「南畝の家」

春頃より、ヒアリングを進めながら・・”かなり古い母屋”と”比較的新しい離れ”の・・傷みが見られる、様々な部分を修繕しつつ・・・メインとなる改修工事の設計デザインを同時進行していました。1111と、1が並んだ「ポッキーの日」に図面が完成。あとは工務店さんの見積り・・想定内に収まることを願うのみ・・です。

「建築探訪179」-Gunma 8

議会棟を西より見る。

隈研吾さん設計の「富岡市役所(2018)」を探訪。2014年の世界遺産登録を契機として・・「富岡製糸場の再編」はもちろん、「TNAの駅」や「手塚さんの会館」などなど・・駅前を中心に”富岡の新たな顔”が、次々と出来ていました。

正面に議会棟、右に行政棟。

第一印象としては開放的で遠慮がなく、あちらこちらと自由に散歩ができる市役所・・長く伸びた庇や分節した建物の雁行配置も・・そういった印象を補強。

議会棟の庇下より行政棟を見る。右手には広々とした広場。

各棟のファサードにリズミカルに配された、隈建築の代名詞のような「木製ルーバー」も大活躍・・分棟/雁行/屋根/庇/格子/回遊・・隈建築に多く見られる、どのキーワードも昔から日本建築が大切にしてきた・・ベーシックな事ばかり。

左の行政棟と右の議会棟に挟まれた小さな広場より北を見る。

大きく持ち出した、深い軒裏は・・下地板である合板をそのまま見せた、公共建築には見えない仕上がり。

行政棟の2階よりエントランスのある東をみる。

緩やかなスロープが巡る、屋根裏を見せた行政棟のエントランスホール・・天井は合板の透かし張り。

「糸が貼られた」不思議な質感の壁も・・富岡の地域性や歴史からアイデアを広げた、オリジナリティのある仕上げでした。

「KURAの改修」-リニューアルオープン

外壁漆喰を塗り替えたり、屋根瓦を吹き替えたり、お庭も少し整えたり、少しづつ進めていた「日本郷土玩具館の倉改修工事」が無事終了し・・・4月1日より「リニューアルオープン」しました。

Gallery3を見る。建築的なハード面では”天井板のみ以外”は・・何も新しくはしていないのですが・・

什器の並べ替え、展示品の整理・・既存要素のみの取捨選択リフォーム。

2階の展示室へと誘導する「切文字サイン」を新設・・

Gallery4を見る・・暗かった展示室の照明器具を「蛍光灯からLEDに」一新・・
什器の並べ替え、展示品の整理・・既存要素のみの取捨選択リフォーム。

Gallery1も全ての照明器具をLEDに一新・・・
什器の並べ替え、展示品の整理・・既存要素のみの取捨選択リフォーム。

「KURAの改修」-漆喰塗り

外壁の出隅は「なまこ目地瓦張り」目地を埋める為に盛り上げた漆喰の断面が半円状で海鼠に似ている・・

倉の改修は、外壁の左官工事に入りました。下地の調整や中塗りの工程を経て、仕上げの漆喰塗りとなりますが・・フラットな壁面以外の部分・・壁の出隅や、壁と軒の取り合いなど・・様々なちょっとした部分が意外とデザインとして見所・・

「奉行窓」と呼ばれる、倉の窓まわりの部分を仕上げています・・これは2階の窓。

これは1階の窓・・長方形の窓に、漆喰で塗り込められた角木が3本・・室内側に引き戸。ちょっとしたテーパーの取り方や、アールの使い方がデザインとして効いてきます。

出入口上の大きな玄関庇の部分・・垂木や螻羽だけでなく、押えの瓦上まで漆喰で・・モノコックに塗り込められていくのが・・左官工事ならではの仕上がりで・・大変面白い。

「KURAの改修」-瓦葺き 2

本瓦葺きの改修。防水シートの上に下地桟を組んで、一度下ろした瓦を・・もう一度敷き詰めていきます。古い瓦に釘穴を開けて・・平瓦は釘で、丸瓦は針金で・・留め付けていきます。

家紋の”五三桐”がデザインされた鬼瓦を設置・・螻羽(けらば)を漆喰で仕上げていきます・・

伝統的な建物の形式として倉敷では・・この様な納まりは通常どこでも見かけるのですが・・屋根材の袖瓦より、螻羽の漆喰が勝つ・・この状態が耐久的にベストなのかどうか・・いつも少し不思議。

