「南畝の家」-外部仕上

「焼杉板」の張り替え・・古くなった板を剥がして、防水シートを貼って、下地桟を付けて、新しい焼杉板を施工。以前は露出で付いていた電気メーター・・壁に埋込んで、木製格子でカバー。

リフォーム前の天井高は2250mmでフラット。リフォーム後の天井高は、低いところで2500mm、高いところで3500mm・・高さが気持ち良いです。

以前は隠れていた「湾曲した丸太材の梁」・・リフォーム後は、木材の自然な曲がりを・・意匠として活かしました。

塀で囲まれていたバックヤード的な、裏庭スペースの一部に・・開口扉を設け、車が入れるように改修。

のし瓦7段の下に、さらに2段の役物瓦?・・・のし瓦が計9段 !?!

(手前の屋根) 既存建物を短くする形で、減築で出来た・・新しい妻面の「けらば」を見る。(奥の屋根) 既存母屋を見る・・なかなか立派な棟のおさまり。冠瓦の下に、垂れ幕のようなリブリブな化粧瓦があり・・のし瓦の側面中央部には「鶴の文様」。

「南畝の家」-解体

北側接道側より見る。道路側の建物を一部撤去した事で、今まで道路側からあまりよく見えなかった・・敷地中央に建つ「母屋の入り母屋屋根」が、少し顔を覗かせる

道路側に足場を組んで、古くなった外壁の焼杉板を張替え・・40m近い北側ファサードの一部を撤去(左側)して、車庫用大型引戸を・・古い塀に馴染ませる形で、新設予定。

見た目はフラットに板が張られている外壁も、板を剥がしてみると・・時代毎に増築を繰り返してきた様々な痕跡が見てとれます。

古い時代に建てられた蔵の部分は・・足元は石が積まれ、壁は竹と土で作られた木舞の壁・・

床を落とし、天井も剥がし・・解体前にはよく分からなかった部分がいろいろと鮮明に見えてきます。正面奥の天井が低くなった部分は・・増築で付け加えられた2階建て。

今回のリフォームのメインとなる、古い丸太で屋根が組まれたこのスペースは・・かなり昔に、左手に見える母屋へ増築・・その際、母屋の屋根(庇部分)を切り落として、母屋と一体化した様です。解体前は圧迫感があり暗かったスペースも・・必要なものだけに削ぎ落としていくと気持ちの良い開放的な空間に生まれ変わりそうです。

「建築探訪179」-Gunma 8

議会棟を西より見る。

隈研吾さん設計の「富岡市役所(2018)」を探訪。2014年の世界遺産登録を契機として・・「富岡製糸場の再編」はもちろん、「TNAの駅」や「手塚さんの会館」などなど・・駅前を中心に”富岡の新たな顔”が、次々と出来ていました。

正面に議会棟、右に行政棟。

第一印象としては開放的で遠慮がなく、あちらこちらと自由に散歩ができる市役所・・長く伸びた庇や分節した建物の雁行配置も・・そういった印象を補強。

議会棟の庇下より行政棟を見る。右手には広々とした広場。

各棟のファサードにリズミカルに配された、隈建築の代名詞のような「木製ルーバー」も大活躍・・分棟/雁行/屋根/庇/格子/回遊・・隈建築に多く見られる、どのキーワードも昔から日本建築が大切にしてきた・・ベーシックな事ばかり。

左の行政棟と右の議会棟に挟まれた小さな広場より北を見る。

大きく持ち出した、深い軒裏は・・下地板である合板をそのまま見せた、公共建築には見えない仕上がり。

行政棟の2階よりエントランスのある東をみる。

緩やかなスロープが巡る、屋根裏を見せた行政棟のエントランスホール・・天井は合板の透かし張り。

「糸が貼られた」不思議な質感の壁も・・富岡の地域性や歴史からアイデアを広げた、オリジナリティのある仕上げでした。

「南畝の家」-着工

(道路側の外観) 焼杉の外壁と段々の瓦屋根が連なる「繋ぎ」の部分を見る

年明けよりの着工が決まった「南畝の家」・・「母屋」と「離れ」からなる旧家、「離れ」を手掛けさせて頂いたのが25年程前。今回の計画では・・子供たちが独立した夫婦のために、これまでの生活の中心であった「離れ」の”つなぎの場”でしかなかった、やや暗かった場所を・・これからの生活を更に楽しめる・・明るくフレッシュなスペース・・「繋ぎ」として改修。

