光沢を抑えた金属製ファサードの渋さが、とても印象的な中層ビル・・ヘルシンキ市内にある、1964年アルヴァ・アアルト設計により建てられた “銀行ビル”・・アアルト作品集による建物名は「ポホヨスマイデン・ユフディスパンキビル」。同じくアアルト設計による、同デザイン系列の中層ビル・・「ラウタタロ」や「アカデミア書店」も、実はこのすぐ近くに建っています。
通りに対して並んで建つ、左右の既存ビル・・そのそれぞれの高さに揃えて建てたのが・・デザインのポイント。左右の軒ラインを調整する役割を担い・・大屋根のある上層部はセットバックして、存在感を弱め・・街並みに配慮。
縦のライン2本はすっきり・・横のライン2本には少しモールディング的な変化をつけ・・上下でそれぞれ少し形を違えているのも、デザインのアクセントとして、とても細かい処理ですが・・現場に立ってヒューマンスケールで建物を見ていると、この細かな処理が全体のファサードに・・とてもよく効いている様に思えます。窓は、アアルト建築ではお馴染みの・・いつもいつもの「大きなFIX + 縦長開口」の・・ ”アアルト窓”。
柱の足元を見ると分かり易いのですが・・四角ではなく、ほんの少しテーパーを取った・・台形平面の柱なんですよね・・素材の経年ぶりもgoodです。なんて事ない、街中の中層オフィスビルなんだろうと思い、ぶらりと見に来たけれど・・「さすが、北欧の大巨匠だ!!」・・と、誰もいない早朝のヘルシンキで、感嘆感心。