「KURAの改修」-瓦葺き

江戸時代の頃に作られたと思われる古い蔵・・屋根と外壁を全面的に改修する工事。屋根の下地板はかなり傷んでいたので、全てを・・厚さ40mm程度の新しい杉板に張替え。

張替えた下地板の上に防水シートを敷き込み・・瓦を受ける「横桟」を設置。

“本瓦葺き”なので・・丸瓦を受ける「縦桟」も設置。

西面の新しく葺き替えた瓦を見る。本瓦葺きは瓦の重なりが大きく・・1枚が割れても雨は漏らないのがgoodです。

もともとの瓦は100〜150年くらい前の物で、傷んでいる物も多かったので・・西面は新しい瓦、東面は再利用の古い瓦・・という感じで葺替えます。

こちらは古い瓦を再利用して葺き替える東面・・瓦に釘穴を開けて、しっかりと固定。ひげの様にたくさん伸びている銅線は丸瓦を固定するためのもの。

「KURAの改修」-屋根撤去

瓦を剥がし、葺き土を下ろし、杉皮をめくると・・下地板が見えてきました。

1月より始まったKURAの改修・・屋根と外壁の全面的な改修。まずは瓦の撤去・・職人さんより聞いたところ「瓦そのものは100〜150年ほどくらい前の物ではないかと」・・

下ろした瓦は、とりあえずお庭に置かせて頂いて、使える瓦は・・綺麗にして再利用。半分は新しい瓦、半分は再利用の瓦・・という感じで葺替え予定。

下ろした瓦の小口を見ると「丸に六」・・岡山の瓦屋根に詳しい乗岡実さんが書かれた資料「岡山県南部に分布する江戸時代中期の瓦」によると・・丸に六は倉敷市酒津で瓦を作っていた「梶谷六郎右衛門の印」・・酒津で瓦が焼かれていた期間は寛延2年(1749)〜嘉永5年(1852)との事。

全てを取り払い、梁だけになってしまった・・蔵の屋根を見る。

結局、下地板は傷みが激しく・・すべて「新しい板」に張り替えとなりました。

「KURAの改修」-足場組み

1月の閑散期に合わせて?・・年明けよりKURAの改修が始まりました。

屋根&外壁の全面的な改修・・屋根は本瓦葺き、壁は小舞土壁の漆喰・・・はっきりとした年代はよく分かりませんが、おそらく150年以上前・・「江戸時代末くらいの建物でしょうか」という工務店さんのお話。

本瓦葺きで、かなりの年数が経っています・・詳細に見ると、結構な重傷です。

瓦がだんだんと下がって来ている。棟近くの丸瓦ジョイント部分の隙間が激しい・・これでは雨がガンガン入ってきてしまいます。

屋根のエッジ部分・・漆喰がボロボロ。

軒先下の漆喰壁・・かなり大きな亀裂で、ゴソッと落ちてしまいそうです。壁面全体に亀裂が多く、放っておくと雨などが染み込んで、致命傷になってしまいます・・改修工事がなんとか始まり、ホッとしました。

室内の展示スペースの模様替えを含め・・3月末までの工事となる予定です。

「くらしき近代建築めぐり」

現在、倉敷美観地区で開催されているイベント「くらしきアーキツーリズム 2023」を紹介するテレビ番組・・「くらしき近代建築めぐり」が来週放送されます。アナウンサーさんと共に、地元の建築士として美観地区内にある近代建築を探訪・・

薬師寺主計設計の近代建築である「大原美術館 本館(1930)」「有隣荘(1928)」「児島虎次郎記念館(1922)」「エル・グレコ(1926)」・・

浦辺鎮太郎設計の近代建築である「倉敷公民館(1969)」「倉敷アイビースクエア(1974)」を ・・探訪。

テレビせとうち 11月23日 17:00〜17:30。(または BSテレ東 11月23日 7:12〜7:41)
期間限定でYouTubeで公開中

「nMYクリニック」-竣工

昨年の始めより・・計画を進めていたクリニックがオープン。築10年ほど経過した高齢者福祉施設から、内科小児科クリニックへの・・・リノベーション。

エントランスを見る・・隣接する既存クリニックからの移転。クリニックの休業は無しで・・GW中に引越しを済ませました。

風除室から待合を見る。右手に受付カウンター、その向こうに診察室と検査室が並ぶ・・廊下の先にはレントゲン室や処置室を配置。

待合室の奥から・・受付カウンターや風除室を見る。S造で延床70坪程の内科小児科医院・・風除室の向こうには”発熱用の外来スペース”も設置。

今回のクリニック用にデザインしたメープル無垢材の待合椅子を見る。待合室のキャパシティは20〜25人程。

処置室より廊下を見る。薄いグレーと白いタイルを基調とした内装に・・アクセントでウォールナットやメープルなどの木材を使用。外観含め内観ともに・・落ち着いた印象としながらも、同時に・・温かみや柔らかさも感じられるクリニックとなる事を考えて・・・計画を進めました。