「建築探訪 169」-Tochigi 4

馬頭町広重美術館

だんだんと朽ちてきた屋根も、もはや「侘び寂び」な感じで・・素敵な現代建築・・隈研吾さん設計の「馬頭町広重美術館(2000)」を探訪・・竣工からもう20年。防腐不燃処理がされた60✕30mmの杉材によるルーバー屋根・・もちろん屋根本体はその下なので、実際には「屋根カバー」というわけなんですが・・

馬頭町広重美術館
個人的にはこの侘び寂び感のある・・屋根がgoodだと思いますが・・そろそろリニューアルする頃合いなんでしょうか?。北西側からエントランス付近を見る・・この「屋根カバー」が、この建築最大のチャームポイント。
馬頭町広重美術館
北側より見る。北側は一面砂利敷き。表面的な部材と言ってしまっても良い・・屋根カバーが、このプロジェクトの最大要点になっているという点が・・この隈建築の素晴らしさを語っている!!!!! ・・建物の形としては、これ以上ないというシンプルな切妻型・・
馬頭町広重美術館
軒の出が深い!!!!!!! 3m近く出ている感じ・・ガラスから2mほど突き出した先細りの鉄骨(細い!!!先端は50mmくらい?)で・・支えています・・綺麗な納まり!!!!!!・・使い慣れた、生産性の高い、便利でリスクのない・・慣用句だけで建てられた建築にはない・・凄さがありました。
馬頭町広重美術館
玄関へと繋がるアプローチ通路の部分を見る。外側のルーバーと内側のルーバーの間に・・本当の屋根が挟み込まれています・・
馬頭町広重美術館エントランスホール
エントランスホール内部を見る。ガラス壁を挟んで外と内のルーバー天井が、綺麗に繋がっていきます・・床は芦野石・・
馬頭町広重美術館
天井まで立ち上がる格子壁を挟んで・・左側が玄関、右側が展示室へ続く通路・・隈研吾さんの出世作・・”世界の隈研吾”に飛躍していくマイルストーンとなった代表作・・・といっても過言ではない、衝撃のある作品でした。

隈研吾さん曰く「ルーバーがつくる粒子感は広重の浮世絵に通じると感じた・・広重の・・その方法を建築という道具を用いて追いかけていきたいと願ったのである」

「玉島の家」-屋根下地工事

玉島の家は、屋根工事中・・・軒先の”化粧”で見える部分には綺麗な杉板を張り、天井で見えなくなる屋根下地の部分には構造用合板を張っていきます。大工さんの手により作られた・・木の組み重なった屋根組みは・・見てて、気持ちいいです。

上から見ると、こんな感じ・・”化粧”の軒先部分には杉板、見えない部分には構造用合板。屋根の仕上げはガルバリウム鋼板のタテハゼ・・屋根の形は「寄棟」の棟の部分をバルコニーのような形にした「変形の寄棟」。
リビングの天井を見上げる。

こちらも”化粧”の杉板張り「杉板本実上小 木材保護塗装」・・・先に塗装をしてから、板を張っています。木目をはっきりと見せず、うっすら白っぽく木目が見える様に・・塗ってみました・・トリムデザインでは、今までにないパターンの天井仕上げ。

「建築探訪 168」-Tochigi 3

石の美術館

隈研吾さん設計の「石の美術館 (2000) 」を探訪・・地元の芦野石(あしのいし)を使ったルーバー&ポーラスな・・外壁デザインがチャームポイント。

石の美術館
道路側より見る。水面に石蔵が浮かぶ・・米の貯蔵のために使用されていた古い石蔵(もちろん芦野石)を、アートやクラフトの展示施設に改修
石の美術館
敷地奥から道路側を見返す。長ぁ〜い・・右手の「ルーバーな塀」は敷地を真っ直ぐに貫き。左手の「ポーラスな塀」はエントランスホールからプラザ・・茶室・・ギャラリーへと、折れ曲がりながら連続していきます
石の美術館
芦野石のルーバー塀・・詳細を見る。40✕120の石材をこま返し。芦野石は栃木県の那須地方で取れる安山岩で・・加工が容易、落ち着きのある表情が特徴の石
石の美術館展示スペース
展示スペースを内部から見る。ポーラスな塀を内側から見ると・・小さな窓がたくさん・・床も壁も、石・・石・・石・・
石の美術館
小さな窓から外部を覗くと・・窓には何も嵌まっておらず、外気がそのまま・・組積造の表情を見せながらもポーラスであるという・・芦野石の連続壁面が・・気持ちいいです
石の美術館ギャラリー
敷地奥のギャラリー内部を見る

各地でデザインされた隈建築の・・原寸模型 (大きさも素材も本物と同じなんだから模型ではなく、1/1のモックアップですね ) が展示!!!!!!!・・・左手には「ちょっ蔵広場」のモックアップ、右手には「レイクハウス」のモックアップ・・・かなり興味深いです。

「建築探訪 167」-Tochigi 2

宝積寺駅

宇都宮駅から2つ「宝積寺駅」で降りる・・見たこともないアグレッシブな天井のデザイン・・構造用ラワン合板と木毛セメント板という、駅舎とは思えない即物的なマテリアルの選択もgood・・・さすがの隈研吾さん設計による、2008年の建築。

