「建築探訪 73」-France 3 /Bazoches-sur-Guyonne

メゾン・カレ

パリから40km程離れた小さな町へ・・やや道を登りながら林の中を抜けると、頂きには・・ 北欧の巨匠アルヴァ・アアルト(1898-1976) の「メゾン・カレ」(1959) が見えてきました。周りを樹々に囲まれ、西側(右手)には芝生の斜面が広がる気持ち良い敷地。
(上写真)アプローチより北西面を見る。一直線に切り取られた三角妻面が明快でgood、斜め要素に付け加えられた水平庇が効いています。

メゾン・カレ
南面外観の西端部を見る

戦前アアルトの代表作「パオミオのサナトリウム」(1933) や「ヴィープリの」(1935) のような”白い四角い”・・いわゆるインターナショナルスタイルと言われるモダニズムからは大きく変容した、戦後アアルトらしい素材感がある自由な構成・・斜め屋根/石/レンガ/木製ルーバーといった地域性を感じさせるモダニズム。

メゾン・カレ
南面外観の中央部を見る

白ペイントレンガと木部の対比が効いています。中を囲う様に張り出した部分は水廻り、その中央部に主寝室が2室、この右手にはゲストルームが1室・・1階の南側に3寝室が並んでいます。戦後アアルトの出発点となった「セイナッツァロ村役場」(1952) を思わせるひな壇状の斜面。

メゾン・カレ
玄関ホールよりリビングを見る
リビングには西向きの大窓が設けられ、庭の眺めを取り込んだ空間となっています。敷地の斜面なりに沿うように、ゆったりとした階段を7段(踏面300mm、蹴上120mm)ほど降りてリビングへ
メゾン・カレ
リビングを見る
優しい感じでありながらも洗練され簡潔・・ 北欧の建築家らしいアアルトの。ソファ/テーブル/照明器具/カーペット/カーテン/ドアノブにいたるまで・・ 全てアアルトのデザイン
メゾン・カレ
東面に取られた窓から、サンサンと陽が差し込む・・明るいキッチン
メゾン・カレ
キッチン横、同じく東面に大きく窓を取った室。庭の奥に見えるのはプール棟
メゾン・カレ
主寝室を見る

住まい手であったルイ・カレ氏はパリで、ピカソやマティスなどの作品を扱う有力な画商・・アアルトに設計の依頼がきたのも共通のアーティストの友人を介して・・竣工パーティにはブラック、カルダー、コクトー、ジャコメッティ、ギーディオン、コルビュジェ・・ 華やかな顔ぶれが並んだそうだ。アアルトの建築の多くはフィンランドに在り・・地域や風土に根ざした作品として良く知られ・・フィンランドの地にあってこそと思ったりもしますが、で見る事が出来た・・”初めてのアアルト建築” はなかなかgoodでした。

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