「建築探訪 54」-Kumamoto 2

熊本県伝統工芸館
東側の庭から見る

菊竹清訓さん設計の「熊本県伝統工芸館」(1983) を探訪。
1階が工房と販売スペース、2階が展示室・・ 四角い建物の中央あたりに、換気/採光/動線の核として両階をつなぐ吹抜けが設けられた建物。大木もある緑に恵まれた敷地と建物の関係や、2階出窓のヴォリュームが・・goodでした。

熊本県伝統工芸館
(左) 東側の庭より見る
(右) 駐車場よりアプローチとなる南側外観を見る

菊竹さんの解説文によると・・ 「日本の伝統的なカタチにみられる “部分の連続” ・・ 決して全体像が一望できず、見え隠れする部分を通じて全体像が想像として形をあらわす・・ そういったカタチの考えにしたがってまとめた・・」との事。

熊本県伝統工芸館
(左) 外壁は「熊本県立美術館」と同じような「打込みタイル」。耳付きの目地を詰めない「打込みタイル」といえば後期の前川建築の代名詞ですが、どうして菊竹建築に? ・・ 両館共にすぐ近く、つくられた時期も同時期、共に県の建物・・ 何か理由があるのだろうか?
(右) 1階より少し歪んだ形をした吹抜け部を見る
くまモン
駐車場で南側外観を撮影していると、車から降りて来たのは・・ くまモン!!   これから伝統工芸館でイベントがあるそうだ・・

「建築探訪 53」 -Kumamoto

熊本県立美術館

熊本城郭の端に建つ、前川國男の「熊本県立美術館」(1977) を探訪。 (上写真) アプローチ側の南側外観を見る。一目では玄関まで見通せない、視線/動線が突き当たっては折れ曲がりながら・・玄関へと至る前川さんらしい”一筆書き”な構成。高さを押さえた建物がさらに樹々に埋もれ、その存在は全く目立たず・・ 1971年の「埼玉県立博物館」から始まった “後期 前川建築” の到達点・・ 前川建築の完成型ともいえる珠玉の建築・・やっと見に来る事が出来ました!!!

熊本県立美術館
エントランスホールで受付けた後、180度振り返ったロビーの眺め。天井いっぱいまでの縦長窓とワッフルスラブ天井の存在感が効いてます。
( 前川さんはコルビュジェの弟子ですが・・なんとなくルイス・カーン的 ?  )
熊本県立美術館
90度右を向いて、ロビーから続く奥行きのある一室空間を見通す。ロビーの向こうには吹抜ホール、そのさらに奥が喫茶室。(左手に展示室)。細長い平面を強調する様に建物奥まで・・ワッフルスラブ天井と大開口が続いていきます。 床レベルは外部からロビーに至るアプローチを通して、あるいは建物内部の移動においても変化が付けられているのですが・・天井と大開口は常に安定した存在になっています。
熊本県立美術館
1階ロビーよりテラス側を見る。天井いっぱいまで開かれた大きな開口による、内外が一体となった開放的な空間。テラスの向こうには大きな樹々がたくさん植えられた緑豊かな公園が広がっています。南北に細長い平面構成、大きな開口部は東に面しています。訪れたのは午後からだったので、直接光が入ってくる時間帯ではありませんでした。
熊本県立美術館
吹抜ホールを地階より見る。落ち着きのある空間・・ 公園に面した大きな開口が、地階分そのまま更に大きくなっています。大きな開口の上下間のところには、ロビーから喫茶室へと続く渡り廊下があります。上部から吊った軽快な鉄骨造による意匠 ( 竣工時の資料にはなかったので、後の改修 ? )。
熊本県立美術館
(右) 後期の前川建築の代名詞である「打込タイル」。耳付きのタイルになっており(写真で分かるかな?) 、目地は詰めていません・・ タイルを後から貼り付けるのではなく、型枠内側にあらかじめタイルを取付けておいて、コンクリートを流し込む工法・・ より耐久性のある強固な外壁となる、前川さんのお気に入りの手法。

