「建築探訪 108」-Finland 1 / Helsinki

ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」

フィンランドの首都ヘルシンキの中心地にある・・ ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」。1993年の国際コンペで選ばれた米国人建築家スティーブン・ホールによる設計で、1998年に完成。美術館の周辺には国会議事堂や国立博物館、サーリネン設計のヘルシンキ中央駅、アアルト設計のフィンランディアホールなど・・ヘルシンキの主要な建築が集まる中枢的エリア。 
(上写真) 緩やかな弧を描くチューブを切りっ放しにした様な北側ファサードを・・広場より見る。素晴らしい青空&芝生。 

ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」

エントランスのある南側ファサードを見る。左右非対称の不規則なバランスによる建築構成が特徴的。2つのヴォリュームに挟まれ少し窪んだ中央部分がエントランスホール。右側のヴォリュームは弧形チューブ状で・・ヘルシンキの太陽軌道に基づいたカーブを描きながら、北側ファサードまでひと繋がりとなっています。左側のヴォリュームは矩形状で・・真っ直ぐに伸びていき、右側のヴォリュームに交差貫入(Chi-asma)していきます・・ 

ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」

2つのヴォリュームに挟まれた、明るい壮観な光景のエントランスホールを1階より見る。両側のヴォリュームと相関しながら、緩やかなスロープで展示室間を巡ってゆく構成となっています。散策的に空間を経験出来て・・充分に建築を楽しめました

ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」
(左) スロープを上がった2階よりエントランス方向を見返す。 (右) 廊下より展示室への入口を見る。壁や天井といった空間の構成要素のデザインは大胆なのですが・・ 扉や手摺などの小スケールなパーツにはクラフト的ともいえる様な、細やかなデザインがなされています。 
ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」
南側向きの大きな開口に面した2階ロビーを見る
ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」
北側向きの大きな開口に面した、5階大展示室に入る前のロビー的空間

最上階である5階の大展示室を見る。低い角度から入ってくる光を誘い込む様に・・大きな弧を描く建物外形なりの天井、ダイナミックなトップライト。一見まっすぐに見える壁も、外形なりの緩い曲面・・ 曲面壁上部にはハイサイド窓 (両側の壁に書かれている文字はアート作品です)。静謐でありながら劇的でもある・・大スケールの展示空間・・ そこに設営されていたアート作品も相まって(壁の仕上げを削り落として文字を書くというMarja Kanervoさんの作品)・・ カッコイイ空間でした!!!   
この建物のコンセプトのひとつでもある「中間スケールの排除」という考え・・建物の構成要素を大スケールとする事で、中間スケールを占めるものとなる芸術作品がニュートラルな壁の量塊と対比され・・そして得られる “沈黙” ・・それこそがこの建物の諸空間のコンセプトだそうです・・  

ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」
メインエントランスの扉を見る。多くの人が触る事で、変色していく扉の引手・・ 職人が作ったような形と風合い・・大きな建物でも小スケールな部分・・ヒューマンスケール的なディテール・・への配慮も忘れられていません
ヘルシンキ現代美術館「キアズマ」
建物西面を見る。街に面した気持ちの良さそうなテラス席は美術館のカフェである「Café Kiasma」の屋外席。ヘルシンキはフインランドの首都であり、人口は60万人、周辺の都市的地域までいれて120万人規模・・100万人以上が住む都市圏としては・・北緯60度に位置する、欧州最北の都市
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「福田の家」- 先行工事

「福田の家」は、住みながらのリフォーム中です・・1階部分の工事を2期に分け・・ 先行工事としてダイニングキッチンだった部屋を、水廻り(浴室/洗面脱衣/トイレ)にリフォームする工事が・・先に完成しました。とりあえずは、この水廻り + 仮LDK(最終的には寝室)で暮らして頂いて・・ 後工事で新LDKを作っていきます。

作品紹介はこちら

村上春樹 1/3

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」僕が大学生のころ偶然に知り合ったある作家は・・

という忘れられない印象的な書き出しと共に ” 軽妙な文体と会話による「僕と鼠」の物語 ” が始まる・・村上春樹29才のデビュー作
たいしたストーリーも大きな事件も無い、友人とビールを飲み女の子と知合い、バーに通い、軽口を叩き、音楽を聞いて・・ 大学4年生の・・僕の故郷での “退屈な夏休み” が・・終わっていく。

