「建築探訪 58」-Tokyo/上野

東京国立博物館法隆寺宝物館

谷口吉生さん設計の「東京国立博物館 法隆寺宝物館」(1999) を探訪。
建物は上野公園内の奥の方・・すぐ側には父である谷口吉郎が設計した「東京国立博物館 東洋館」(1968) があり・・父子の建築による競演。展示品である法隆寺の300点にものぼる貴重な宝物は・・明治初めの廃仏毀釈で中で仏教への風当りがとても強くなった際、法隆寺を荒廃から救う目的で皇室に献納され、戦後国有となったものだそうです。
(上写真) 谷口さんの好きな “門構え” の構成によるファサードを見る。展示室である箱ヴォリューム、エントランスであるガラスのヴォリューム、そして大きな庇・・この3つの要素を対称形とせずに、ずらしながら奥行感を付けながら・・の雁行的な構成がgoodです。建物前の池もファサードを引き立てていますよね・・

(左) 門構えの大庇は、側面までグルッと廻るL字型
(右) 大庇下の鳥籠のような細かい線材によるガラススクリーン部を見る。池超しに建物を眺めながら、何度か方向を変え、池の中を渡る様にして建物へと至る
半屋外的な庇下の空間。下部のみは見通しを通し、上部は密で細かな間隔とした雪見障子的な感じのガラススクリーン (下部ガラスは高透過強化ガラス t=10のFIX) 。上部の縦桟は30mm×145mm @180mm、30mmの見付けで150mmの空き。この縦桟はガラスの前面にある格子ではなく、サッシそのものなんですね・・
エントランスホールを見る。石張り(ライムストーン ジュライエロー水磨き t=50!! )の右手壁が展示室・・ 床は花崗岩(ベルファーストブラックバーナー仕上げ t=30!! ) 。このガラスBOX空間を支えているスチール柱梁は100×200mmの無垢材!!  

大庇部と、ガラス箱部と、石張りの展示室部と、分かり易い3つのヴォリューム構成による組立て。シンプルで機能的、無駄のない、厳選された素材と部材による、見事な谷口さんの建築は・・作品集などの写真で見るよりも、実際の方がずっといい・・写真では見えにくい繊細なディテール、写真では分かりにくい素材のテクスチャー、現場でしか感じられないヴォリュームやスケール、周囲環境との関係性 などなどが・・きっとよくよく丁寧に検討されているからなんだと思う。表現を抑えた抽象形のプロポーション、素材の実在性、光とヴォリューム・・建築の基本とも言える要素が大切に考えられている・・この建物はとても素敵。

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