前川國男72歳、熟練の域に達した素晴らしい傑作でした。
こちらは前川國男49歳、”前期 前川建築”の傑作。 こちらは岡山にある前川建築。

「建築探訪 52」 -Hiroshima

世界平和記念聖堂

村野藤吾さんの設計による「世界平和記念聖堂」(1953)を探訪。
被爆倒壊した教会を世界各国からの寄付により再建・・ 1948年に設計案を募り、建築界の強い関心を集めた設計コンペが行われ、丹下健三や菊竹清訓や前川國男などの日本を代表する建築家が優れた設計案を応募・・

世界平和記念聖堂

打放しコンクリートの柱梁フレームに、現地の原爆の灰をかぶった土を含んだセメントレンガを積み込むという・・ 素材的にも工法的にも限定された構成・・ シンプルで実直な作り方が、再建への強い思い・・を伝えている様な気がします。

世界平和記念聖堂

壁詳細を見る。壁のセメントレンガは・・全体に渡りリズミカルに、ところどころに突出させています・・ コンクリートとセメントの素材そのままで、四角く大きな直方体の・・建物の威圧感を和らげ、ファサードに質感と陰影を与えるアクセントとして良く効いています。

世界平和記念聖堂
(左) アーチが架かった側廊部を見る。身廊+側廊というカトリック教会建築の伝統的構成を踏襲・・ 蛭石入りのプラスター塗りにより内部はシンプルで簡素な仕上げ

設計コンペは・・ 結果的には1等の該当者はなしに終わりましたが・・ 審査委員の1人であった村野藤吾が実施設計を委託されるという、なんとも納得のいかない結末。同じく審査委員であった堀口捨巳や吉田鉄郎はモダニズム色(コルビュジェ色)の強い丹下案や前川案に肯定的であったが、村野藤吾や今井兼次は否定的だったそうです・・ 

「建築探訪 51」-Hyogo/芦屋

崖の家

六甲山腹、傾斜のきつい道を上がって行った芦屋市の山手・・ コンクリートブロック擁壁で支えられた、見晴らしの良い敷地・・清家清の「崖の家」(1956) を探訪。

長年愛着を持ち住まわれてこられましたが、建て替えを決意され・・ 今回は特別に、お住まいの方の御厚意と、建て替えの設計をされている建築家さんの御厚意で・・ 工事前に見学させて頂きました。

(上写真) 南側外観を見る。屋根は東西に伸びるバタフライ型。奥の方流れ(1.5寸勾配)が居住部分、谷部の中庭を挟んで、手前の方流れ(1寸勾配)が応接部分・・ というように機能的に3つの部分に分けられています。左側コンクリートブロック壁沿いに玄関。

崖の家
コンクリートブロック壁に沿って、高さを低く抑えた庇下の玄関を見る。右側コンクリートブロック壁の裏が応接室。清家清さんといえば昔・・ NESCAFEのTVコマーシャルに “違いの分かる男” として出演されていた事でも有名
崖の家
(左) 中庭に面した応接室を見る。応接室の壁はもともとはコンクリートブロックに濃紺色のペイント仕上げだったそうだ・・ 清家作品にはコンクリートブロック壁が多い。戦後に大量生産が始まり、優れた安価な材料として広まった・・ 無骨で無機的な工業製品であるコンクリートブロックを、清家さんはデザインとして建築にうまく生かす試みを繰り返されておられました

(右) デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンのデザインによるフリッツハンセン社の家具が揃っています・・古い物との事ですが、状態も良く、色も素敵でした
崖の家
(左) 中庭を見る。左側の応接室を拡げた為、中庭は狭くなっています。竣工時の解説では・・ 中庭のトップライト開口は、大雨時にバタフライ屋根谷から雨を溢れさせるためとの事・・
 (右) バタフライ屋根を見下ろす。谷部の右側・・ 中庭のトップライト開口にはカバーがついてます
崖の家
居間和室の南縁側を見る。居間和室は増改築でより開放的に・・ 大きなガラスのピクチャーウィンドウに変更。下部には換気用の無双窓

この住宅は清家清さんの手で、生活に合わせて・・ 玄関を拡げたり、応接室を拡げたり、居間和室を拡げたり、台所を拡げたり、お風呂トイレの場所を変更したり、竣工時から 2度の増改築が行われていたそうです。