単行本で150ページ程のすぐ読み終えてしまうボリューム。作家宣言のような・・興味深くユニークな文体の「チャプター1」以外は、・・ バーでビールを飲んで、無駄話をしているだけの・・物語。

読後に残る印象のほとんどが・・ ストーリー本編とはあまり関係なさそうな、寓話の様なリアリティのない、どうでもいい様なエピソードの数々と、軽妙な会話の空気感・・

「僕たちが認識しようと努めるものと、実際に認識するものの間には深い淵が横たわっている。どんな長いものさしをもってしてもその深さを測りきることはできない。」

一見したところ、ゆるりと生きている・・ そんな表向きの、物語の大半を占めている登場人物達の表情とは・・別の感じも・・強く印象に残る。

表面的には、いつでも「何でもない様な」主人公の”僕”・・ 心の内では、いつも出口を捜しているのに・・ “どうしようも無さ” にしか行き着かない・・主人公の”僕”・・防ぎようがない、何かに・・少しずつ迫られながら、物語も夏休みも終わっていく。

「あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている。」

寓話的なエピソード軽妙な会話が作り上げる・・ “何でもなさそうに見える日常” ・・そのエピソードが多ければ多いほど、面白ければ面白いほど、饒舌ならば饒舌なほどに・・反対の心象が強くなってくる。
幸福そうに見える未来へと向かう事を、誰もが困難ではないと・・感じている訳ではないし・・ 通り過ぎていったものたちの不在を、誰もが納得できている訳ではない・・ 有無も言わさない様なものに対する “どうしようも無さ” ・・

文章を書くことは自己療養へのささやかな試み・・ 何年か何十年か先に、救済された自分を発見することができるかもしれない・・」

という作家にとって・・この作品が、”救済のメディア”となり得たのだろうか・・村上春樹さんは初期の2作(「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」)を “自分が未熟な時代の作品” とも言われているそうですが・・
でもしかし、作家への決意表明でもありスタートでもある今作は、村上さんと”僕”と”鼠”の・・若さ溢れる、その空気感や風景が、今も新鮮で・・ やっぱり「風の歌を聴け」は goodです。

「福田の家」- 壁下地工事

リフォーム工事、壁の下地が出来てきました・・浴室/洗面/トイレなどの水廻り部分だけを、先に完成させ(キッチンは仮設で対応)・・最低限生活に困らない状態を保ってから、全体の工事に掛かります。(上左写真)巾が広い廊下を見る。正面に勝手口、右手に浴室/洗面とトイレ。(上右写真)洗面を見る。窓は既存のままで利用。もともとダイニングとして慣れ親しんでいた部屋が(窓だけを残して)・・全く違う部屋に変わるのは、なにか不思議な感じ。

新しい壁には筋交いを補強。(上右写真)既存建物の外壁は土壁だけだったので、今回のリフォーム工事で外壁に面する部分には断熱材を補強

「福田の家」- 基礎土台工事

岡山の西、備前市でのリフォーム工事。延床60坪ほどの2階建て・・1階部分(40坪ほど)は全面的にほぼ改修・・ 住みながらの工事なので、部分的に少しずつ工事を進めています。
(上写真左) まず最初に、ダイニングキッチンだった部屋を、浴室/洗面/トイレに改修します・・内装を全て落として・・部分的にコンクリート基礎と土台を新設。
(上写真右) 内装材を撤去して、露わしとなった建物の構造材をCheck。築20年・・傷みもなく良好だったので、ひと安心。

「デイサービスセンター」- 竣工

昨年の10月より・・工事を開始したデイサービスセンターが無事竣工。5/1のOPENまで、僅かな期間しかありませんが・・今日から引越しです。

(上写真)道路から西側外観を見る。3階建て既存クリニックの南側に出来たS造2階建て。(中写真) デイサービスセンターのメインスペースとなる食堂兼機能訓練室を見る。(下写真) キッチンコーナーから食堂を見る。

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見学会のご案内〈終了〉

トリムデザイン設計のデイサービスセンター

「デイサービスセンター」が完成しました。
オープンに先立ち、見学会を開催させて頂きます。建物の南側に駐車場もございますので、是非皆様お誘い合わせの上、ご参加ください。