「中庭の家」

ボーリングを始めました。地面に鉄の棒や筒を打ち込んで・・地盤の強さを調べたり、地中の土を採取して地質を調べたり・・3日程掛けて10m程度下にあるだろう支持地盤まで掘ってゆきます。コンクリート造などの・・自重が重たい建築物などをつくる際には、その建物直下となる部分の地盤調査は・・必ず行なわなければなりません。その調査データをもとに・・建物の構造設計を進めていきます。

「阪南の家」

昨年より進めていた計画の実施設計がいよいよ大詰め・・トリムデザインでは作品例があまり多くない、建て込んだ住宅地での建替え案件。築50年近い住み慣れた家を撤去しての新築。隣家との距離が近いエリアでの木造3階建て・・1階玄関から2階3階の光庭まで、ひと繋がりとなった・・コンパクトではあるけれども空間の広がりを感じられる、落ち着きのある居心地の良い・・家となるはずです。

「南畝の家」

春頃より、ヒアリングを進めながら・・”かなり古い母屋”と”比較的新しい離れ”の・・傷みが見られる、様々な部分を修繕しつつ・・・メインとなる改修工事の設計デザインを同時進行していました。1111と、1が並んだ「ポッキーの日」に図面が完成。あとは工務店さんの見積り・・想定内に収まることを願うのみ・・です。

「KURAの改修」-リニューアルオープン

外壁漆喰を塗り替えたり、屋根瓦を吹き替えたり、お庭も少し整えたり、少しづつ進めていた「日本郷土玩具館の倉改修工事」が無事終了し・・・4月1日より「リニューアルオープン」しました。

Gallery3を見る。建築的なハード面では”天井板のみ以外”は・・何も新しくはしていないのですが・・

什器の並べ替え、展示品の整理・・既存要素のみの取捨選択リフォーム。

2階の展示室へと誘導する「切文字サイン」を新設・・

Gallery4を見る・・暗かった展示室の照明器具を「蛍光灯からLEDに」一新・・
什器の並べ替え、展示品の整理・・既存要素のみの取捨選択リフォーム。

Gallery1も全ての照明器具をLEDに一新・・・
什器の並べ替え、展示品の整理・・既存要素のみの取捨選択リフォーム。

「KURAの改修」-漆喰塗り

外壁の出隅は「なまこ目地瓦張り」目地を埋める為に盛り上げた漆喰の断面が半円状で海鼠に似ている・・

倉の改修は、外壁の左官工事に入りました。下地の調整や中塗りの工程を経て、仕上げの漆喰塗りとなりますが・・フラットな壁面以外の部分・・壁の出隅や、壁と軒の取り合いなど・・様々なちょっとした部分が意外とデザインとして見所・・

「奉行窓」と呼ばれる、倉の窓まわりの部分を仕上げています・・これは2階の窓。

これは1階の窓・・長方形の窓に、漆喰で塗り込められた角木が3本・・室内側に引き戸。ちょっとしたテーパーの取り方や、アールの使い方がデザインとして効いてきます。

出入口上の大きな玄関庇の部分・・垂木や螻羽だけでなく、押えの瓦上まで漆喰で・・モノコックに塗り込められていくのが・・左官工事ならではの仕上がりで・・大変面白い。

「KURAの改修」-瓦葺き 2

本瓦葺きの改修。防水シートの上に下地桟を組んで、一度下ろした瓦を・・もう一度敷き詰めていきます。古い瓦に釘穴を開けて・・平瓦は釘で、丸瓦は針金で・・留め付けていきます。

家紋の”五三桐”がデザインされた鬼瓦を設置・・螻羽(けらば)を漆喰で仕上げていきます・・

伝統的な建物の形式として倉敷では・・この様な納まりは通常どこでも見かけるのですが・・屋根材の袖瓦より、螻羽の漆喰が勝つ・・この状態が耐久的にベストなのかどうか・・いつも少し不思議。