「建築探訪 50」-Miyazaki/都城

都城市民会館

どこの工場の設備機械だろうか? ・・ というこの姿。50年ほど前に宮崎県都城市に建てられた・・ れっきとした市民ホール。菊竹清訓さん設計による「都城市民会館」(1966)。

都城市民会館

こんなにインパクトのある建築はなかなかない・・ 独特の形。鉄筋コンクリート造の基壇の上に、鉄骨造の屋根が架かる構成。放射状に並んだ門型トラスが一点で集中する構造形式がつくる外観は・・まるでヤマアラシのよう。コンクリート基壇+鉄骨屋根の構成は同じく菊竹さんの設計による「島根県立図書館」(1968)と共通の手法・・ 変わらない部分(コンクリート造部) と 変わる部分(鉄骨造部) を明確に分けるという・・ この頃の菊竹的メタボリズム建築の思想。当時の菊竹事務所の担当者が内井照蔵さんというのも、内井さんの落着いた作風から思うと驚き。

都城市民会館
(左) 放射状に並ぶ門型トラスがコンクリート基壇の一点に集まっています
(右) 外部階段の手摺も放射状モチーフでデザイン。階段裏のコンクリート打放し木目の本実が渋い。壁のコンクリート打放しも変わった割りつけで、目地は出目地のような感じ・・ こういう細かいところが内井さん的 ?

都城市には新しい文化ホールが近年出来て・・古い市民会館は解体の危機もありましたが、保存運動の末、大学施設として存続が決まったそうです。昨年末に83歳で亡くなられた設計者の菊竹清訓さんも喜んでおられたのでしょうか・・

〈追記〉2019年解体

「建築探訪 48」 -Tottori/倉吉

倉吉市庁舎

丹下健三の設計による「倉吉市庁舎」(1957) を訪ねました。
(上写真) 長手側の南外観を見る。日本の伝統的な木造建築に見られる柱梁空間を・・ コンクリートという近代技術でどう表現できるか・・ 規則正しい柱梁の構成、張り出した庇、低層部をぐるりと廻る高欄、コンクリートブロックのスクリーンによる透け・・ コンクリート造における “日本の造形” への試み。 耐震補強の鉄骨フレームがいっぱいで痛々しい。

倉吉市庁舎
短手側の東外観を見る。1段高い屋根の部分は議場。左側にはメインエントランスへと続くアプローチの庇が張り出しています。水平性を強調するかたちで・・ 建物をぐるりと廻る高欄と庇の存在感が効いています
倉吉市庁舎
エントランスホールを見る。スパンの長い小梁が細かく並んだ天井は・・ 同じく丹下健三設計による「旧倉敷市庁舎」(1960) にも共通
倉吉市庁舎
(左)執務空間は中庭を中心とした構成。中庭部も耐震補強の鉄骨フレームでいっぱい・・
(右) 中庭に面した階段のある吹抜け部には水平にも補強が入っていて・・ 鉄骨フレームだらけになっていました・・ 昔の作品集で見る様な空間の感じとは違っているので、残念

丹下健三の庁舎建築は1950年代に集中して手掛けられています・・  1954年の「清水市庁舎」、1957年の「旧東京都庁舎」「倉吉市庁舎」、1958年の「香川県庁舎」 「今治市庁舎」、1960年の「旧倉敷市庁舎」・・ 6つの庁舎建築のうち3つめとなったのがこの倉吉市庁舎・・ この建築で丹下健三は3度目の日本建築学会作品賞を受賞。

「建物探訪 47」-Tokyo/大手町

パレスサイドビル

林昌二(日建設計) による「パレスサイドビル」(1966)。皇居東御苑に面して建っている、新聞社本社/印刷工場、オフィスや店舗からなる大規模複合施設。雁行して繋がった2つの直方体棟を、2本の白い円筒形コアで挟んだプラニングが・・直接的にあらわされたストレートな外観デザイン。