宝積寺駅

町の東西も繋いでいる・・線路上に架かる自由通路を見る。左手中央部に改札口。構造用ラワン合板による天井デザインの・・連続が気持ちいい。

宝積寺駅

通路から階段へと・・止まる事なく増殖してゆく、天井のダイアゴナルデザイン。構造用ラワン合板ユニットの隙間には、設備機器を配置。

宝積寺駅

12mm構造用ラワン合板によるデザイン・・変形した蓋のない菱形の箱を・・ひたすらに貼り付け続けるという・・ルールとしてはシンプルな考え方で、マテリアルも素朴なもの・・だけど、さすがにgoodな感じ、ですよね。

宝積寺駅とちょっ蔵広場

天井のダイアゴナルなデザインは・・駅を降りたところにある、同じく隈研吾さん設計の建物とも・・呼応連続していきます。

「玉島の家」-上棟

トリムデザイン上棟

先週末に無事上棟(パチパチパチ!!!!!)した「玉島の家」を高台から望むと・・・高台側の手前には、旧道沿いに昔からの家が建ち並び・・市街地側の向こうには、新しい道路沿いに新しい家がどんどんと建ち並ぶ・・・街の様子がよく見て取れる。

リビングダイニングの柱梁を見る。”玉島の家”では・・柱の上に小屋梁を載せて、その上に桁を架ける”折置組”と言われる・・・やや古式な柱梁の組み方を、現代的なものにリデザインして・・住まいの中心であるリビングダイニングのチャームポイントとして・・取り入れています。

階高を抑えた2階建て部分と階高を持たせた1階建て部分が繋がった・・やや難しい断面構成になっていたり・・・梁や天井を”化粧あらわし”としている部分が多くなっていたり・・・いろいろと細かな注意が必要でしたが・・・工務店さん大工さんのおかげで・・建て方(上棟)は無事終了。

「建築探訪 166」-Tochigi

ちょっ蔵広場

宇都宮から2駅、宝積寺駅を降りると・・このどっしりとした壁が街の顔として出迎え・・隈研吾さん設計の「ちょっ蔵広場(2006)」を探訪。この壁がこの建物のチャームポイント・・既存建物(米蔵)の外壁をこの壁に置き換えた”改修”・・”ただ石を積上げただけ”・・なんだけど、さすがの隈建築・・

ちょっ蔵広場

ホールの西面を見る。”への字型”に切り出した大谷石を・・ただ積上げただけ。奥に見えるのが、同じく隈研吾さん設計の「宝積寺駅」。石という材料で壁面を作ると、建物の表情はどうしても固いものになってしまいますが・・大谷石という柔らかさのある石材を使用する事と・・さらに穴を開けた壁とする事で・・石張りの建物にしては、異例の柔らかさ。

ちょっ蔵広場

ホールの北面を見る。壁の後ろはトイレなどのスペースに繋がる通路部分。西面の”への字”は均等なんだけど、北面の”への字”は徐々に”への字”の角度が・・変わっていくのが絶妙・・石は重たく閉ざしているモノのはずなのに・・”透けている石壁”という着想が・・goodですよね。

ちょっ蔵広場

「ポーラスな大谷石”への字”壁」のデザインの要点は・・この石を支えているスチールプレート。正面からは全く見えないが・・スチールプレートを水平に通しで設置、その上に大谷石を積む、そしてまたその上にスチールプレート・・という繰り返しで、この不思議な”ポーラスな石壁”のデザインが・・成立。

ちょっ蔵広場

こちらはホールの向かいにある「多目的展示場」。壁はホールと同じ手法で・・天井は壁のデザインモチーフが連続していく感じ・・天井部分はもちろん石ではなく、平板的な材料をグラフィカルに切り欠き加工したものでした。

「建築探訪 165」-Saitama 2

埼玉県立博物館

雨が激しく降る中、前川國男設計の「埼玉県立博物館(1971)」を探訪・・作品集の表紙写真で撮られていたのと同じアングル。スチール手摺の三角が・・goodです。

埼玉県立博物館

ゲートを潜り・・誘われるように広場を抜け・・正面入口付近へ至る。壁床レンガタイルという・・落着きを感じさせるエレメントによる構成・・タイルが張られたマッシブな箱の間に・・生まれてくる空間の流れ・・

埼玉県立博物館

箱のような量塊と・・”一筆書き“と言われる、水平に空間が連続していく・・前川國男の特徴的なプランニング。エントランスロビーから中2階の食堂を見る・・食堂の向こうにはテラスがあり・・内外部が連続して繋がっていく・・左手にはサンクンガーデン的な大きな庭園。

埼玉県立博物館打ち込みタイル

前川建築のアイコニックなエレメントである”打ち込みタイル“を近くで見る。「壁は人間を守るんだという事を、語りかけてくるものでなければならない」by 前川國男。

「玉島の家」-基礎工事

数回のコンクリート打設を重ね・・基礎がほぼ完成!!!!!。コの字型で・・南庭&テラスのスペースを、LDK等の主要な居室で囲むという・・考え方としてはシンプルな形の平面形なんですが・・・スキップフロア的な断面の構成であったり・・建物内に大きく入り込んだ土間スペースであったり・・普通よりちょっと高い1階の床高さであったり・・・基礎の形を見るだけでも、ちょっと他にはない感じが・・goodです。