ヴィム・ヴェンダース・・の3本

Wim WendersのDVD

ドイツ人映画監督、ヴィム・ヴェンダースのDVD3枚を大人買い!!・・・若い頃に見てとても感動した大好きな映画・・

(上写真-左) ライ・クーダーの音楽+見渡すかぎりの荒野。全てを捨てて黙々と歩き続ける男の映像で始まり・・ ライ・クーダーの音楽+夜のハイウェイ。車でひとり孤独に走り続ける男の映像で終わる「パリ、テキサス」(’84) 

(上写真-中) ビデオで撮られた即興的な映像+フィルムで撮られた優しい映像の対話と・・ ヴェンダース+ヤマモトヨウジ、巨匠二人のジャンルを越えた対話が・・美しい「都市とモードのビデオノート」 (’89) 。

(上写真-右) モノクロとカラーにより、壁崩壊前のベルリンを舞台に撮られた見事な映像美と・・ 劇中語られるドイツ語の詩の美しい響きが忘れられない「ベルリン・天使の詩」(’87) 。

80年代のヴェンダースは最高でした・・

岡山日日新聞

トリムデザインのコラムが掲載された岡山日日新聞
先日、 t/rim designの小コラムが掲載された岡山日日新聞

「住宅は住むための機械である」とはモダニズム建築を完成させた近代建築の巨匠ル・コルビュジェ(1887~1965)が残した、建築史上最も有名なといっても言い過ぎではない、現在活躍する建築家やこれから建築を学ぼうとする若い人達にも今なおその作品と共に強い影響を与え続けるル・コルビュジェの言葉・・この言葉は今から86年前にもなる1923年(大正十二年)に出版された、これからの建築が在るべき姿についてコルビュジェが建築宣言を行った、初期の著書「VERS UNE ARCHITECTURE」の中に記されています。

住むための機械という言葉への解釈は人によって多少の違いはあるのではないかと思いますが、そのシンプルで無機質な「白い四角い箱」のような初期コルビュジェ作品の姿が与える工業製品的なイメージも手伝ってか、「住宅=機械」と表面的な捉え方をされ、コルビュジェが唱えたことは、飛行機や自動車を理想とした工業製品のような住宅をつくる事だと思われている方も少なくありません・・この著書に込められたコルビュジェの真意とは・・・我々の文化や社会というものは変わり続ける事を避けられないものであり・・ 
・人々を包む器である建築もまた社会や生活から生じる新しい要求というものに、機械のように、合理的に正確に経済的に応えていかなければいけない。
・われわれの必要に答えている工業製品の中に見られる、慣習や様式に囚われない「新しい精神」こそが美しい 。  
というような主旨のことが「VERS UNE ARCHITECTURE」の中には書かれていました。
「住宅=豊かに健康に住むための無駄がない道具」
・・社会や人々の暮らしが大きく変わる時、建築もまたその変化にうまく適合していかなければならない・・そういう意味だったのではないかと思います。
私達が勤めていた設計事務所の所長は、フランスでコルビュジェから建築を直接に学ばれた建築家・坂倉準三が設立した設計事務所の出身であったという親近感もあり、コルビュジェの言葉や作品からは多くを今なお学んでいます・・ 建築とは、設計を依頼してくださった人達の言葉、あるいは今の社会や暮らしの中に見つける事が出来る変化、に対し的確に応えられる様なものであるべきだと言う事は・・ 現在でも未来でも同じなのではないかと・・

「建築探訪 34」 -Italia 3 /Verona

カステルヴェッキオ美術館

廃墟となっていたヴェッキオ城をヴェローナ市が1924年に美術館として復興するが、戦争での被爆もあり、復旧状態は未完成・・・1958年にカルロ・スカルパの手により復興が再開され、1964年に完了。スカルパの改修作品としては最大規模、スカルパの最高傑作と言ってもよい・・「カステルヴェッキオ美術館」。スカルパ58才の時の作品。 