パレスサイドビル

聳え立つ白い円筒形コア部には、エレベーターやトイレなどの水廻り・・執務スペースを支える部分であり・・ 比較的、短い期間で改修される部分が・・ まとめて配置されています。

パレスサイドビル

ルーバー庇と大きなガラス面による構成は、近年のオフィスビル建築で多用されているデザイン手法・・ とても47年前の建物とは思わせない、 時代を感じさせないモダンな外観デザインは・・ 秀逸。竪樋/雨受けまで、うまくファサードデザインに取り込んだ・・ 繊細で大胆な設計。

巨大で非人間的な表情になりがちの大規模オフィスビル建築に・・ヒューマンスケール的な表情を持たせる事に成功しているのは・・ このルーバー庇と竪樋/雨受けの存在が大きい。このルーバー庇はアルキャストで一体成形らしい・・ もっと近くでよく見てみたいなぁ。

パレスサイドビル
午後の陽光が差し込む玄関ホールを見る

「パレスサイドビル」は Docomomo (文化遺産としてのモダニズム建築) Japan の100選にも選ばれている・・ 日本の近代建築を代表するオフィスビル建築のひとつです。

「建築探訪 46」-Tokyo/世田谷

世田谷区民会館/公会堂

前川國男による「世田谷区民会館/公会堂」(1959)を探訪して来ました。
(上写真) 中庭より公会堂を見る。屏風のように折れ曲がったコンクリート打放し壁(折版構造)は、50年以上経過し・・ 古代遺跡の様な迫力があります (頂部庇の出が大きくやや建物をクラシックに感じさせている事と、大きく成長した木々の存在感が効いているのかな)。住宅地に囲われた小都市の広場として、居心地の良い空間でした。

世田谷区民会館/公会堂

同じ様な折版構造の公会堂といえば・・丹下健三の「今治市庁舎/公会堂」(1958) がとても似てますが・・ 竣工年だけ見ると、弟子である丹下さんの方が1年早い。 折版構造つながりでは、有名な群馬音楽センター(前川の日本の師であるA.レーモンド) が1961年・・ 弟子から師まで順番に作ってる・・みんなこの頃に集中してる。この頃の建築家にとって “折版構造” がいかに魅力的な建築手法であったか・・ という事なのかな。

(上写真右) 区役所へとつながる連結部。1階ピロティ部は道路側への通り抜けスペース。人を誘い込む様な計画手法や、ブリッジによる建物間の連結などは・・ いかにも前川さんらしい。

世田谷区民会館/公会堂
(左) 道路側より見る区民会館。ちょうど昼休みの時間、木陰の下ではお弁当を食べる職員さんが何人か
(右) 中庭より見る公会堂と区民会館の連結部

コンクリート打放しの公共建築は、ノンメンテナンスで状態がかなり悪い場合が多くあり、汚れ痛みが目立つのですが ・・「世田谷区民会館/公会堂」では、大きく成長した木々の存在が、その印象をかなりカバーしている様に思えました。

世田谷区民会館/公会堂
建物全体を廻っている手摺の存在がGOOD

中庭からテラスへの繋がりや、建物の回遊性を促すデザイン要素として・・ 広場を中心とした都市的空間の演出に効果大でした。翌年の「京都会館」にもつながるデザイン要素かな・・ そういえば前川さんの傑作である「神奈川県立図書館・音楽堂」(1954) も手摺が効いていたし、全体の雰囲気もやはり似ている・・ 前川さんの “打放し時代” の建築では、手摺の存在感や、ブリッジによる分棟の連結がわりとポイントになっています。

「建築探訪 45」-Osaka/中之島4

ロイヤルホテル

先週末は「ロイヤルホテル」(1973) へ行って来ました。
設計は吉田五十八+竹中工務店 設計部。 *現在は「リーガロイヤルホテル」。
基本計画が竹中工務店 設計部により進められていたが・・ ホテル建築としてのデザイン面での質を、さらに高める為に・・ 途中から吉田五十八が参加。

