「建築探訪 08」-Nara/室生寺

室生寺

市内から近鉄電車に揺られ1時間、バスに乗って数十分・・山中に佇む、8世紀末に興福寺の末寺として創建された「室生寺」。(上写真右) “懸造” ・・脚が伸びている部分の姿が印象的・・ 中世のリフォ-ム。
小学生の頃、遠足でここを訪れた時の印象は大人になっても忘れる事はなかった・・強く印象に残ったその理由が何だったのかと考えてみると・・それは建物そのものではなく、建物同士の配置に理由があったのではないかと・・ 
古都奈良を代表する法隆寺・薬師寺・唐招提寺・・等の多くの寺院が平坦な場所を塀できっちり四角に囲い、その中に塔・金堂・講堂を配置(これを「伽藍」と言います。)する方法が非常に大陸的/中国的な影響が強い事に比べ、室生寺の伽藍は山の高低差をそのまま利用し、地形に溶け込む様に配置されています。6世紀に「輸入」された仏教寺院が日の風土/感性に適応したものへと変わり始めたと言っていいのでしょうか・・

室生寺

木漏れ日が時より差し込む 深い樹々の中、何段もの階段を頂上である 「奥の院」 まで 歩を進める毎に、自然/地形に隠れていた金堂や講堂や塔が少しづつ “現れては消えていく” その行程・・ “奥へ奥へと 続いて行く” その空間意識 ・・ その様な感覚が、忘れ難いものとして子供心にも響きました・・

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