「建築探訪 29」 -Kagawa 4

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 (’91)」(設計:) はとても素晴らしい美術館・・ 個人的にはかなりお気に入りの建築。
(上写真)ファサードを見る。黄色い彫刻は「星座」 右のは「シェルの歌」
普通ならばホテルやデパートが建つ駅前というロケーションや街に対して・・駅前から美術館まで一体がひと続きとなったデザインとした事、屋外彫刻を配したこのガランとしたスペースを設けた事、子供の落書きの様に自由なインパクトのある大壁画を設けた事、このファサードの大きな構え方・・・・ どこにでもある様な均質化した駅前とは違った “美術館がある駅前” という新しい場所性/風景を生み出す事に・・成功しているように思えます。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
入口部分を見る。大きなファサードとは一転して、入口はとても小さい・・花崗岩の床、コンクリート打放しの壁、大理石の壁画壁、アルミパネルの庇。左側の階段は、建物の長手を貫き、3階の最奥にある屋上広場までつながっている “大階段”。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
小さな入口を抜け、エントランスホールに入る・・ここも高さを抑えた空間。その先への広がりを予感させる、3段だけ上がったスペースへと自然と引き寄せられる。床/巾木はライムストーン、壁/天井は塗装仕上げ
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
上階の展示室へと繋がる階段と吹抜け。
幾何学的な理性が支配する、抽象的で洗練されたデザインスタイルは、”ザ・モダン” と言ってもいいと思うのだが・・ 次なる空間へのつながりが常に期待させられる様な空間構成を、建物にてリアルに感じていると・・ そのデザイン思想の根幹には “日本的感性” が強く浸透しているように思えま
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
9m以上はある、天井が高い2階展示室を見る

「この美術館の設計は時間がなくて完全に煮詰まっていない所が多いのだが、それがかえって建築を大らかな感じにしていて、そこが良かったのだ」と谷口吉生さんは仰っているのだが・・ どこがどこがという感じ・・細かな所まで完璧主義が貫かれた、あいかわらずの精緻極まりない谷口建築の見事さ・・ 

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
2階展示室の全体を見渡す

設計者である谷口吉生は猪熊弦一郎から「日本の建築はこまごまとして、スケールが小さい・・スケール感だけは大きくして欲しい。大きなスケール感がある建築で、光がよければ、あとは一切任せる」と言われ・・ “大きなスケール感”を出す為の、「プロポーションの決定」や「素材の使い方」に設計の多くの時間をかけたそうだ。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
 “大階段” の2階部分を見る。置いてある彫刻は「草」

「建築にはいろいろな様式・・賑わしては消える流行の様式・・しかし最終的に建築の良し悪しを決めるのは、やはりプローポションと光と素材、あるいはスケールとテクスチャーなど基本的なこと・・ 」 by 谷口吉生

猪熊弦一郎美術館では「子供から入場料を取ってはいけない。少しでも取ってしまえば、よほどでないと来られなくなる。タダなら学校の帰りだろうと何だろうと、いつも寄ることが出来る。そういう風に見て貰わなくちゃいけない・・」との猪熊弦一郎さんの意見から、高校生以下は入場無料となっています。こんなに素敵な美術館に、倉敷からは1時間くらいで行けるので・・ LUCKYです。

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