右手に受付カウンター、その向こうに診察室と検査室が並ぶ・・廊下の先にはレントゲン室や処置室を配置。

待合室の奥から・・受付カウンターや風除室を見る。S造で延床70坪程の内科小児科医院・・風除室の向こうには”発熱用の外来スペース”も設置。

今回のクリニック用にデザインしたメープル無垢材の待合椅子を見る。待合室のキャパシティは20〜25人程。

処置室より廊下を見る。薄いグレーと白いタイルを基調とした内装に・・アクセントでウォールナットやメープルなどの木材を使用。外観含め内観ともに・・落ち着いた印象としながらも、同時に・・温かみや柔らかさも感じられるクリニックとなる事を考えて・・・計画を進めました。

「nMYクリニック」-仕上工事

待合より受付カウンターを見る

いよいよ、クリニックの工事はラストスパート・・・GW開けには新しいスペースで診療開始。造付け家具である壁面収納棚などを・・どんどん据え付け中。

受付内より事務カウンターまわりを見る。

待合側のカウンターより・・30cmほど低いところに受付側の事務カウンター。造付け家具はウォールナット調の木目で統一しています。

まだ扉の付いてないカルテ棚を見る。白いところには・・後で扉を設置。

将来的に近い時期・・全てが電子カルテ化する事も想定していますが、とりあえずは「カルテ棚」も設置。家具工事はFREE STYLEさんに依頼。

トイレ内にある検尿コップを置く棚。

サインも・・自分たちでデザインしてみて、貼ってみて、検討・・・サイン工事の業者さんに渡すデータまでを・・自分たちで作成。

「nMYクリニック」-試行試作

今回の計画で使っている、様々な建材のサンプル。日がな・・何かの折に、眼をやる・・この組み合わせでBESTかどうか・・出来上がるまで、色々と考え続けています。自然光がいい感じで差し込む・・事務所の壁面。

建物の部分模型・・サイズは1/1。模型というのは普通・・1/100、1/50、1/30、1/10という様に、大きな建物を縮小したサイズでつくるものなのですが。工事が進み、場合によっては原寸1/1で納まりとスケール感を確認。建物正面のアクセントとなっている・・高さ45cmほどのルーバーを試作。

ルーバー後ろから間接照明でライトアップ・・レンガタイル張りの壁上、長さ10m程度・・ぼんやりと照らされたルーバーが・・建物のアクセントとなるはず。模型の下の絵は・・完成予想図。

こちらは・・今回の計画用、オリジナルの待合椅子を試作中。座面の高さや広さ、背もたれの角度や厚み、材の太さと長さのバランス・・パーソナルチェアと違って、様々な人が座る椅子・・ちょうど良いバランスを探して、いろんな点で試行中。

本体はメープル無垢材・・メープルは爽やかな色合いで、肌触りがきめ細やか。重く固く、頑強な材として知られています・・明るく清潔感のある木材に合わせて「張り地」を検討中。

「nMYクリニック」-LGS工事

昨年12月より始まったクリニックの工事・・現在はLGS工事中。

LGSとは・・Light Gauge Steelの略。現場では「軽鉄」と呼ばれる材料で・・・規格物の軽い鉄材を用い、壁や天井の下地を組み上げていきます・・LGSは非常に軽く、施工性と経済性に優れていますが、木材のように部分部分で様々な細かな細工を施すような事が難しい面もあります・・

待合室を見る。正面が受付、その左手に診察室や検査室、右手に風除室を兼ねた広めのエントランス・・だいたいの様子が見えてきました。

待合室とエントランスの間は制作物のスチール製「自動ドア + FIX窓 + 自動ドア」。合板の上に床置きされているのは壁から持ち出す棚板用の補強プレート・・LGS壁だけでは「棚」を支えられないので、LGS壁下地では・・このような補強が各所で必要となってきます。

天井仕上材の岩綿吸音板を差し込む木製廻縁。下からは12.5mmのPBを突き当てるので・・実際に見える廻縁は、見付け5mm、チリ5mm。

天井は音の反射を避けるため・・「プラスターボード下地貼りの上、岩綿吸音板」にしています。通常、岩綿吸音板だと天井の色は・・「白色のみ」となってしまいますが、今回は壁色に合わせて「薄いグレーに塗装済み」のタイプを用意。それに合わせて「廻縁」も同色にしたいので・・「フクビ」は避けて「木製」で制作。フクビだと色が「白色のみ」となってしまいますが・・木製だと形も色も自由に出来るので。

「nMYクリニック」-撤去&開始

今年の初めより計画を進めていた・・クリニックの工事が始まりました。天井材を落とし、床材を剥がし、間仕切壁などを撤去解体・・

もともとは高齢者施設だった建物を・・延床約200㎡の内科小児科に全面改修。コロナ禍に対応した・・”発熱等の体調不良の症状がある方”専用の診察/待合も設けた・・クリニックになります。

遺跡のような不思議な形・・改修の場合、普通だと既存土間コンクリートの上に配管をして、水廻りスペースは1段床が上がる事が多いのですが・・・床を上げずに水廻りスペースを設ける為に、既存土間コンクリートに切り込んで・・配水管等を設置。

「gangukan エントランス改修」

リフォーム後

「展示室として使用していた倉」を単独でお貸して、使って頂くことになり・・・玩具館のエントランス部分をプチリニューアル。

リフォーム前

表の道から・・それぞれが直接に入る事が出来る様に「間仕切壁を設けるだけ」の小規模リニューアル。開館から55年が経った”昭和な”玩具館も・・味があり良いのですが。減少した入館者を増やしたいという目的もあり、明るく入りやすいエントランスに改修。

リフォーム後

「新しく設けた間仕切壁」には・・・展示室内の様子や展示内容が分かる「写真や映像などの情報」を表示・・・広い敷地の全体像が分かる「フロアマップサイン」も表示。

リフォーム後

店内で販売している「商品を紹介するコーナー」もトリムデザインで設えました。

「arukura-sha」-竣工間近

arukura-sha」が・・もう少しで竣工!!!・・・アパートや保育園などが立ちならぶ小山の麓、化粧石鹸および犬用ケア関連の企画販売を手がける arukura-shaさんのアトリエ事務所への改修工事。まだ少し・・残工事はあるけれど、工程表通りで完成、引き渡し予定。

(上写真/外観を南面から見る。施主の第一希望であった「雨に濡れずに乗降できる駐車スペース」を・・建物の一部を減築して、実現。)

“築25年程の建物”の改築・・耐震性や断熱性なども含めた機能性やプランニング面での建築的な向上は当然ながら・・新しい事業を運営していく拠点として、日々フレッシュな気持ちで・・仕事と生活に挑める場所となる事を目指しました。事業がうまく進んだ何年後かには・・今回は手を付けなかった未改築の部分の計画を・・実行する事を楽しみにしています。

(上写真/オリジナルの石鹸を創作するアトリエ的スペースと事務所スペースがある2階を見る。壁、天井、床、家具をアンニュイなグレー系で揃え、差し色にブルーを用いた・・落ち着きのある内装としました。)