【期間】2014年 4/26・27
【時間】13:00~17:00予約不要
【最寄り駅】水島臨海鉄道「浦田」駅前(駅の東側、岡山県道274号沿い)

作品紹介はこちら

まだまだすごいぞ! 大原美術館の桜

昨日は今週末までの「まだまだすごいぞ! 大原美術館」へ・・

児島虎次郎の「和服を着たベルギーの少女」に迎えられ・・横を見ると、虎次郎が初めて大原美術館の為に収集したアマン=ジャンの「髪」・・その側には虎次郎がモネ本人から直接購入した「睡蓮」・・ 安井曾太郎の大作 「外房風景」・・夭折した松本竣介のコラージュ風の素敵な作品 「都会」 ・・他にもピカソ、モディリアーニ、ロスコなどなど大原所蔵の名画をゆっくりと鑑賞。
(上写真) 本館と工芸館の間には、とても立派な桜の樹があります。今年も綺麗に咲きました。本館と工芸館の間、桜の大庇をくぐり抜けた向こうに新館が見えます。桜も今週末までかな・・

「建築探訪 107」-Sweden 10 / Stockholm

ストックホルム市庁舎

北欧ナショナルロマンチシズムを代表する作品。ラグナール・エストベリの設計による「ストックホルム市庁舎」(1923) 。
(上写真) 湖越しに東側外観を見る。100mを超える大きな塔が聳え立つ外観が印象的な市庁舎。どこかの市庁舎と雰囲気が似てる ?

ストックホルム市庁舎
中庭へアプローチ・・正面アーチの向こうには湖に面した広場。右手の階段を上がると・・”青の間” へと繋がるエントランスホール
ストックホルム市庁舎
湖に面した広場へと続くアーケード。力強いアーチと木製格天井
ストックホルム市庁舎
(左) 文字で覆い尽くしたデザインの扉 (塔入口) ・・ goodです
(右) 塔の頂部へと至る、長い長い階段の・・踊り場

建物内の見学は時間が決まっているので・・それまでやや時間があったので、塔を登ってみました。しかし、これが非常に大変で、やや後悔 ・・なんと塔の頂上までは階段です 。EVは在るそうなんですが、この日は動いていないそうで・・

ストックホルム市庁舎
塔頂部より西側を望む。写真手前が中庭、その向こうが ”青の間”、左手に湖際広場
ストックホルム市庁舎
ノーベル賞の祝賀晩餐会の舞台としても有名な「青の間」。ストックホルム観光の重要スポットという事もあり、見学者は多い・・見学は時間制で、専門のスタッフ1人が20人程度をまとめて案内するかたちになっています。「青の間」なのに青くない! ・・その理由は、もともとはレンガの上に仕上げとして “青い漆喰” を塗る予定だったからだそうです・・
ストックホルム市庁舎
石やレンガや木材といった昔からある材料を多用し、郷土性を強く意識した建築表現

この市庁舎と同じ頃に完成したこちらの建築と比べると・・ 同時代の著名建築家による最新の建築でも、これだけ作品傾向には巾があります・・ 1920~30年頃というのは、建築史の教科書的には「モダニズム」という新しい建築様式が完成へと至る大きな転換期ですが・・ その流れは決して単調なものではなく・・特に、近代化という中央ヨーロッパの大きな流れからは周辺であったからこそ・・自国の文化や風土に根差した表現にこだわった北欧だからこそ・・「ナショナルロマンチシズム」という建築様式は北欧で大きく花開いた様に思われます。

トックホルムウォーターフロント
市庁舎のすぐ側に出来たスウェーデンの現代建築・・「ストックホルム・ウォーターフロント」。ホテル、オフイス、会議場、劇場などが入った複合施設。設計は White Arkitekter Ab、2011年竣工の作品
トックホルムウォーターフロント

金属製ルーバー曲面の重なりが綺麗です・・見る角度によって表情を変えていきます。湖や湾に囲まれた水資源豊かな都市であるストックホルムの周辺環境を意識したデザインなんでしょうか・・ 隣国フィンランドの建築家、巨匠アルヴァ・アアルトの建築的主要モチーフである “うねる様な形” の現代的な解釈の様でもあります。

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