(上写真右) 客室内より対面棟の外壁を見る。整然と並ぶアルミサッシ窓とタイル張りの壁面・・何気ないが、なかなか綺麗!! 。結局、建築は比率やバランスがやはり肝要ですよね。(上写真左) 遠くから外観を見ていると分かりにくいのですが、外壁は着物などの絣(かすり)模様を表現 (写真で分かるかな?) 。・・ 茶褐色の濃淡をつけたタイルで表現されています。外観ヴォリュームは竹中っぽい。

ロイヤルホテル

(上写真) ラウンジを見る。ロイヤルのラウンジも圧巻!! 。まず眼に入るのが、正面大開口から入ってくるたくさんの”光”・・開口の先には”緑”・・中央には流れ落ちる”滝”・・ その滝からの流れが、そのまま室内へ流れこんできたかの様に・・ラウンジ中央には曲水の宴のごとき優美なラインの流れが・・室内を「庭に見立て」たような構成がGOOD。蒔絵のごとく赤い柱にほどこされた金色の「棚引く雲」と、その上を覆う光輝く「雲のようなシャンデリア」による構成もGOOD。「庭と雲」によりデザインされたラウンジはまるで天上のような優雅さ。さすが吉田五十八と感心感心。

*この日のラウンジでは結婚式が行われました(大学の友人であるI君の結婚式) 。大開口からは暖かな日射しが差し込んでいました。

「建築探訪 44」-Osaka/上本町

シェラトン 都ホテル大阪

村野藤吾の遺作のひとつである「都ホテル大阪」(1985)に行ってきました。
*現在は「シェラトン 都ホテル大阪」です。

シェラトン 都ホテル大阪

(上写真左) 北西から外観を見る。千日前通りに面したファサードは、そびえる巨大な壁面といった感じだが・・他の普通のビルとはやはり違う・・どこか優しい品のある様な”姿”が美しいのだが・・写真ではうまく雰囲気が伝わらない。遠眼には分からない様な、少し少しの細かなデザイン処理が・・雰囲気の違いを生み出しているんだと、思います (写真は曇りだったので イマイチ)。

(上写真右) 近くで見ると壁面はゆるやかに波打っています。このわずかな波状のうねりが非常に効果的・・村野さんらしい凝った壁面デザイン。外壁はアルミ鋳物パネルで・・中央部の突出したパネルと、その両サイドの細かなRのついた溝でデザインされた細長いパネルと、大小のパネルによる構成。細長いパネルだけは頂部で中央パネルより長く伸びて、屋上の手摺支柱となっています。(写真では分かりづらい)

シェラトン 都ホテル大阪
(左) 窓部を室内から見ると・・外壁が突出しているところは、ちょうど窓下の空調機がある部分となっています
(右) 窓下の換気窓は打ち倒しで少しだけ開きます。その外側には・・ きちんと外壁材が張られています
シェラトン 都ホテル大阪
建物基部を支える地面から生えてきたような力強い、大きく太い柱の列柱・・の様に見えますが、実はこれは地下用給排気シャフ
シェラトン 都ホテル大阪
駅ターミナルからホテル側を見る。建物のつなぎとなっている部分に架かるキャノピーが綺麗です・・ 昨日触れた「千代田生命本社ビル」に似てます。  (上写真右) ホテル側から見る
近鉄新本社ビル上本町ターミナルビル

上本町にはホテル以外にもいくつかの村野作品があります。(村野さんと近鉄は戦前からつづく長い関係)
(上写真右) ホテルの手前は「上本町ターミナルビル」(1973)。これは外装リフォームが近年された様子・・ もともとは薄いステンレスサッシュのポチ窓が規則正しく綺麗に並んだ壁面デザインでしたが・・。
(上写真左) 「近鉄新本社ビル」(1969) 。奥にホテルが見えてます。サッシュと壁面を同一面で納めた・・おなじみの村野デザイン。

村野建築の魅力は・・モダニズムデザインが基本となっているのだけれども・・キチンと全体姿が3層構成だったり、規則正しいポチ窓だったり、細部ディテールがやや装飾的で凝ってたり・・と随所に、様式建築的/古典的/日本的/伝統的なテイストが加えられ・・一言では言い切れないような、絶妙なデザインのバランス感覚の巧みさと上品さにあるように思います。