カステルヴェッキオ美術館

城壁と塔に囲まれた・・14世紀後半にカングランデ2世により建築された城。ヴェローナは15世紀以降、ナポレオンのイタリア進攻によりヴェネツィア共和国が亡びるまでは長い間、ヴェネツィアの支配下にありましたが、それまでの中世中期は幾つかの有力貴族が支配権をめぐり熾烈な闘争・・その模様がシェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」のモデルにもなりました。 

カステルヴェッキオ美術館
1階展示室-東端

同じ大きさの展示室が東から西へ4室繋がっています。奥へと続いていくアーチ開口、一番奥の格子戸のある開口から出ると・・有名な “騎馬像のあるスペース”が在ります。 

カステルヴェッキオ美術館
1階展示室-中

古い建物を新たな機能の為に転用・・新旧要素の対比。古い部分の保存、新しい部分の挿入、あるいは古いものの切除・・機能的・形態的必然性や歴史的必然性・・取捨選択を行えるだけの視点/思想・・スカルパには改修作品がとても多いのだが、改修の仕事は難しそうだ・・「新旧要素の対比」とは言葉では平易だが、実際に巧くバランスを取ってデザインする事は大変だ・・ 

カステルヴェッキオ美術館
1階展示室-西端

展示作品と展示室が離し難い一体のものとして計画される事により・・絶妙な空気感を作り出しています。(どの古い建築写真を見ても、この展示状態) 

カステルヴェッキオ美術館
騎馬像のあるスペースを見上げる

展示を巡る動線の大事な位置につくられた・・棟と棟の間に生まれたこのスペースがとにかく秀逸・・このカングランデの騎馬像の展示方法・展示位置を含め、棟から棟へ移る際に1階からは見上げ、階上では見下ろし、渡り廊下では近づき・・様々な視点からこの空間/騎馬像を感じられる・・中世的赤レンガ壁と細やかなデザインが施された鉄骨柱梁&手摺等金属製部材&コンクリートとの対比。

カステルヴェッキオ美術館
騎馬像のあるスペースを見下ろす

ヴェローナはいい街でした・・田舎すぎず、都会すぎず、古い街並みもよく残っており。毎年6~8月にはローマ時代の円形劇場などで野外オペラや演奏会などが行われているそうですが・・・楽しむ間もなく夕方にはヴェローナを後にしてミラノへ向かい出発・・

「建築探訪 33」 -Italia 2 /Verona

ヴェローナ銀行
広場側ファサード

ヴェネチアから西に100km程・・・中世の街並みや古代ローマの遺跡も残っており、「ロミオとジュリエット」の舞台の街としても有名な・・歴史を感じられるとても雰囲気のある人口27万、イタリア北東部の小都市・・・”ヴェローナ”にある「ヴェローナ銀行(1980)」カルロ・スカルパ設計。
新築ではなく改修・・建物がひしめく市街地にあり建物全体を見る事は出来ず、広場と中庭に面した2面のファサードのみが外観として見る事が出来ます。

ヴェローナ銀行
広場側ファサード

歴史ある街並みの中ではあまり見る事のない窓の構成・・2階は正方形のガラス窓が壁面から控えることなくついた現代的なデザイン(厚さ3cmの防弾ガラス。3階は2種類の大きさによる丸窓(わずかに楕円)と出窓による構成、丸窓と言っても実際の窓は50cmうしろの壁にあり、丸く見えている部分は前壁に孔が開いているだけ・・その壁の間は設備などの配管スペースとなっています。4階部分はモダニズム建築のような水平連続窓だが、2本柱や金属製コーニスによる細部意匠も凝ったデザイン。

ヴェローナ銀行
広場側ファサードの各部分

スカルパらしい”ギザギザorデコボコ”の装飾が、広場側ファサードの低層部を帯状に飾っています・・(上写真左下) 建物下にローマの遺跡があり、この街路に面した地窓から見る事が出来たそうなのだが・・見逃してしまいました

💬え!そうなの!二度目だったのに知らなかった(泣)

ヴェローナ銀行
(左) “丸窓”を内部階段室から見たところ
(中)”丸窓”に面した事務室を見る。古い街並みに面した落ち着きのある素敵な事務室
(上左)階段室の最上階より外部を見る
ヴェローナ銀行
事務室が並ぶフロア。廊下もゆったり。床/壁/天井/建具・・どの部分も仕上材&ディテールがいい
ヴェローナ銀行
(左) 内部の階段部詳細
(右) 外壁低層部を飾る帯状の”ギザギザorデコボコ”を横から見る
ヴェローナ銀行
渡り廊下から中庭側ファサードを見る
ヴェローナの町並み
ローマ時代の遺跡があちらこちらに残る、ヴェローナの街の様子

「MYクリニック」 -竣工

トリムデザイン設計のクリニック

MYクリニック」の増築工事が無事終了いたしました!
仮出入口からの不便な通行&工事間仕切壁による狭くなった待合室等・・・いろいろご迷惑をお掛けしましたが・・・待合いスペース&玄関風除室が広くなり、使い易くなったとは思います・・

スレート調の縦長ボーダータイル張りの外壁。水平性を強調した軒の深い屋根が建物全巾まで伸びています
(左) 開放的で明るくなったアプローチ部、ガラスドアは手詰め防止用のギャップレス型としました
(右) 冷暖房効果UP&前面道路/前面線路からの騒音軽減&収納力のある上下足棚を設置などをはかる為・・・限られた面積配分の中で、比較的ゆったりとした玄関風除室スペースとしました
 トップライトの向こうが増築部、手前が既存部。待合い椅子はタモ材の造付け家具としました。壁はライトグレー色の珪藻土系左官塗り仕上げとしました

「建築探訪 32」 -Italia /Treviso

ブリオン・ヴェガ墓地

「ブリオン・ヴェガ墓地」 (1972) 
設計はイタリア人建築家カルロ・スカルパ(1906-78)。ヴェネツィアから北へ20kmほど離れたトレビゾという田舎町・・・古くからあった既存墓地に付け加えるように建てられた “ブリオン家一族の廟”
スカルパ建築といえばまず眼に浮かぶのは、過剰とも思えるくらい細やかで技巧的なディテール・・コンクリート/石/金属/木といった建築の基本的材料の素材感と職人の精緻な技術力を活かした・・・シンプルイズムが大半を占める近代建築家の主流となるデザイン手法とはちょっと違う、手の込んだ装飾的細部がとても魅力的な建築。(上写真 礼拝堂への入口部)

ブリオン・ヴェガ墓地
庭園部よりエントランス棟を見る。奥には池に浮かぶパビリオン

展示・改修・増築といった経費/機能の面で拘束の多い仕事が大半であったスカルパにとって・・・予算に恵まれ機能性といった制約もほとんどなかったこの墓地の仕事は、彼が望むように作り得たと言える初めての作品・・

ブリオン・ヴェガ墓地
池に浮かぶパビリオンより見る。左側にエントランス棟。中央奥のアーチ部にブリオン夫妻の墓石
ブリオン・ヴェガ墓地
礼拝堂内の祭壇を見る、上部にはトップライト
ブリオン・ヴェガ墓地
エントランス棟内部より池に浮かぶパビリオンへの通路を見る

スカルパは計画案も含めると生涯に200以上のプロジェクトを手掛けたが、実現した新築の建築はこの墓地も含めてわずか3作品・・「ブリオン・ヴェガ墓地」はスカルパの最も重要な代表作と言われ・・スカルパ自身も「この墓地で初めて思う様に出来た・・」と言っている訳だが・・実際今回いくつかのスカルパ建築を体験した感想としては、改修作品の方がスカルパ建築は興味深い・・

(上写真3枚) 隅々までデザインされた細やかなディテール・・が連鎖していくように建物全体を覆いつくしていく・・ スカルパ建築

ブリオン・ヴェガ墓地
池を渡る踏石の水中部分にまで “ギザギザ デコボコ”
ブリオン・ヴェガ墓地
建物のあちらこちらで見られるディテール・・ “ギザギザ デコボコ” 
ブリオン・ヴェガ墓地
息子でデザイナーのトビア・スカルパがデザインしたスカルパの墓
ブリオン・ヴェガ墓地
左下の45°振った正方形が礼拝堂。上側庭園部の左にブリオン夫妻の墓、右に池に浮かぶパビリオン・・一般墓地を取り囲む様なL字型の配置

「MYクリニック」 -仕上工事2

トリムデザイン設計のクリニックの増築工事

軒裏の下塗りが終わり・・
外部がだいたい出来てきました・・タイル張りの外壁には部分的に縦長型ガラスブロック(巾40×高600×奥行100)が嵌っています(これが結構重たいのでALC壁に設置するのが大変でした・・)
日が暮れてからは、タイル面より少し突出したガラスブロックを室内側から明かりで灯す予定・・どんな感じになるか楽しみです。

トリムデザイン設計のクリニックの増築工事

(上写真左) タイル職人さんが内部/玄関ホールのタイルを仕上げられています
(上写真中) 左官職人さんが内部壁の下地調整材をコテで塗られています
(上写真右) 待合いスペースの造付け長椅子を設置しました(座面には床暖房パネルを設置しているので電車の椅子みたいに座っていると暖かいです)

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「MYクリニック」 -建具&仕上工事

トリムデザイン設計のクリニックの増築工事

建具&建具枠も取付けられいよいよ仕上工事です・・
(上写真左/中) もともと外部庇だった部分の下に差し込む様に建てられた増築部・・外部庇の一部はトップライトに変更しました
(上写真右) 内部から見たトップライト・・乳白色の飛散防止用フイルムを貼ることで、日射が直接ではなく柔らかい拡散光として入ってきます

トリムデザイン設計のクリニックの増築工事

(上写真左) トップライトが出来て・・とても明るくなった増築部室内。内壁のプラスターボードも貼り終わり・・下地処理後に珪藻土系の仕上げ材を塗ります。排煙窓のオペレーターを調節中。
(上写真中/右) 手摺りや傘架けなどはステンレス製フラットバーを用い、オリジナルを制作・・・工事竣工までもう少し、出来上がりが楽しみです。

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「MYクリニック」 -屋根&内外壁工事

トリムデザイン設計のクリニックの増築工事

(上写真) 屋根工事が完了。屋根は5/100勾配片流れのガリバリウム鋼板タテハゼ葺き、軒樋も同材を加工して作った”箱樋”・・とても綺麗な仕上がりに感心。軒裏の下地工事も終わり、後はケイカル板を張るだけ・・軒の出は1000mm

トリムデザイン設計のクリニックの増築工事

(上写真左) タイル張りの外壁工事中。タイルは巾40mm×長さ300mmのスレート調のもの・・外観は全体的に暗めのグレーで色彩をまとめているので、あまり重厚なイメージとなり過ぎない様に・・タイルはやや色むらのある縦長型で動きのある感じ
(上写真中) 新しく設けるトップライト部。左側が既存建物、右側が増築部
(上写真右) 内壁のプラスターボードを貼っています・・目地部の処理後、珪藻土系の左官仕上げを行います。縦長のスリット部は巾40mm×長さ600mmの光窓・・外部にはガラスブロック 内部にはアクリルを嵌め込みます・・

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伊仏建築探訪

スカルパ/テラーニ/コルビュジェなどの作品を見るためイタリア・フランスへ建築見学へ出掛けていました・・・天気にも恵まれ(快晴すぎて日焼けしましたが・・)たくさんのいい建築に触れる事が出来ました
訪れた素晴らしい建築の数々は、またブログにUPしていこうかなぁ・・

机の上には進行中の現場からのFAX/質疑がたくさん、計画&設計中のプロジェクトもまた頑張って進めなくては・・・一挙に忙しい現実が帰ってくる感じですが、見学で見て触れた素晴らしいものを 少しでも自分達の設計に活かす事が出来るように、頑張ろう!